新潟日報 2000.1.30 朝刊
新潟青陵短大 碓井真史教授分析
九歳で失そうした女性が九年ニカ月ぶりに保護される前例のない特異な事件に、心理学の専門家からは「ストックホルム症候群」の可能性を指摘する声が出ている。
同症候群とは、スウェーデンのストックホルムの銀行で長期にわたる監禁事件が起きた際、運命共同体的な環境に置かれた被著者と犯人の間に、ある種の「感情」が芽生えた有名な事件だ。
新潟青陵短大の碓井真史教授(社会心理学)は「犯人に逆らえばどうなるか分からず、また犯人に頼らざるを褐ない状況で、感謝の念のような感情が生まれることがある」と解説。
「犯人に逆らい続ければ殺される可能性もある中で、このような感情は人間が心と体を守るためのしくみという、見方もある」
また同様の事件が起こると「なぜ逃げなかったのか」という意見が出ることについては、「被害者を賛めるそのような指摘は絶対に当たらない」と反論。「人間の心は弱い。いったん強い恐怖心と不安を植え付けられれば、物理的に拘束されていなくても、心の鎖でつながれている」と被著者心理を代弁する。
女性の家族は、行方不明になってからも毎日食事を用意したり、情報提供を求めるなどしてきた。碓井教授は「今後は家族がずっと大事に思い、愛し続けてきたことを、彼女に伝えることが大切」と心のケアを訴えている。
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