こころの散歩道:心理学総合案内/ 犯罪心理学 / 京都小学生殺害事件/てるくはのる
たくさんの方にご訪問いただき、またメールをいただき、ありがとうございます。
いただいたメールは、ご本人の承諾がないかぎり公表することなどはいたしませんが、みなさんで共有できるような話題については、ページ上で取り上げていきたいと思っています。
犯人がなぞ解きを望んでいるのなら、そんな手に乗って犯人を喜ばせるのは止めようと、述べてきました。これに対して、上記のようなメールをいただきました。
当ページの主張は、ありがたいことに下記のようにマスコミでも取り上げていただきました。
「このような現象(「てるくはのる」のなぞ解き過熱)について、神戸事件や和歌山市の毒物カレー事件に続き、今回もホームページを開設し、「シャーロックホームズになるな」と呼び掛けている碓井真史(まふみ)・新潟青陵女子短大教授(社会心理学)は「メディアやインターネットでなぞ解きを紹介する際、犯人を刺激したり、模倣犯を生む可能性があることを考慮してほしい」と指摘している。」 ヤフーニュース トピックス 京都小学生殺害事件 12.26 毎日新聞特報 毎日新聞99.12.27朝刊社会面 |
さて、まず声明文や謎の言葉「てるくはのる」がどんな意味を持つのか、犯人がどんな意図を持っているのかはわかりません。当ページは、もともと犯人探しを目的としたページではありませんので、犯人を推理(プロファイリング)するようなことは以前からしてきませんでした。
特に今回の場合は、小田晋先生の仮説に基づいて発言しています。犯人は大人たちがなぞ解きをして、見当違いの解釈をすることを予想し、それを笑いものにするために謎の言葉を残したのではないかという仮説です。
この仮説が正しいかどうかわかりません。逮捕され、供述を得るまでわかりません。供述を得ても、犯人がそう意識して謎の言葉を残したのか、意識している部分では別の目的があり、深層心理の中で小田晋が語るような心があったのかは、なかなかわからないでしょう。
ということで、わからないのですが、もしその仮説が正しければ、やはり私は犯人を喜ばせてはいけないと思うのです。悪いことをして、そして喜びを感じられるようにしては、いけないの思うのです。
そんなことを犯罪予備軍にも示してはいけないと思うのです。犯罪を起こせば、損をする、悲しい思いをするのだということこそ、示さなくてはならないし、それが再犯や、模倣犯を防ぐことにもつながると考えています。
ただし、もちろん仮説に基づいていますので、外れているかもしれません。しかし、みんなでなぞ解きに熱中するよりは、良い選択ではないかと思うのです。なぞ解きの方は、だれも勧めなくてもどんどん加熱しているようですから、それに異を唱える立場も必要ではないでしょうか。
*** さて、メールを下さった方は、大変紳士的な文面でメールを下さいました。そして、犯人が普段からコミュニケーションが苦手な人間なのではないか、それをさらにみんなで無視すると、かえって危険なのではないかと危惧されています。
なるほど、ごもっともな意見です。そういう可能性は確かにありますよね。私は、殺人をゲーム化し、社会を愚ろうするような邪悪な心が犯人にあるとすれば、それは無視あるいは断罪しても良いと思います。
一方、犯人に残された人間性や悲しさや心の傷があれば、それは受け入れたいと思っています。それは、決して犯人を甘やかすことではなく、このような厳しい態度と優しい態度が、犯罪防止につながっていくと考えているからです。
「てるくはのる」のなぞ解きに関しては無視しても、犯人の存在自体やその人間性を無視すべきではないと、私も思います。今の段階で、彼自身を無視したり、軽々しく侮辱するような態度は、たしかに、悲劇を繰り返す可能性に
わかりません。そんなに甘くはないでしょう。自首などではなく、一日も早い犯人逮捕を考えたほうが現実的でしょう。自首は私の願いにすぎません。
このホームページは、「子どもたちのために」というサブタイトルを付けています。すでに悲しい事件は起きてしまったわけですが、今考えられる最善のことは、もちろん再犯や模倣犯がでるまえに、犯人が自首し、法に基づく裁きを受けるとともに、被害者へのおわびの気持ちを強く持って悔恨の涙を流し、二度とこんな犯罪は犯さないと心に堅く誓ってくれることです。
当ページの「犯人へ」は、実際に犯人が読むわずかな可能性を考えていないわけではありませんが、犯人への語りかけの形をとった、みなさんへのメッセージです。
犯罪者への厳しい態度と、受け入れる態度の両方を社会全体が持つことを願っています。
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