これまでみてきたように、出会い系サイトでは恋愛感情が一気に高まる。恋愛心理学的にみて、恋愛感情が高まりやすい条件がそろっている。ウソも簡単につける。現実の世界で異性と知り合えないような人でも、ネット上では知り合い、関係を深めることができる。
しかし、実際に出会ったとたんに、現実の世界が待っている。想像していたほどのすばらし異性ではないかもしれない。自分が想っているほどには、相手は本気の恋愛感情を持っていないかもしれない。
ちらりと見て、あっさりと別れられれば問題はないだろう。だが、高まった恋愛感情がそう簡単には下がらないこともある。人は、ある感情を持ったときには、それを考えれば考えるほど、感情は高まる。愛も、憎しみも。
バーチャルな世界で作られた理想の人間関係が、現実の世界で一挙に破壊されるとき、激しい感情が脳の中を嵐のように吹き荒れ、普段の理性は消え去ってしまう。
こうして、これまで恋愛関係のトラブルや異性問題も起こしたこともなく、暴力事件も起こしたことのないような人でも、犯罪者になってしまうことがある。
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さらに、最初から犯罪を目的としてネットに入り、相手の恋愛感情をもてあそぶ人間もいるだろう。ネット犯罪が報道されるたびに、犯罪予備軍はニュースから犯罪の方法を学んでしまう。
出会いサイトで知り合って、簡単に実際に会う人々がいると知れば、悪意を持った人々がそれを利用しないわけはない。
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さて、これだけたびたび報道されながら、なぜ被害は減らないのか。まず、利用者の全体数が増えていることがあるだろう。しかし、心の問題としては、人々がこう思っているからだ。
「なるほど、怖い事件だ。でも、私は大丈夫。」
そうではなくて、こう思おう。
「私にも危険があるかもしれない。」
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