心理学総合案内「こころの散歩道」/マインドコントロール研究所/2
2. マインドコントロール・洗脳・催眠・教育 |
マインドコントロールを受けている人たちに、「あなたは洗脳されている」などと言うと、「私たちは拷問も監禁もされていない、洗脳などされていない」と、すぐに反論されます。たしかに、マインドコントロールと洗脳とは違います。
洗脳は、暴力的な方法を使った強制的な思想改造です。
監禁、脅迫、飢餓、暴力、強姦、薬物など、ひどい虐待方法を使います。その中で、優しく接したり、受け入れやすい要求を少しずつ出しながら、思想を変えていくのです。このような方法が成功するときもありますが、一般的には、普通の環境に戻れば思想も元に戻ることが多いようです。
私たちの社会で、このような虐待を行えば、犯罪です。
これに対して、マインドコントロールはもっとソフトで巧妙な方法です。現在の法律では、マインドコントロールの方法自体を罰することは難しいでしょう。しかし、マインドコントロールされた人たちは、洗脳の場合よりもずっと長期にわたって影響を受け続けるのです。
なお、マインドコントロール問題に関心のある弁護士さん達は、将来的にはマインドコントロールの犯罪性を法的にも確立させたいとお考えのようです。
テレビなどで、よく催眠術ショーをやっていますね。あれはインチキかといえば、そんなことはありません。ただし、「3、2、1、エイ!」だけで、そんなに深い催眠状態にすることは難しいのです。
そこで、本番前に時間をかけて深い催眠状態にしておくことはあるようです。また催眠にかかりやすい人を選んで置くこともあるようです。催眠は、かかりやすい人と、そうでない人がいるのです。
催眠状態とは、暗示にかかりやすい状態のことです。これを利用して、乗り物酔いの予防をしたり、不眠症の治療をしたり、様々な心の問題を治療することができます。破壊的カルトの中でも、催眠状態を利用することはあるでしょう。
だだし、催眠だけで、人を自由に操ることはほとんど不可能です。テレビのショーで、催眠にかかった女の人が服をを脱ぎ出すなんて場面があります。あれは、インチキではないでしょうが、その出演者は、テレビカメラの前で服を脱いでもいいと、最初から思っている人なのです。
そんなことは絶対にイヤだと思っている人を、催眠の力で裸にすることはできないのです。マインドコントロールの中で、広い意味での催眠的な手法が使われることはあるようですが、催眠だけで、人の人生を変えてしまうような心のコントロールはできません。
(補足:心理学関係の人は、「催眠術」という言葉を嫌います。なんだか見せ物みたいだからです。単に「催眠」といったり、「催眠療法」といいます。)
マインドコントロールを受けてしまっている人に、それを指摘すると、「あなたこそ、世の中にマインドコントロールされていて、真実が見えないのだ。」などと反論されます。
たしかに、一般の教育だって、何かを教え込もうとしているわけです。また、戦争中の教育などは、国家をあげてのマインドコントロールだったという人もいます。そういうことも可能でしょう。しかし、現在、一般的に行われている教育とマインドコントロールは全く違うものです。
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もちろん、よい行動には報酬を与え、悪いことには罰を与えているでしょう。ただし、マインドコントロールのように極端ではありません。そのときどきの行動によって、クラス1のヒーローになったり、クラス全員の敵である「サタン」になったりはしないでしょう。また、普通の教育現場では、日常生活の細かい部分の行動まで規定することはないでしょう。
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マインドコントロールでは、その組織の教えに疑問を持たせません。ある組織では、疑問が生じたら、すぐに考えることをやめて(思考停止)、すぐに指導的立場の人間に連絡をとるようにしています。
教育場面では、むしろ疑問は歓迎されるのではないでしょうか。どうしてなんだろうと疑問を持って、自分で進んで勉強できる(自己教育力)、こういう人間を育てようとしているのです。*
マインドコントロールでは、不安や恐怖を使って、思想を教え込み、行動させます。それでは、普通の教師が生徒の不安や恐怖心をかき立てて、授業をしているでしょうか。もちろんそんなことはありません。
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学校では、文部省検定以外の本を読んではいけないと教えているでしょうか。それとも、教科書以外の本が全く読めないほどの過密なスケジュールを押しつけるでしょうか。そんなことはないでしょう。生徒たちは、いろんな本を読むことができます。いろんな人の話を聞くことができます。
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マインドコントロールは、個性を奪い、個人を集団に取り込む技術です。個人を組織発展の道具にしているのです。一方、教育の目的は正反対です。たしかに教育においても、社会に適応し、社会に貢献できる人物を育てることは重要です。しかし、それでも教育の第一の目的は、個人を尊重し、人格の完成を目指すことにあります。
本来の教育ではない、悪い教育が行われることはあるでしょうが、それはまた別の問題です。現在の日本における普通の教育と、破壊的カルトが行っているマインドコントロールとは全く違うものなのです。
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