こころの散歩道(心理学総合案内)

高齢者のための心理学講演会

内野長寿学級                              1998.7.21

輝く人生のために

心理学からのヒント

新潟青陵女子短期大学 碓井真史

はじめに

 高齢者に対する過去の考え方:「高齢期は喪失の時代、知能も健康も経済力も衰えて、人とのつながりも失っていく。」 しかし、この考え方は間違い。

1、高齢期:喪失の時代から創造の時代へ

・単純な機械的暗記力やスピードが必要な知能は、十代の終わりから衰える。

・しかし、脳の病気にさえならなければ、洞察力を必要とする知能(結晶性知能)、高度な判断力、英知、技などは衰えない。

・高齢者がみんな病気というわけではない。自然な老化は病気ではない。

・収入が減っても支出も減る。今までと違うお金の使い方ができる。

・人とのつながりや生きる目的の質が変わる。 

★高齢期は、喪失の時代ではなく、「創造の時代」であり、「挑戦の時代」である。

☆心身の能力を生かすためには、やる気が必要である。
知能が下がっていないのに、頭が働かなくなったように見える人がいるのはなぜか。→それは、意欲、やる気がなくなるからである。

2、高齢期のやる気の心理

・やる気のもと:自律性(自分で決める)、有能感(自分はできる)、良い人間関係。

・お金等のためではなく、心からの本当のやる気をもっているとき、幸福を感じる。

3、高齢期の自律の重要性

・何もかも人にやってもらうより、自分自身で計画を立てたり、責任をもって行なう役目を持っている人の方が、健康で長生きる。

4、高齢期の人間関係

・暖かい人間関係を持っている人ほどストレスに強く、長生きできる。  
  (残念ながら、諸外国と比べて日本の高齢者は人間関係の幅が狭い人が多い)

5、人生における心の発達課題(高齢期に身に付けるべきもの)

・子供時代:人に対する信頼感や自立心、積極性、劣等感に負けない生産の喜び。

・青年期:自分を見つける、人を愛する。

・中高年期:人を育てる喜びを知る。自分の人生のすべてを肯定的に受け入れる。

おわりに

・新潟は、残念ながら自殺の多い県です。自殺を防ぐためには、本当のやる気や、豊かな人間関係を持つことと、そして少しは「いいかげん」に暮らすこと。

*みなさんは、人生80年世代の「第一期生」です。みなさんの、幸福で、生き生きとした、やりがいを持った生き方が、次の世代の良い手本になると思います。


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