群集心理とは:心理学総合案内「こころの散歩道」/社会心理学入門/群集心理・集団心理とは(碓井真史)
群集心理 |
群集の中で生じる個々人の特殊な心理
大勢の人が集まり、「群衆」になると、次のような心理的特徴が見られるようになります。
自己の言動に対する責任感と個性がなくなること(無名性、無責任性)。
群集の中の一人になってしまうと、普段感じている「私」の意識が弱くなってしまいます。たとえば、普段の「私」は、40歳で、海山商事の課長で、二人の子どもの父親でというふうに自覚して、行動しています。悪いこと、無責任なこと、恥ずかしいことはできないと感じて、きちんとした社会行動が取れるわけです。
ところが、群衆の中では、大勢の一人になってしまいます。実際、私が石を投げて窓を割れば私個人の責任が問われますが、大勢の人が石を投げてその中の一つが窓ガラスを割ったときには、誰の責任だかわからなくなることがあるでしょう。(「赤信号みんなで渡ればの心理ですね。)
被暗示性とは、暗示のかかりやすさ。群衆の中の一人になると、被暗示性が高まり暗示にかかりやすくなる。
いつもならもっと冷静な人なのに誰かの意見に簡単に乗ってしまったり、その場の雰囲気にしたがった行動をしてしまいます。大きな声や、はっきりとした号令、命令につい従ってしまいます。また、他の人の思いがまるで伝染するように、共通した考えや感情を持ちやすくなります。
ヒットラーが大群衆を集め、演説を行った時には、観衆の被暗示性が高まるという群集心理を巧みに活用したと言えるでしょう。
感情的になる。論理的に考えられなくなる。
想像してみてください。自分たった一人で、コメディ映画を見ているときと、大勢の人と一緒に見ているときでは、どちらが笑うでしょうか。怒りも、笑いも、感動も、大勢の人と一緒の時の方が、大きくなりやすいのです。
自分達が強くなったような気がする。
大きな公会堂、大きなスタジアムにいっぱいの人々。なんだかちょっと興奮します。その人々が、自分の同じチームのファンとか、同じ考え方の人だったら、とても勇気づけられるでしょう。
群集心理が悪く働くと、暴徒となり、店を襲撃したり、個人への集団リンチが生まれたり、災害発生時のパニックが生まれたりします。
一方、群集心理が良い方向に働けば、みんなで楽しくすぽオーツ観戦ができたりします。普段は恥ずかしくてできないような、派手な応援も、みんなと一緒ならできます。きっと爽快感があることでしょう。
一人ひとりは弱くても、みんなの思いが一つとなり、大きなこともできるようになります。その大きなことが、破壊行動なのか、世のため人のための行動なのかが、問題です。
2011.2.28
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