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統計から見た少年殺人犯の推移

11年ぶり殺人100人超す(?)


2000.12.22

 今日12.22に報道された警察発表によりますと、今年1月から11月までに殺人事件で検挙された少年は102人にのぼり、同時期としては1989年以降11年ぶりに100人を超えたそうです。

 1年に100人以上の少年殺人犯が出現してしまうことに、強い悲しみと怒りを感じます。2000年の今年は、相次ぐ17歳の犯罪などが大きく報道されました。しかし、長期的な統計から見れば、今年の少年殺人犯の数が突出しているというわけではないでしょう。

 少年殺人罪の検挙数を見ると、戦後すぐのころから昭和40年(1965)年前後まで、ずっと300人前後です。昭和36年(1961)は448名でした。それ以後は減り続け、昭和50年(1975)にはじめて100人を割ります。その後は二ケタが続き、ときおり100を超えています。昭和60年(1985)が100、平成元年(1989)が118、そして平成10年(1998)が117でした。殺人はピーク時の4分の1となっています。

 犯罪精神医学者の影山任佐先生の研究によれば、若者の殺人者率(人口10万人当たり何人の殺人者が出現しているか)は、ここ数十年で「急激かつ大幅に低下」し、10代の殺人者率は30年前の6分の1になっています。殺人に限らず、他の凶悪犯罪も同様です。強盗はここ数年増えているものの、数十年の期間で見ると、日本の若者の凶悪犯罪は目立った減少を示しています。これは、欧米や他のアジア諸国には見られない日本独自現象です。

 もちろん、だからといって少年による殺人を真剣に論議しなくてもいいという意味ではありません。しかし、目立った事件があったからといって、実際以上に殺人事件が増えていると考えてしまってもいけないでしょう。

 同じ警察の発表によると、殺人などの凶悪事件を犯した少年の多くは、いじめや体罰の被害を受けていました。少年たち一人ひとりの「安全」や「安心」を守っていくことがとても大切だと思います。



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