「心理学総合案内こころの散歩道」自殺の心理/残された人:自殺遺族支援
日本には推計300万人の自死遺族(自殺遺族)がいます。
ウェブマスターによる新刊(2010年5月27日発行)
『あなたが死んだら私は悲しい:心理学者からのいのちのメッセージ』
自殺で苦しむ全ての人のために
ショックですよね。とても残念です。しっかりしなくちゃいけませんとか、亡くなった方の分まで強く生きましょうなんて、私にはとても言えません。
どうしてこんなことになったのか。もっと、ああすればよかった、こうすればよかったと、考えずにはいられない、そうですよね。
自殺される方の多くは、事前に自殺のサインを出します。部屋を整理したり、大切なものを人にあげたり、改まってお礼を言ったり、電話をかけたり、手紙を書けたり。
そこで、はっきりと自殺の予告をしてくれればわかりますが、そうでなければ、自殺のサインだとはなかなかわかりません。わからないほうが普通です。
そりゃあ、自殺のサインだと気づいて、自殺を止めることができていれば、どんなに良かったでしょう。でも、後からはわかっても、その時にはわからないのです。
*
以前担当した女子学生の話です。高校時代、友達から電話がありました。けれども、その日は次の日がテストで忙しく、つい居留守を使ってしまいました。
その日。友人は自殺しました。
この女子学生は、とてもまじめで誠実な人です。そのとき、どれほど自分を責め、苦しんだことでしょう。
でも、彼女は後にこの経験を心の中で整理することができ、大学の卒業論文のテーマに、自殺の問題を取り上げました。
*
自殺のサインに気づかなかった。手紙や電話に、きちんとした対応ができなかった。そんなとき、自分を責めたくなるのは当然です。でも、後からはよくわかっても、そのときにはなかなかわからないのです。
身近な人がこんな形で亡くなってしまった。悲しむのは当然です。取り乱しても当たり前です。たくさん泣いて良いと思います。
でも、自分を責めないで。
必要以上に自分を責めても、何も良いことは生まれません。
あなたに、がんばれなんて言えませんが、でも、あなたが今、亡くなった人のために、家族や友人のために、何かできることがあって、それをすることができれば、それはとても良いことだと思います。
それから、どうぞ自分を大切にしてください。その直後は気も動転しているでしょうが、栄養をとり、休息をとり、事故など起こさないように。そして、今あなたがしたいと思うことを、できることを、どうぞなさってください。
残された人は、どれほど傷つき、悲しむでしょう。あなたの死は、あなただけの問題ではありません。どうか、死なないで。別の解決策を考えて。
死にたいと思っているなら、あやふやな自殺サインではなく、はっきりと、だれかにあなたの気持ちを伝えてください。自分は今、死にたい気持ちだと。
親や教師への復讐として自殺してやろうと思っているあなたへ。いじめっ子が叱られるために自殺してやろうと思っているあなたへ。
君の命は、そんなに安っぽいの? 憎いその人のために自分の命を投げ出すの?
そんな方法じゃなくて、きっと別の道があるはずです。
今日このページを書いたのは、予定通りでもなく、何かの本を読んだからでもありません。たった今、友人が自殺したことを知り、悲しみ、苦しんでいる人に実際に会ったからです。そのケース自体のことは、上には何も書いてありませんが、みなさんにもお話したいと、強く感じました。99.9.2
ウェブマスターによる新刊(2010年5月27日発行)
『あなたが死んだら私は悲しい:心理学者からのいのちのメッセージ』
自殺で苦しむ全てのひとのために
BOOKS(自殺遺族支援の本amazon)
『自殺って言えなかった。』
『自殺予防・自死遺族支援の現場から』
『さよならも言わずに逝ったあなたへ―自殺が遺族に残すもの』
『自殺で家族を亡くして―私たち遺族の物語』
自殺と自殺予防の心理学へ戻る
(一般的な自殺の心理に関してはこちらへどうぞ)
心理学総合案内「こころの散歩道」トップページへ戻る
(人の不思議と心の仕組みを探ります。Yahoo!Jサングラスマーク)
心理学入門| 社会心理学(対人心理学)| 心の癒し(いやし)・臨床心理学| やる気の心理学| マインドコントロール| ニュースの心理学的解説| 自殺と自殺予防の心理学| 犯罪心理学・ 少年犯罪の心理学(非行の心理)| 宗教と科学(心理学)| プロフィール・ 講演| 心療内科| リンク| 今日の心理学(エッセイ) | 掲示板