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連続殺人と、大量殺人、通り魔事件

その犯罪心理の違い、心の傷


 日本は、世界でももっとも暴力事件の少ない国の一つです。凶悪犯罪も、長期的に見れば、むしろ減っているほどです。しかし、不幸な事件が起こってしまうこともあります。

 毎日新聞は、今回の事件に関連して、「通り魔による殺人、殺人未遂事件が近年は多発傾向にある」と伝えています。


連続殺人と大量殺人

 同じように複数の人が殺されると言っても、ある期間にわたって殺人が続けられる「連続殺人」と、一度に殺人が行われる大量殺人は、殺人の方法や犯人の心理が異なっています。

連続殺人

 連続殺人は、人を殺すこと自体に快感を感じる快楽殺人のように、人を殺すことに特別な意味があります。特徴的な方法で殺人を犯したり、遺体に対して奇妙な儀式的行為をすることもあります。犯人は、警察をあざ笑うように捜査の目をかいくぐって、何度でも殺人を繰り返します。

(昔ロンドンに出没した「切り裂きジャック」や、映画「羊達の沈黙」「ハンニバル」に登場する殺人鬼レクター博士のような人々です。)

大量殺人

 これに対して、大量殺人は、怒りや復讐心が、殺人の動機になることが多いようです。復讐心が、直接自分の学校や会社の人間など関係者に向くこともありますが、無関係な人々に向いてしまうこともあります。楽しそうにしている場面などが良く狙われます。事前に殺人が計画されることが普通ですが、それでも基本的には、感情の爆発による犯行です。

 覚せい剤などの薬物中毒のような精神障害者による大量殺人もありますが、犯罪歴も薬物の使用歴もない人が、路上や学校や会社内で、突然刃物を振り回し、銃を乱射することもあるのです。

 大量殺人は一度に行われ、犯人はその場で自殺するか、射殺されるか、現行犯逮捕されます。その場は逃げおおせても、数多くの証人と証拠により、すぐに逮捕されるでしょう。最初から逃げることなど考えていません。

 大量殺人の犯人は、自分のことも、社会全体も、どうなっても良いと思っているのです。死を覚悟して犯行に及びます。

 (今回の死亡者は2名であり、大量殺人とは言えませんが、もっと多くの犠牲者が出ても不思議はなかった事件であり、事件の理解を助けるために連続殺人と大量殺人の心理を比較してみました)


通り魔殺人、大量殺人者の心の傷

 たいていの犯人は、20代から40代の男性です。彼らの多くは、不幸な子供時代を送ってきました。親から十分な愛と世話をを受けず、虐待されていることもあります。心が深く傷つき、いやされないまま大人になってしまったのです。脳にある種の傷があり、それが衝動的行動に関係している場合もあります。

 彼らは良い人間関係を持つことが難しく、そのために人生の中で失敗を重ねることもあります。

2008年9月緊急発行
碓井真史著『誰でもいいから殺したかった:追い詰められた青少年の心理』
誰でもいいから殺したかった! 追い詰められた青少年の心理』


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