コックリさん、金縛り、神秘現象と科学(心理学)
心理学総合案内こころの散歩道/エマオの道:科学と宗教/神秘現象、心霊現象、オカルトと心理学
世の中には、不思議なことがいっぱいあります。科学でわからないこともたくさんあります。しかし、神秘現象の多くは、科学的に説明できるといえるでしょう。
まだ説明できないとしても、一部の人が考えるような、科学の世界や常識の世界がひっくり返るような超常現象は、そう簡単には起こらないでしょう。
世間には、アインシュタインの間違いを指摘するといった本も出ていますが、専門家から見ると、著者の勘違いであることが多いようです。
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さて、心理学関係で言うと、たとえば、
コックリさん。
文字と数字が書いてある紙の上にコインを置き、何人かがコインの上に指を添えます。そして、「コックリさん、コックリさん」と呼びかけて、何か質問をすると、あら不思議、コインがスー、スーっと動いて、質問に答えてくれます。
これは、簡単に言うと「暗示」です。質問の答えは、すでに参加者の心の中にあります。意識して自分の手を動かしているわけではありませんが、手が自然に動くのです。
もちろん、脳からの命令で手は動いています。普段は、自分が手を動かしているという意識があるのですが、この場合には、その意識がないのです。
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簡単な実験をやってみましょう。
ボタン(か、5円玉)に糸をつけてぶらさげ、糸の上端を親指と人さし指でつまみます。
おばあちゃんから聞いた話ですが、むかし戦争中、戦場にいている人の安否を占う方法だったそうです。その人の写真の上に、今書いたよう指でつまんでボタンをつり下げ、じっとしています。
すると、まあ不思議、死んでいるときにはボタンが縦に揺れだし、生きていると横に揺れだします(逆だったかな?)。
不思議な霊がボタンを動かしている、わけではありません。
あなたもやってみましょう。写真はいりません。
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ボタンをつり下げ、心の中で「横に動け、横に動け」と念じます。手を動かしてはいけませんよ。でも、じっとしているはずなのに、しだいにボタンが横に揺れ始めます。
どういうふうにも動きます。「縦に動け」「回れ」「止まれ」。念じるままに動きます。
これも、「暗示」です。手を動かしている意識はないのですが、心の中で思うと、微妙に手が動いてしまうのです。
コックリさんは、もっと激しく動きますね。このような暗示は、特に小学校高学年から中学生あたりが、いちばんかかりやすいようです。この時期に、コックリさんって、流行りませんでした? 今やったら、もうあんなには動かないかもしれません。
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「金縛り」
なんて言うのもありますが、簡単に言うと、脳は起きているのに、体が寝ている状態です。別に、霊でも呪いでもありません。
「幽体離脱」
なんていって、自分が部屋で寝ている姿を確かに見た!! なんて言う人もいます。まあ簡単に言ってしまえば、「夢」みたいなものですね。夢の中では、何だって見ることができますから。
むかし、むかし、「狐憑き(キツネつき)」なんていうのもありました。本人が本気で信じているとしたら、精神病の一つの症状である「妄想」でしょう。
今では、「電波に操られている」とか「宇宙人に操られている」といった妄想が多いようです。その時代や文化によって、はやりがありま す。
一度、狐憑きの少女を見たことがありますが、この子は、オカルト好きで、その手の本などをよく読んでいたために、そんな妄想を持ったようです。
「私は宇宙人に誘拐された」
と語る人もいます。嘘をついているわけでないようですが、これも簡単に言えば、「作られた記憶」です。人は、実際に体験していなくても、頭の中だけで、まるで自分が体験したかのような記憶を作り出してしまうことがあります。(『なぜ人はエイリアンに誘拐されたと思うのか (ハヤカワ文庫) 』)
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私は、個人的には、オカルトとか、魔術とかを、おすすめしません。もともと精神的に不安定な人が、そのようなことを通してさらに不安定になることもありますしね。それに、オカルトや魔術が人々を幸福にするとも思えないのです。
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それでは、私は科学で説明できないものは、何も信じないのかといえば、そんなことはありません。魂も、天国も、個人的には信じています。上で書いた現象も、例外なく現代科学で説明できるかと言われれば、確信はありません。
私に限らず、世界中の多くの科学者が、科学者であると同時に、キリスト教徒や仏教徒やイスラム教徒であるわけです。唯物論や無神論が、有神論より科学的だということはありません。特定の宗教を信じていなくても、宇宙や生命の神秘を語る科学者は大勢います。
ただ、だからといって、むやみにオカルトや心霊現象と考えることには、反対です。ましてや、それで、不安がったり、人生を左右されてしまうのは、残念なことです。
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科学も、思想も、宗教も、正しく真実を求め、人間の幸福に役立つように活用したいと、願っています。
99.4.15
コックリさんをやると、たしかにもっともらしい回答が返ってきます。
ところが、参加している人たちに目隠しをして、文字が書いてある紙を参加者にわからないように回転させます。
すると、コインは動くものの、あっちへ行ったり、こっちへ来たりするだけです。紙の外に出てしまうこともあります。
本当にコックリさんが答えているなら、こんなことにはならないはずですが、実際は参加者自身が無意識にコインを動かしているので、目隠しされると、回答できなくなるわけです。
(以前、コックリさんがかなり流行ったときに、科学技術庁が教育用に作ったビデオで、上の実験をしていたそうです。)
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・UFOや心霊現象を研究している人の中にも、もちろん、誠実で、客観的な事実に基づいて調べている人たちがたくさんいます。テレビなどでは、専門家の間ですでにインチキだとわかっているケースを、まるで事実かのように取り上げることがあるそうで、まじめな人たちは、怒っています。
・反対派の中には、もちろんきちんとした方法で反対している人もたくさんいますが、中には、ずいぶん乱暴な理論で反対している人もいるようです。そうすると、不毛な論議になってしまうんですよね。
・よく話題になる話で「血液型性格論」があります。血液型によって性格が違うというのは、科学的に言って根拠のない話です。心理学者として、それをきちんとみんなに知らせなくてはいけないと思います。私も授業で話しています。
でも、あまりにもムキになって反対しても、どんな意味があるのか、よくわかりません。天文学者が、星の位置と人の性格や人生とは無関係だとどんなに力説したとしても、それでもやっぱり星占いが好きな人は、好きなままでしょうから。
・金縛りは、思春期から青年期にかけて、寝不足や過労気味の時に起こるようです。必要以上に不安がってしまうと、また金縛りにあうことに強い不安をもち、それが次の金縛りを引き起こしてしまうこともあります。
金縛りもその一つなのですが、ウトウトと眠りかけたとき、それから朝だんだんと目が覚めかかったとき、起きているときとも寝ているときとも違う不思議な感覚を味わうことがあります。
科学者が、科学的に説明しても、やっぱり不思議な感覚であることには違いありません。私は、眠る直前に、体がゆりかごで揺り動かされているような感覚を持つことがあります。こういうふうに感じたときには、いつもぐっすり眠れるので、私はこの感覚を楽しんでいます。
・先日、夜、パッと輝く光を見ました。あれは何だったのでしょう。UFOか、はたまたオバケか。それとも、車のライトか、誰かが写真をとったのか。わかりません。私の答えは、「わからない」です
UFOも心霊現象も、それを信じ、見たいと思っている人は、そうでない人よりも、実際に「見る」そうです。本物を見たのかもしれません。「何か」を見たときに、そう「思った」のかもしれません。
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:有名な反オカルト、反超常現象の大槻先生の本
『オカルト徹底批判 (朝日ワンテーママガジン 28) 』
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:人はなぜ誤った記憶をつくリ出すのか。「エイリアンに誘拐されたことがある人求む」ハーバード大の心理学者である著者は、記憶の研究の被験者を募る新聞広告を出した。集まったのは、ごく普通の人たちだった―奇妙な思い込みをのぞけば。(amazon)
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