心理学総合案内「こころの散歩道」/社会心理学入門・出会いの道/対人魅力・美人(碓井真史)
どんな人が好き?
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アメリカで行われた実験です。初対面の学生を大勢集めてパーティーを開きました。事前に、趣味や宗教や思想などについて詳しく調べておきました。人はどのような人に好意をもつかという実験です。
実験の結果、趣味も宗教も思想も、ほとんど何の関係もありませんでした。関係があったのは、ただ「外見の良さ」だけでした。男も女も、外見の美しい異性を魅力的だと判断したのです。やはり、美男美女が好かれたわけです。
ちょっと情けなくなるような結果ですが、これが事実です。ただし、これは第一印象の話しです。少し友人としてすきあえば、もちろんお互いに内面を見ることができるでしょう。
外見のいい人は、その外見の魅力だけではなく、内面も良いと思われます。いろいろな写真を見せて、その人の性格や能力を推理させると、外見の良い人ほど、性格も良く、能力もあると判断されました。
大人が子どもを見る場合も同じです。同じようなイタズラや失敗をした場合も、外見が良い子ほど悪気はなかったのだろうと、大人は判断してしまいました。
美男美女は第一印象が良いという点では、もちろん得でしょう。しかし、美人もなかなか大変です。外見が美しい人は中身もいいと、まわりはつい思ってしまいます。すばらしい性格、優れた能力を期待します。その人がその期待通りの人なら良いのですが、なかなかそうはいきません。
頭も良く、仕事もできて、ピアノが弾けて、歌が上手くて、スポーツも上手で、英会話も堪能。美男美女を見ると、私たちはそんな想像をしてしまいます。
普通の外見の人が、普通の能力を持っているのなら、なんとも思わないのですが、すばらしい外見の人が普通の能力しか持っていないと、がっかりしてしまうのです。美男美女は普通にやっているのに失望されてしまうことがあるのですから、大変です。
美人は一般の人よりも不安が高いという研究もあります。あなたは、美男美女ですか、それとも三枚目ですか。美男美女がその美しさ、そのイメージを保つためには大変な努力が必要です。三枚目だと割り切ってしまえば、ずっと楽になります。
また、美人は年を取ってからの不満が高くなりやすいという研究もあります。どんな美人も、二十歳の肌やスタイルを30年後も維持することはできません。普通は、年をとって外見が変化していくことをだんだんと受け入れていくものです。ところが、美人にはこれが難しい。もともと美しい人ほど、容姿の変化を受け入れるのが大変なのです。
まあ、一長一短ですよね。(世の中、何事もね)
美人が得かどうかの様々な実験では、実際にモデルさんなどを使う場合もありますが、そうではなくて、同じ人を美人に仕立てたり、わざとそうではないようにして実験を行うこともあります。そうすると、上に書いたような差が出てくるのです。
男女ともにそうですが、女性の場合は特にヘアースタイル、メイク、表情などによって、ずいぶん印象が違ってきます。
20世紀を代表する美人であるマリリン・モンローは、家庭環境に恵まれず、中高生のころは決して目立つ女性ではなかったそうです。それが、おしゃれをし、豊かな表情を取り戻していったとき、周りの男性がみんな振り向くような女性になっていきました。
(みんながみんなモデルさんのようなルックスではないでしょうが、男性から見れば、女性はみんな美しいうっぶんを持っていると思います。それがそんなに目立たないとしても、その女性に恋をすれば、ちゃんとその美しさを男性は感じるんですよね)
2001.12.20
キーワード:美人,容姿,外見,恋愛心理学,女性心理,男性心理
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