こころの散歩道/犯罪心理学/小学校乱入/読者


大阪児童殺傷(包丁男小学校乱入)事件の犯罪心理

読者の皆さんと共に


2001.6.29

このページは、当サイトの掲示板へ寄せられたご意見に対する
ウェブマスター(うすいまふみ)からのお答えの再掲載を中心として作成されています。

" こころの散歩道・掲示板 "-掲示板について
この掲示板は、本事件専用のものではなく、「こころの散歩道」全体の掲示板です。自由にご発言いただいてけっこうなのですが、心に痛みを感じていらっしゃる方のご訪問もございますので、良識ある書き込みをお願い申し上げます。


1134.  Re: ザルの改善を  うすいまふみ  [URL]  2001/06/22 (金) 23:41

> 彼らに「責任がない」という表現は、紛らわしいというか厳密にはおかしいので、

当サイトは心理学のサイトですが、ここでは一市民として関連の刑法について学びながら、議論を進めているところです。

刑法では、「責任なければ刑罰なし」と表現されるように、違法なことをしても「責任」がなければ、罰せられません。ここでいう「責任がない」とは、故意や過失がない場合と、年齢や心神喪失によって「責任能力」がない場合です。彼らには、刑法上の(刑事)「責任」はありません。

(この言葉の使い方で間違っていないでしょうか。どなたかお詳しい方で間違いにお気づきでしたら、ご指摘ください。)

あくまでも、刑法の話で、道義的な責任についての議論はまた別の話です。

こんな理屈っぽい話を事件直後の傷ついている被害者に話すのは、不適切だと思います。ご指摘のとおりです。

また、刑事責任のない14歳未満の触法少年にも、被害者の痛みを感じ、人としての責任を感じさせることは、更正のためにももちろん必要なことだと思います。

> 賠償金は、刑罰ではないにしても、連帯責任が問われた結果のペナルティですよね。

ここでも、私の前の投稿は刑法の話です。現代の刑法上では、家族に連帯責任を取らせるということを考えていません。(正しいと思います。)

> 「責任がない」という表現は、〜誤解を助長しかねないものであり、

そうですね。良い指摘をありがとうございます。ある人はあくまでも刑法上の話をしているのに、ある人は道義的な責任の話だと思ってしまっては、議論がかみ合わないでしょう。

> 責任能力判断の根拠となる精神鑑定は、アートなのですよね。
> 見極めに不備があるのは、確かなのではありませんか。

そうですね。たとえば、司法解剖で死因や死亡時刻を鑑定したり、筆跡鑑定を行ったりするのも、精神鑑定と同様に、科学的なデータに基づいているとはいえ、見る人によって判断が変わってきたりしますから、どの鑑定も一種の「アート」であり、完全ではないでしょう。

ですから、これらの鑑定結果は、証拠のひとつに過ぎません。検察、弁護側、どちらかの要求があれば、別の鑑定人によって鑑定が繰り返されることもあります。そして、いずれにせよ最終的な判断を下すのは、裁判官です。

鑑定も裁判も、可能性としては、無罪のものを有罪にしてしまうこともあれば、有罪のものを無罪にしてしまうこともあるでしょう。

つづく

1135.  Re^2: ザルの改善を  うすいまふみ  [URL]  2001/06/22 (金) 23:44
つづき

社会の治安を守り、そして私たちみんなの人権を守るために必要があれば、法の改善はすべきでしょう。

しかし、私たちの間で、精神障害に関する誤解や偏見があるままでは、望ましい議論ができないのではないかと思っています。

こんな凶悪事件の直後は、世間の人々が、法律や精神科医療に疑問を持つことはよくわかります。

しかし、現実以上に現在の法律や精神医学を否定的に判断し、はげしい言葉で頭ごなしに否定するような表現が広がってしまうと、精神障害者への偏見がますます強くなり、そして、かなり強い、行き過ぎた改正論が出てきてしまいそうで心配なのです。

精神障害者のほとんどは、病気に苦しみ、社会からの偏見と差別に苦しむ社会的弱者だと思うのです。

私たちみんなが、基礎的な知識と正しい現状判断をした上で、議論を進めたいと切に願っています。

「私たちは事件から学ばなくてはなりませんが、学びすぎてはいけないと思います。」(福島章 談)

 全米精神衛生協会のローラ・ヤング副会長「地域の受け入れ、医療、職業訓練、就職、住居の確保など総合的なケアが必要。」

 池田市の事件について、アメリカのサルツァー弁護士「精神障害者が暴力的というのは誤った認識。ひとつの悲劇だけから政策を作り出すと、多くの場合、失敗する」

みなさまの投稿を感謝しております。
ありがとうございました

1121.  Re: 酔っ払いはチガウでしょうに <横レスです  うすいまふみ  [URL]  2001/06/22 (金) 06:52

> 〜もっと恐ろしい犯罪をもっと多く起こしているのは、酔っ払いでもなく、精神病院の患者でもなく、「普通の人々」なのだと、私は思います。
>
> 数から言えばそうです。
> でも、凶悪な犯罪を犯した「普通の人々」は少なくとも一定期間投獄されるでしょうし、再犯をおかさないように更正させる手立てもあるでしょうが、精神病の凶悪犯罪者は投獄されず、〜

報道によると、宅間容疑者が、お茶に薬を入れて逮捕されたとき、もし起訴していれば、罰金刑で済んでしまっていたそうです。そこで、警察はあえて起訴せずに、措置入院という身柄が拘束されるほうを選んだということです。

また、たとえば強姦罪でも、初犯であればたいていは執行猶予がつくそうです。もしも精神障害者が女性に抱きついて、自傷他害の恐れありで保護されれば、措置入院でしょう。

(レイプ犯が少年であれば、初犯であっても、まず少年院などに入所することになるそうです。)

心神喪失でも心神耗弱でもない(という意味では「酔っ払いでも患者でもない」)快楽殺人者が、一人を殺したところで逮捕されれば、数年で、更正のための特別な処遇も受けず、釈放されてくるでしょう。

世間では、責任能力のある、患者でもない「普通の人々」の刑法犯はみんな厳しい刑罰を受け、その一方、触法精神障害者は野放し状態と感じている方がいらっしゃるかもしれませんが、そうではないと思います。

つづく

1122.  Re^2: 酔っ払いはチガウでしょうに <横レスです  うすいまふみ  [URL]  2001/06/22 (金) 06:54
つづき

> 〜知らない内に、いいかげんな精神科の判断により、更正のならないままそこらへんを歩いているんじゃあないですか?

一人一人の違いを考慮し、更正を目指すという意味では、たぶん少年法が一番きちんとやっていると思います(お金もかけているでしょうから)。普通の人々の刑法犯は、決められた数年間を他の囚人と同じように過ごせば、出てきます。

だから良いといっているのではありません。ただ、もしも世間の人たちが、法を犯した「普通の人」はきちんと罰せられ、「精神病」のだけがまともに罰せられたり、更正を目指したりしていないと、過剰な対比で見てしまっているとしたら、それは間違いではないかと思うのです。

他の投稿でも述べているように、法に反することをしても、「精神病患者は特権的に無罪」という考えの方がいらっしゃれば、それは誤解です。

> いいかげんな精神科の判断

どの職業でもいい加減な人はいるでしょうが、多くの精神科スタッフは、患者が法を犯しても良いなどと思っているわけがありません。

それに、退院させ、その後凶悪事件でも起こせば、大変なバッシングを受けるでしょう。

いい加減な医者なら、むしろ法的、医学的には退院させてよくても、自己保身のために入院させつづけてしまうかもしれません。

しかし、いつまでも措置入院させつづけることは、法的に許されていません。

報道によると、「日本精神病院協会」は重大犯罪を犯した精神障害者の処遇について、精神医療に司法が関与する新たな体制の確立を求める声明を発表しました。

立場や考え方に差はあるものの、触法精神障害者が再び同じことを繰りかえさないようになることは、みんなの願いだと思います。

ただ、現状では、精神病に関する様々な誤解、偏見が多く、このままでは正しい論議の妨げになるのではないかと恐れています。

被害を防ごうという点では一致できるのですから、
今、問題なのはむしろそのことではないでしょうか?
と、心理学サイトの管理者としては思うのです。


1115.  Re: 責任と能力  うすいまふみ  [URL]  2001/06/21 (木) 18:51

書き込みありがとうございます。

> 私も法律は素人なのですが、

私もです。

> 「Aに責任がない、Bの責任である。」

責任のない者の行為は、刑法によって罰することはできません。

責任があるとは、故意や過失がある場合で、何も知らずにだまされた場合などは、法に触れることをしても、責任がないので、犯罪とはみなされず、罰を受けせん。

だました人間には、責任がありますが、その人を逮捕できなければ、誰も罰することができないことになります。

故意や過失があっても、責任が問えない場合があります。14歳未満の子どもや心神喪失者で、「責任無能力」とされ、責任がないので法に触れる行為をしても犯罪とみなされず、犯罪者ではなくて、触法少年、触法精神障害者と呼ばれます。

(ここでいう責任は、法的な責任、刑事責任のことで、道義的な責任はまた別の話です。)

> 「本来Aに責任があるがAは能力不足であるため〜

この場合は、14歳以上の子どもや心神耗弱状態で、「限定責任能力」ということで、刑罰が軽くなります。

(子どもという線をどこで引くかは議論できるでしょう。選挙権を何歳から与えるかを議論できるように。)

> その代わりAの能力不足を補うべきBの連帯責任を問う。」

うーん。これはどうでしょうか。江戸時代ならともかく、今の法律では、たとえば子どもが法に触れることをしたからといって、家族が罰せられることはありません(民事裁判で賠償金を請求されることはあるでしょうが)。私は、江戸時代に戻れば良いとは思えません。

> 「これまでの見極めには、かなり不備があったのではないのか、〜
> という疑問は、刑法の大前提というか基本を揺るがすものでは全然なく、〜

おっしゃるとおりですね。心神喪失ではないのならば、そのように正しく裁かれて罰を受けるべきです。

今まで、責任があるのに心身喪失とされてしまった人はいるでしょう。そして、本当は心身喪失状態だったのに、わかってもらえずに罰を受けてしまった人もいるでしょう。

また、法的責任のない触法少年も、家族のもとの自由な生活を離れ、施設で教育を受けることがあります。触法精神障害者も、措置入院の制度はありますが、それ以外の方法も工夫できるかもしれません。

ありがとうございました


1054.  Re: 酔っ払いはチガウでしょうに うすいまふみ  2001/06/16 (土) 22:39

投稿ありがとうございます。

> 酔っ払いが攻撃的になっても、思考能力の低下と同時に運動能力も低下して大した事はできません。

日本にはあまりはっきりとした統計はないようですが、たとえば、スウェーデンでは、アルコールと暴力事件の関係を調べるために、ビールの濃度を試験的に濃くしたところ、暴力犯罪が増加しました。

犯罪精神医学者の影山任佐は、こう言っています。
「日本の場合、お酒を飲んだ上での殺人事件が圧倒的に多いわけです。」

ちなみに、ただの酔っ払い(単純酩酊)の場合は、完全に責任能力が認められます。病的な「異常酩酊」の場合は、精神鑑定で責任能力が問題にされることがあります。(今、調べて確認しました。私の法知識は、ま、こんなもんです。)

酒による傷害や殺人はずいぶん多いのに、たいした注目を浴びず、一方、「通院歴あり」なんていう人の犯罪は大きく報道されるように、やはり私には感じられます。


991.  Re: なにかが足りない。 うすいまふみ  2001/06/15 (金) 03:23

H 様

投稿ありがとうございます。

>あなたは犯罪をネタにご飯食べてませんか?

当サイトからは、1円の収入も得ていません。
犯罪報道や犯罪捜査や犯罪人の弁護によって収入を得て生計を立てることが、悪いことだとは思えませんが、

>広告代でもかせいで

当サイトは、大学内のサイトであり、研究教育目的で作成されるもので、広告収入を得るのは問題があると思っています。

>印税は当然ネタもとの被害者にも送っているのでしょうね?

小額ながら送ることはありますが、具体的に書くつもりはありません。

(一般的には誰かが寄付したときには、遠慮しないでどんどん発表して、さらなる寄付金の呼び水になってほしいとは思います。)

印税はいただいておりますが、数百円の本が1万部か2万部売れても、残念ながらそれで食べていくことはできません。

それでも、犯罪に関する本を書くときには、実を言えば当初かなり抵抗がありました。そのあたりの事情は下記をご覧下さい。悩んでいたときに、ある被害者から「ありがとう」のメールをいただいたときの話です。

http://www.n-seiryo.ac.jp/~usui/news2/2000/9nen/hajimeni.html


> 行動・・・これがないのです。学者の駄目なところです。

行動していない学者もいれば、行動している学者もいます。何の職業の方でもそうではないでしょうか。行動している人もいれば、行動していない人もいる。

さて、私はといえば、某被害者団体とのかかわりをもつなど、まったく行動していないわけではありませんが、行動的な学者さんのように市民運動をリードしているわけでもなく、とても大きな声で行動しているとはいえません。

> 行動・・・

ところで、サイトを運営したり、出版活動をするのは、「行動」ではないのでしょか。

>「言葉」・・・「言葉」だけ。

友人との雑談で話しているだけなら、「言葉だけ」かもしれませんが、実名で意見を公にすることは、「行動」ではないのでしょうか。

匿名だって、マスコミや行政に向けて声を上げる、メールを出すことは「行動」だと思います。

意見を公にすれば、当然手厳しいご批判を受けるときもあります。面倒なことに巻き込まれそうになることもあります。サイトをはじめたころ、少し考えました。

苦労ばかり多くて、お金にはならない、研究業績(研究者にとってはこれが大事なもの)にもならない。世の中の学者さんたちが一般向けのサイトをあまり作ったりしないのも、わかるなあ。

つづく

992.  Re: なにかが足りない。2  うすいまふみ  [URL]  2001/06/15 (金) 03:26
つづき

けれども、どんどん増えるアクセス、時折いただく応援や感謝のメール。それが、エネルギー源になりました。ほんとうに、読者の皆さんによって支えられていると感じています。

ある学者さんは、今起こったばかりの良くわからない出来事にはコメントできないと考えます。だから、マスコミ取材にも応じない方もいらっしゃいます。たいへん見識のある態度だと思います。

しかし、私は思うのですが、私たちが黙っていれば、別の人たちが大声を出します。10年経って、出来事の分析が終わってから声をだしても、もう遅いのではないか。わからない部分は多くても、少しでも誤解や偏見が広がらないように、意見を出すべきではないのか。

兵士は、銃を撃ちますが、カメラマンはその写真をとり、新聞記者はそれを文字にします。それぞれ、自分の仕事を精一杯していると思います。

私の仕事は、調べ、考え、発表することです。多くの場合、教室や学会や専門書や教科書の上で行われますが、私はネットとマスコミの上でも、発言したいと考えています。

>150万以上のアクセス

私が駅前でチラシを配るよりも、いくらかは効果があると思います。

>〜いるのでしょうね?
>〜すべきです。

何かを自発的にはじめた人は、外からも、自分の心の内からも、「なぜ、もっと〜しないのか」「〜もすべきだ」という声がやってきます。際限なくやってきます。辛いことです。でも、何かを自発的にはじめた人間が背負わなくてはならないことだと思っています。

>なにかが足りない

おっしゃるとおりです。まだ、なにかが足りない。まだ、まだ足りない。
(こんな書き方をするとなんだか息苦しくなりそうですが、そうではなくて、もっともっとできることがあるという希望の表現です。)

> あなたのひいきのイエス様は〜

キリストの歩んだあとの道を歩くのが、私の人生の目標です。

(なかなかできませんけどね。でもそれは、苦しい修行などではなく、楽しい、やりがいのある人生です。マザーテレサは、本当に楽しそうに毎日働いていましたから。)

Hさん、貴重なご意見をありがとうございました。なんだか初心に返って、基本的な部分を考えることができました。

追伸

>精神障害者施設のボランティアやってます

知的障害者の施設ですか? 私は、彼らの透き通るような素直な心に接すると、自分の心が癒されるような気持ちがします。

982.  Re: 裁判  うすいまふみ 2001/06/14 (木) 14:24

> 障害があるからとかいう理由で人を殺してもいいの?
> 殺された人の遺族はいったい何を憎めばいいの?
> 憎んだ所でどーなるわけでもないけど、絶えられないと思う。
> バカと思われるかもしれないけどこれが私の思い。

精神障害で心神喪失状態だからといって、人を殺して良いわけはありません。殺してはいけません。そんなことにならないようにしなくてはなりません。

私たちの法律では、心神喪失を含め、責任能力の無いものは罰しないというルールを作りました。私は、それに賛成です。しかし、どんなに理屈を言っても、被害者の悲しみ、憎しみ、悔しさはあるでしょう。

それは、決してばかな考えなどではなく、当然のことであり、大切な論点だと思います。

では、それはどうしたらよいのか。大きな問題です。それは、刑法の問題というよりはむしろ、他の法律の整備を含め、私たち社会全体で考えなくてはならないことだと思います。

経済的にも、肉体的にも、心理的にも、どうすれば被害者は癒されていくのか。ご一緒に考えていきたいと思います。


974.  精神病だから無罪?  うすいまふみ  [URL]  2001/06/14 (木) 08:38
いつも皆様からの貴重な情報、ご意見、紳士的な議論に感謝しております。

今回の事件の容疑者は、今のところ責任能力は問えると判断できそうですね。

さて、犯罪を犯しても「精神病患者だから」という理由で無罪になる法律は存在しないと思います。

(むしろ、精神障害により自傷他害の恐れのあるものは、法的には「犯罪」をおかしていなくても、強制入院という形で「保護」されます。)

ご存知のように、刑法39条では、「心神喪失者の行為は罰しない」とあります。

「心神喪失」とは、精神の障害のために善悪の区別がつかないか、善悪の区別がついたとしてもそれに従って行動することができない状態のことです。

精神分裂病だから罰しないのではなく、精神分裂病のために、その行為を行ったときに心神喪失状態であっとときに、罰しないのです。

(たしかに、以前は精神分裂病と診断されれば心身喪失とされてしまう傾向もあったようですが、現在では良い正しく法律が運用され、そんなことはなくなってきているようです。)

精神分裂病で入院中の患者が殺人を犯しても、犯行時に心神喪失状態ではなかったとされれば、当然刑事罰を受けます。

それでは、なぜ心神喪失者が罰を受けないかといえば、それは責任能力が無いからです。

そもそも、ある行為が「犯罪」とされ、刑事罰を与えられるためには、1)法に触れるような行為であること。 2)違法であること そして3)その人に責任のあることが必要です。

たとえば、1)人を殺す 2)正当防衛などではない(正当防衛と認められれば罰を受けません)。 そして、責任(罪を犯す意思か過失)があるとき、はじめて「犯罪」とされます。

38条では罪を犯す意思が無い行為(故意ではない場合)は罰しないとあります(ただし「過失」がある場合は別)。

つづく



975.  精神病だから無罪?2  うすいまふみ  [URL]  2001/06/14 (木) 08:40
つづき

たとえば、「ねえ、この荷物、日本まで運んでくれない?」 と頼まれたおじさんが、本当に知らないで麻薬を運んでしまった場合、違法ですが、故意でもなく、過失も無ければ、「犯罪」とはされず、罰せられません。

たとえば、医師が何も知らない看護婦をだまして誰かを毒殺させた場合、看護婦に故意も過失も無いとされれば、彼女が犯罪者とされることはありません。

そしてさらに、故意や過失があっても、心身喪失状態や小さな子どもの場合には、責任能力がないとされ、「犯罪」とはされずに罰せられません。

小さな子どもが、「この白い粉は麻薬って言う大切なものなので、大事に運んでね。」といわれて運べば、故意に麻薬を運びましたが、善悪の判断がつかなかったわけですから罰せられません。

だれかをわざとドンと突き飛ばして怪我をさせれば、普通は傷害罪ですが、突き飛ばそうと思って故意に突き飛ばしても、心神喪失で善悪の判断がつかなければ罰せられません。

心神喪失状態は善悪がまったくわからないか自分の行動をコントロールできない、責任能力の無い状態です。

精神病患者が、特権的に刑事罰を免れているのではなく、「責任の無いものは罰しない」という刑法の大前提にしたがっているだけです。

責任(故意や過失)がなくても罰するというのは、刑法の基本を揺るがす考えです。上の例で書いたおじさんや看護婦のように責任のない行為者が罰せられるのは、おかしなことです。

それでは、精神障害による心身喪失ということだけを例外としましょうか。しかし、それではなぜ、さまざまある責任のないケースの中で、精神障害だけが例外とされなくてはいけないのでしょうか。

(ふー、疲れた。ほんとに法律って、難しくてわかんないねえ。え〜、精神障害者の違法行為についてはいろいろなご意見があると思いますが、とりあえず、ここに書いた法解釈自体は間違っていないでしょうか。もし私の誤解があれば、お教えください)

ありがとうございました。



972.  Re^2: 事件に思う  うすいまふみ  2001/06/14 (木) 08:06

> > 過激な意見かもしれないけれど、男性だから無差別に子どもを狙えたのかもしれない。(過激すぎるでしょうか)
>
> 他の点では、同じ意見ですが、こればっかりは(うすいさんは解ると言ってますが)ちょっと…
> やっぱり、動物としての狩猟本能からってことですか?

本能かどうかはわかりませんが、統計から見ると、男は女の5倍人を殺しています。

しかも女性が殺す相手の9割が家族や愛人などで(男性の場合はこの比率が4割)、そのうちの半分が母子無理心中で自分が死にきれずに殺人罪で起訴されたケースです。

さらに、強盗殺人とか、包丁を振り回したり銃を乱射して他人を大量に殺すような殺人者は、ほとんど男です。

さて、実は私は男が危険だといいたいわけではありません。よく何かの病気の人は危険だとか、この民族、この地域の人は危険だとか、いろいろなことが言われますが、だったら、「「男」であるということはもっと危険性がありますよ。」「でも、だからといって男全体を危険視して鎖でつないでおけ、なんて主張はおかしいでしょ。」ということが言いたいのです。

861.  Re: でも、何かが違う気がします・・  うすいまふみ 2001/06/11 (月) 10:16

> 事件が起きてから、あちこちの掲示板などで「犯人に被害者と同じ苦しみを味わわせてやりたい」とか、「私が犯人を殺してやりたい」といった意見を目にしますが、これはいかがなものでしょう。
> もしも、被害者のご家族や知人の方からのご意見なら納得できますが・・

そうですね、実を言うと、私も少し違和感を感じます。

> しかし、第三者であるかぎり私は、犯人に対して「怒り」は感じますが「憎しみ」を感じることはありません。(微妙な表現ですが)

まあ、私は「憎しみ」を感じることもありますが(微妙な表現です)。

> むしろ、「私の手で犯人を殺したい」というたぐいの意見が飛び交っている現状には、違った意味の怖さを感じてしまいます。

同感。

> 第三者が、このような過激な意見を述べるのは、何かが違う気がするのです。

そうですね、このような発言者の中にも、いろいろな方がいて、多くの場合は、正義感や、被害者への共感のゆえの発言だとは思いますし、どこまで現実的な話としておっしゃっているのかはわかりませんが、それでもたしかに、私も「何か違うような気が」します。

死刑にするにしても、国際的にも残酷な刑はできないことになっていますから、できるだけ苦しまないで死刑にすることになっています。

もしも、その発言者たちが現実的で本気であり、日本がそういう国になって、たとえば包丁で残虐な人殺しをした人は、同じように、ブスブスと包丁で刺され、最大限の苦しみを味わわせながら死刑にするという制度ができたとして、私たちはそういう社会を望んでいるのでしょうか。被害者や遺族は、それで癒されるのでしょうか。

わたしも、被害者のことを思うと、本当に涙が出そうになるくらい、心が苦しくはなりますが。

> 私のような考え方は、「生温い」のでしょうか?・・・

いえ、私は、共感できます。


845.  「他人事」 うすいまふみ 2001/06/10 (日) 23:39

何人かの方が発言されています。

結局は他人事だから、加害者の人権とか、社会の問題なんてきれい事が言えるのだろう。被害者の身にもなってみろ!

このサイトには、もしかしたら今回の事件のかなり近いところにいらっしゃる方もご訪問くださっているかもしれません。

そのような方を除けば、私たちは他人です。事件当事者の気持ちそのままを感じることはできません。でも、たとえ他人でも、事件報道に触れて、心からの悲しみや怒りを感じていらっしゃる方は多いと思います。不安を感じている方も多いでしょう。

書き込みの内容が、「犯人を厳罰に処せ」であれ、違う内容であれ、誠実な書き込みをしてくださっている方々は、みなさん被害者のことを思い、加害者が「正しく」裁かれることを願っていると、私は信じています。(なにが正しいかは意見の分かれるところでしょうが)

ウェブマスターである私の個人的なことと致しましては、私には精神障害者の友人が何人もいます。病気に苦しみ、世間の偏見と差別に苦しんでいます。

また、たまたまなのですが、私の身近には精神障害者による犯罪の被害者も複数います。身体的に大きな傷を負った人もいます。何十年にもわたる大きな心の傷を負った人もいます。その人も、このページを見ています。

机上の空論できれい事を言うつもりはありません。

すべての人の心と身体が癒されますように。
不幸な犯罪が少しでも減りますように。(祈り)


844.  責任能力なしの人間なんか閉じ込めておけ!? うすいまふみ 2001/06/10 (日) 23:15

何人かの方が発言されています。

普通は犯罪を犯せば、罰せられる。犯罪を犯しても、精神障害だからといって刑事責任能力がないとされるような人間ならば、社会に出さずに、閉じ込めておけ!

基本的にはそのとおりです。それが、「措置入院」(強制入院)です。現在の日本の法律でも、精神障害によって自傷他害(自分を傷つけたり、他人に害を及ぼすこと)の恐れのあるとみなされる人は、強制的に入院させられてしまいます。

そういうシステムがすでにあるわけですが、問題は、どの程度の人を措置入院とするかです。ほんのわずかでもその可能性があるというだけで措置入院させるべきでしょうか。

この私も、将来犯罪を犯す可能性が0ではありません。心の病を持っている方々のほとんどは、他の人と比べて犯罪を犯しやすいといったことはありませんが、それでも可能性が0ではないでしょう。だからといって、みんなを強制入院でしょうか。

そこまで極端なことをいわないとしても、どの程度の人を措置入院とするのか、どのような状態で退院させるのか、どのような社会が望ましいのか、皆さんとご一緒に考えていきたいと思います。


842.  Re829;Re831:「孤独」  うすいまふみ  2001/06/10 (日) 22:57

現在までの報道から判断して、やはり容疑者の男性は、孤独だったと思います。

しかし、孤独だといっても、これだけの殺人を起こした人間を、少なくとも安易に同情する気にはなれません。サイト上でも、孤独だとは書きましたが、それは、犯人への同情の思いを第一として書いたのではありません。

事件が起こってしまった以上は、警察には警察の、裁判所には裁判所の仕事があり、私には私の役割があると思っています。

それは、事件を分析し(事件をきっかけとして)、被害者を守り、類似犯罪の再発を防ぐための方法を、皆さんとご一緒に考えることです。

今回の事件で、もしこの男性が孤独でなければ、そして、不眠が続いて緊張や不安や幻覚症状が高まっている状態に誰かが気づき、適切な処置をしていれば、少なくともこの日の犯罪は未然に防げていたでしょう。

この推論がもし正しければ、同様の犯罪予備軍の人を孤独にしないことが、犯罪防止と新たな被害者の発生防止に役立つと考えられます。

刑法や精神保健福祉法の改正といったことも選択肢の一つかもしれませんが、「孤独にしないこと」は私たちみんなにかかわる有効な方法の一つだと思うのです。


821.  Re: 「心のケア」は嫌い うすいまふみ  2001/06/10 (日) 13:37

> 「心のケア」という言葉をこのごろよくきくけれど、この言葉って、何か他人が小賢しい知識を振り回して人の心に土足で侵入してくるようなイメージがあってすきではありません。

そうですねえ。「ケア」なんて言葉はつい最近一般に使われてきたカタカナ言葉ですからねえ、なにか他に良い言葉があるでしょうか。

心のケアは、何も専門家だけの専売特許ではないと思います。震えている子どもを親が強くやさしく抱きしめるのも、結果的に心のケアになっています。

ところで、カウンセリングでは、相談にやってくる人を患者とは呼ばずに、クライエントと呼んでいます。それは、患者というと、弱っている病人や怪我人を、健康で強い医師が治してあげるというイメージがあり、それを避けるための言葉です。

フロイトは、医師として患者を治療しましたが、ロージャースは、相談にきた人が中心となるカウンセリング(非支持的な来談者中心療法)を主張しました。(心のケアがこの手法だけを使っているわけではありませんが)

クライエントとは、問題解決のために積極的に専門家を活用しようという人たちです。他の分野ではクライアントと表記しますね。

> 〜何か似たような体験をした人が語り合えるような場があればよいのにな、と思います。

同感です。ピアカウンセリングといいますが、時には、専門家などより、同じ思いを持った人同士の交流が大きな効果をもつことがあります。

> 同じような体験をしたもの同士の交流って重要だと思う

ほんとにそうですね。

この掲示板上でも、ご自分からはおっしゃらなくても、とても辛い体験をしたり、身近に体験されてきた方々がいらっしゃるようです。(何人かの方からは、個人的にメールをちょうだいいたしました。

言葉や方法は何であれ、傷つき、苦しんでいる方々が、癒され、本来の元気を取り戻すことができますように。


816.  Re: きょーこさんと里織さんへ  うすいまふみ  2001/06/10 (日) 03:17
投稿ありがとうございます。

> ここの話のプライオリティーがおかしいと思ったからです。

> それは、このHPの入り口で「子供達にマイクを向けないで」とまず題名があったからです。

この事件に関するページは、「〜事件の犯罪心理」というタイトルで、副題に、「子どもたちを守るために」とつけました。

そのあと、本文の前に「子どもたちにマイクを向けないで」と、初日のニュースを見て強く感じた点を書きました。

今しがた、新しいページのアップに伴い、ページ構成を若干変更し、マイクを向けるなという内容は、表紙ではなく、「第一報を聞いて」というタイトルのページに移しました(ホームページは、いつも制作途上であることをご理解くだされば幸いです)。

さて、私は「犯罪心理」とはいっても、加害者のプライバシーに不必要に入り込むことなどは考えていません。犯罪を通して、人間について考え、そして、被害者の癒し、犯罪の防止を願って、作成しています。

今回のページに関しても、副題にあるとおり、願いは、「子どもたちを守る」ということです。

子どもたちを守るとは、亡くなられた子どもの尊厳を守り、他の犠牲者である子どもたち(また影響を受けた全国の子どもたち)の心と身体を守り、そして、新たな犠牲者が出ないように、犯罪を防止し、子どもを守っていこうということです。

ご訪問下さる皆さんのなかには、当然のこととして、いろいろなご意見の方がいらっしゃるわけですし、加害者への刑罰のあり方などに関しては意見が分かれるでしょう。

しかし、犯罪防止と被害者保護(今回の場合は子どもが中心)の重要性という点では、一致できるものと信じています。

もちろん、亡くなられた方が一番の被害者です。死を悼み、亡くなられた方の尊厳を守ることはとても大切です。ご指摘ごもっともです。

ただ、それはそうなのですが、それと同時に、やはり生きている人のことを考えなくてはならないでしょう。

今、現地では亡くなられた方の葬儀の準備が進んでいることと思いますが、おそらくそれ以上の労力をかけて進んでいるのが、生きている子どもたち(またご遺族や関係者)の心身のケアではないでしょうか。

心の面に関する報道によれば、大阪府のカウンセラー全員をフル動員しても、とまで行政は考えているようです。

[次の投稿に続く]




817.  Re^2: きょーこさんと里織さんへ  うすいまふみ  2001/06/10 (日) 03:20
[前の投稿の続き]

当掲示板におきましては、加害者への怒り憎しみや被害者への哀悼の思いなど、なんであれどなたでもご自由に書き込み、また互いに意見の交換をなさってくださってけっこうだと思います。

ただ、当ホームページは、怒りや悲しみの感情表現の場や哀悼の意を表すための場ではなく、加害者の心理、被害者の心について冷静に考える客観的な人間理解を目指す場としています。

それが、正しい裁きや、犯罪防止、被害者保護にもつながっていくと信じています。私は私の、このサイトはこのサイトの役割を果たしていると思っております。

なお、一部マスコミの取材方法は、庶民感覚としても腹が立つことはありますし、犯罪学、被害者学における「マスコミによる二次受傷」という大きな問題でもあり、「子どもたちを守る」ためにも、ページの最初のほうで取り上げたことは不適切ではなかったと考えております。

どうもありがとうございました。

791.  Re: 被害者に優しい社会であってほしい  うすいまふみ  2001/06/09 (土) 05:57

投稿ありがとうございます。

> 不当な差別や偏見を生じさせないような配慮はしつつ、一般の国民の安全を第一に守るための法整備が必要なのではないかと思います。

ほんとうにそのとおりだと思います。誰にとっても、その両方が必要だと思います。ただ、ぎりぎりのところでどちらを優先するかとなると、いろいろな意見があると思います。


> 今の日本で、もっとも、欠如しているのが、一般市民の安全を守る姿勢ではないでしょうか。

今回のような事件の後では、そのように思われるのも当然です。
ただ、国際的には、日本は犯罪の少ない安全な国として評価され、一方、精神障害者への人権配慮はまだ不十分だと非難されたりしています。

今回のケースは、非常にまれなケースだと思います。しかし、もちろん、だからそれでよいというのではなくて、このようなまれなケースにも対処できるような工夫をしていかなくてはならないと思います。

ありがとうございました。


786.  Re: 心の問題ですか?2  うすいまふみ 2001/06/09 (土) 05:36
k i 様

おはようございます。投稿ありがとうございます。

> 〜「心」の問題では解決、または改善はみられないだろう

私は犯罪が減ることを願っています。
小学校乱入のページに関しては、まだ犯罪予防のことは書いていません。まず被害者の心のケアの問題から書き始めました。

おっしゃるとおり、犯罪防止は、もちろん心の問題だけでは、達成できないでしょう。社会の総合的な力が必要です。しかし、最後は教育の力を含めた心の部分力が大きいと私は考えています。

多くの心理学者や法学者も、刑罰や強制力によっては根本的には犯罪は減らないと考えています。

この間、ご一緒した新潟大学の法学部長も、少年法改正問題に関連して、「刑罰を厳しくすることで、少年犯罪減少に成功した例を世界的にも見たことがない」とおっしゃっていました。
(それに、ここは心理学のサイトですから、心のことを中心に展開していっても良かな)

> 現在の日本では、刑法の不備や法曹の怠慢、堕落によって、犯罪者が不当に利を得ている〜

日本の法制度がそれほど悪いなら、なぜ日本は先進国の中でも群を抜いて犯罪の少ない国なのでしょうか。

たしかに、「疑わしきは罰せず」ですから、ただしく法が用いられることによって結果的に犯罪者が徳をしてしまうことはあるでしょう。それでも、冤罪が発声するよりは良いと私たちは考えているのですよね。

> >「責任能力のない者は罰しない」というのは、〜

ロッキード事件でも活躍した元最高検察庁検事の堀田力は、「責任を問えない行為を処罰するのは論理矛盾で無効」だといっています。(古典的な考えだそうですが)

だから、訳がわからない状態の小さな子どもや精神障害者が違法なことをしてしまったとしても、刑罰を加えないのです。

違法行為に故意か過失があり、責任を問うことができて、初めて罰することができます。患者が、手術や薬の副作用で死んでも、医師には故意も過失もない、医師の責任は問えないとなれば、医師が逮捕されることはありませんよね。

> 覚せい剤を打ってラリって通り魔殺人を犯して〜

おっしゃるとおりです。わざとアルコールや薬を使って、自分で無責任能力状態にした場合には、有罪判決が出ています。(なんだかよくわからないんですけど、一冊だけ読んだ刑法の入門書によると、「間接正犯類似構造」として処理されたり、原因設定時に責任能力があったとか、考えるそうです。)

[次の投稿に続く]




790.  Re^2: 心の問題ですか?2  うすいまふみ  2001/06/09 (土) 05:48
k i 様

[前の投稿の続き]

> こんなバカな刑法のもとでは、”法治国家”ではなく(犯罪者の)”放置国家”となるのではないでしょうか?

それでも、日本の犯罪数は少なく、特に殺人などの凶悪犯罪は減少しているんですよね。(どうして、そうなってきたのかは学者の間でも良くわからないようです)

> さらに言えば責任能力は(法的には)無いのに殺人能力のあるやつが多すぎるということです。 

アメリカで、ときどき幼児がピストルで人を撃ってしまうような例がありますね。

> 法改正が必要です。

昔は、「責任」ということを考えないで、結果だけを見て処罰する法もあったようですが、近代では、責任とか動機とかを重視します。昔に戻したほうが良いのでしょうか。

精神障害者の刑を軽くしたり、普通の罰を与えないのは、いろいろな国で昔からあったようです。(本当なら切腹でも、「殿、ご乱心」ということになると助かった)

> 〜無法な復讐を行う人が出てきても不思議ではありません。

そうですね。理屈はどうであれ、被害者側の復讐感情が満たされないままでは、やはり困ると思います。私刑が横行しては困るのですから(死んだ患者の遺族が医師を襲ったりしたら困ります)、どのように被害者の権利を守り、心を癒すかは大切な問題だと思います。(そうなってくると、刑法だけの問題ではなくなるかな)

> このサイトでは心の面による犯罪の分析、評価、意見のやりとりをしているわけですが、今回の事件は「心の問題」で意見を留めてはおけないと思ったという事です。

同感です。どこまでできるかわかりませんが、本来は心の問題に加えて、医療や法律や社会全体の問題を考えていくべきだと思います。

ありがとうございました。

***

(私自身は、医療も法律もよくわかりませんから、どうぞ読者の皆様、いろいろ教えてください)



779.  Re: 心の問題ですか? うすいまふみ  2001/06/09 (土) 02:16
kI様

投稿ありがとうございます。

> もちろん私も憤りを感じている一人です。
> 〜まずは犯人に対する止めど無い怒りが〜

同感です。容疑者の男性が治療のために病院へ行くシーンをテレビで見たとき、「大勢の子どもを傷つけ、殺しておきながら、自分はそんな程度のことで病院に行きやがって!」と激しい怒りを感じました。(そういう自分の感情は当然のものだと思いますが、同時に、自分の心の恐ろしさもまた感じました。)

> こんな事件を見て難を逃れた子のことにすぐ気が行くとは、

事件は残念ながら起こってしまいました。そうだとしたら、あとは少しでも事件の悪影響が出ないように、広い意味でこれ以上の犠牲者が出ないように考えたいと思うのです。

警察には警察の仕事があり、外科医には外科医の、マスコミにはマスコミの、私には私の仕事があると思っています。

>私はそんな人は信用できません。

私は、その人が誠実な態度であるならば、犯人への憎しみを表現する人も、関係者の心のケアを考える人も、どちらの人も信用します。

(美人の笑顔を見て、「きれいだなあ」と思う人も、「歯周病かな」なんて思う人も、口紅のメーカーが気になる人も、いろんな人がいて、良いと思います。)

> 精神科は医療ではない!

これは、なかなか難しい問題ですね。たしかに、他の医療分野と比べると、精神科は特殊な面があると思います。ちなみに、心理学は自称「科学」ですが、他の自然科学者からはそう見てもらえないことも少なくありません。

もっとも、心理学がなくても人々はそんなに困らないと思いますが、精神科がなければ困ってしまう人はたくさんいるとは思います。

> 8人の子供を殺す患者〜これは他の科なら重症患者の誤診でしょ? 

病名はまだはっきりしませんが、もし彼が重症の精神分裂病患者であれば、あんなはっきりとした動機と計画性と攻撃性を持った犯罪はおこせなかったと思います。

> 子供を殺された人に〜

ご遺族の方には、本当にお気の毒としか言いようがありません。殺されたお子さんが一番の被害者ですし、ご遺族を支えることと、怪我をされた方の治療が、まず優先されるべきだと思います。

ただ、このサイトには、このサイトの役割があるとは思います。

[次の投稿に続く]



780.  Re^2: 心の問題ですか? うすいまふみ  2001/06/09 (土) 02:18
k.i様

[続きです]

> 精神病の人の人権を守ると言うのなら精神病の人も罪を同じに償うことですよ。あたりまえです。 

精神病の患者でも、犯行自体に責任能力があれば、裁かれるのは当然です。しかし、精神障害だけではく、「責任能力のない者は罰しない」というのは、刑法の大原則だと思います。

> マスコミの報道の仕方などより、精神病の殺人者の処罰の仕方や、無責任で治療の能力の無いその主治医をどうするかを考えたほうが良いと思いますが?

ご指摘の点は、大切な問題だと思います(犯罪被害者や関係者が受けるマスコミによる二次受傷の問題も同様に大きな問題ですが)。
ただ、その一人の医師だけを責める問題かどうかは別問題です。

健康診断を受けたのに、ガンがわからないことはありますし、仮釈放になったとたんに、また犯罪に走る人もいます。

個人の責任か、不可抗力か、それともシステムの問題なのかを考えていかなくてはならないと思います。

貴重なご意見をどうもありがとうございました


包丁男小学校乱入殺傷事件
(大阪小学児童殺傷事件)の犯罪心理へ戻る


犯罪心理学:心の闇と光へ戻る
一般的な犯罪の心理、殺人の心理などはこちら。


「こころの散歩道(心理学総合案内)」
トップページへ戻る

***

心理学入門社会心理学心のいやし・臨床心理学やる気の心理学マインドコントロール| ニュースの心理学的解説自殺予防の心理学犯罪心理学少年犯罪の心理宗教と科学(心理学)プロフィール・講演心療内科リンク|今日の心理学 |