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少年犯罪の心理学

暴力の心理

福島章著 月刊「児童心理」98.6 金子書房


 神戸の事件や少年のナイフ事件などに関連して、多くのことを書いてきましたが、ここでは、一般的な少年犯罪に関わるさまざまな問題を考えていきたいと思います。

・第一回目は、暴力と攻撃について考えたいと思います。

要約

1.暴力と攻撃

 「攻撃」は本能的なものであり、時には必要なこともある。この攻撃性に「悪」の要素が入って「暴力」となる。

2.暴力のコントロール

 攻撃性が、社会や文化の影響によって暴力となる。これをコントロールするのは可能だ。

3.情報の2つの効果

 テレビなどの暴力シーンは、それによってすっきりして暴力が減る効果(カタルシス効果)と、逆に暴力的な行動を学んでしまう効果がある。一般に情報の内容だけが論議されることが多いが、情報の受け手である子供の状態を考えなくてはならない。

4.「少年暴力」というラベル張り

 今、子供の暴力が問題になっているが、統計的にこの15〜25年を見ると、むしろ少年非行は減っている。安易な情報統制や子供への圧力は、子供に悪影響を与える。


ウェブマスターのコメント

 人間の攻撃心は、本能的なもので、押さえることはできません。それに、攻撃心がいつも悪いわけではありません。スポーツで相手チームを打ち負かそうとしたり、社会の中の悪と戦おうとする攻撃心は、悪いものではありません。

 福島氏は、攻撃と、そこから悪い形で現れる暴力とを区別しようと述べています。暴力は防ぐべきものですが、暴力を敵対視するあまりに、健全な攻撃心まで押さえ込もうとしてしまうのは、かえって悪い暴力を生むことさえつながります。

 「良い子」を育てようとしすぎて、攻撃的な部分を全部否定してしまうのは、逆効果です。

 人間の攻撃心を、勉強やスポーツや市民運動など、より良い形で表すことが必要です。暴力的な子供たちは、環境に恵まれず、自尊心が低いために、攻撃心を暴力という悪い形で表してしまうのです。

 最近、少年犯罪や子供の暴力が強調される中で、子供への圧力が強まっているように思います。たしかに、子供を甘やかすことはいけません。厳しさも必要です。しかし、だからといって子供の心を無視し、押さえつけるる大人の態度は、そちらの方こそ暴力的態度になってしまいます。

 現代社会が急変する中で、現代の子供たちも変化し、理解が難しい点はあります。しかしだからといって押さえつけるのではなく、安心して能力が発揮できるような環境が必要です。そのような環境で、健全な精神が育ち、社会に受け入れられるようなファイとある態度が育つのではないでしょうか。


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犯罪心理学:心の闇と光

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