著作権インターネット
心理学 総合案内 こころの散歩道 (心理学講座)/ インターネット著作権
2009.6.19
インターネット上で、ときおり当サイトの内容を無断掲載しているのを発見することがあります。そうかと思うと、引用の許可を求めるメールもときどき来ます。そのような体験から、このインターネット著作権に関するページを作成しました。
「引用」は、もちろん自由です。著作権法で認められています。インターネットでも、リアル世界の紙の印刷物でも同様です。誰でも自由に「引用」することが認められています(著作権法32条)。著者の承諾を受ける必要はありません。
本の著者であっても、インターネットのウェブマスターでも、引用を禁止することは法的にできません。「引用禁止」などと書いても無効です。ですから、インターネット上の当サイトに関しても、あなたが「引用」するときに、いちいちメールを出してウェブマスターに許可を得る必要はありません。
「引用」は、無断で行っても良いもので、だれもそれを拒否できません。
インターネット百科事典のウィキペディアの「引用」の項目に次のようにあるとおりです。
「引用は権利者に無断で行われるもので、著作権法で認められた合法な行為であり、権利者は引用を拒否することはできない。権利者が拒否できるのは、著作権法の引用の要件を満たさない違法な無断転載等に限られる。」
また、財団法人著作権情報センターのホームページの「著作物が自由に使える場合は?」の中には、次のようにあります。
「自分の著作物に引用の目的上正当な範囲内で他人の著作物を引用して利用することができる。」
財団法人インターネット協会の「インターネットを利用する方のためのルール&マナー集」には、次のようにあります。
「自分の意見と比較したり、自分の意見を補う目的で他人の著作物を利用することを「引用」といいますが、これは法律で認められた行為であり、著作権者に許諾を求めなくても問題はありません。」
「引用」は自由にしてもよいのです。
インターネット上でも、印刷物でも、自分の文章を公にするということは、だれかに引用されることを覚悟するという意味です。
もっとも、たいていの場合「引用」は、関心を持ってくれたということですから、インターネットのウェブマスターも、本の著者としても、歓迎、光栄です。研究者の論文の世界などでは、多くの研究者から「引用されている」ことは、高い評価につながることになります。
☆私が書いた論文や、本や、インターネットのサイト内の文章を「引用してもよいですか」というメールを時々もらいますが、もちろん引用してもらって結構です。許可を得る必要はありませんよ。(ただし、本人は「引用」のつもりでも、「引用」になっていない「違法な無断転載」になっていることもあります。)
インターネットでリンクを張るのは、一般に著作権には触れないと考えらています。法的には、許可も必要ありません。
いいえ、そういう意味ではありません。
実際、ときどき誤解する人がいます。「引用してもよい」のだから(引用禁止と書いてないのだから)、自由に文章を使ってもよいのだと思い込む人がいます。中には、「リンクフリー」と書いてあるのだから、サイト内のコンテンツをインターネット上の自分のサイトやブログ、掲示板へ書き込みなどに、自由に使ってよいと誤解する人すらいます。もちろん、違います。
「引用」は良いのですが、もはや「引用」とはいない違法な利用のしかたをしてはいけません。
基本的には、人のものを勝手に使ってはいけないのです。ただ、著作物における例外として、「引用」があるのです。。
もちろんインターネット上にも著作権があります。むしろ、インターネットをみんなが使うようになり、ネット上の情報発信をみんながするようになって、著作権の問題はとても身近な問題になったと思います。
たとえば、自分の個人のノートにミッキーマウスの絵を描いても、なんの問題もありません(著作権法上許されている私的使用:著作権法30条)。
でも、ネット上のサイト、ブログ、あるいは掲示板に勝手にミッキーマウスの絵を描いて載せたら、著作権法に触れるでしょう。
今までは、個人が著作権法に違反する行為を行う機会があまりなかったわけですが、現在は違います。うっかりすると、ネットで情報発信している人は、他人の著作権を犯してしまう危険性があります。
また、ネットで情報発信している人は、個人でも著作権の侵害被害を受ける機会も増えてしまったでしょう。
著作権は、会社や小説家だけが持っているものではありません。あなたでも、私でも、本として出版したり、そうでなくても、ネット上で書いた文章でも、その文章にオリジナルティーがあるのなら、それがこの世に現れた瞬間に、著作権法に守られた著作物になります。
財団法人インターネット協会の「インターネットを利用する方のためのルール&マナー集」には、次のようにあります。
「インターネットでの著作物の利用に際しては、以下のような利用が著作権の侵害にあたりますので注意してください。 【例】 ・他人のホームページや電子掲示板に載っている文章や写真等を、無断で他のホームページや電子掲示板に転載すること。」
***
「引用」するのは自由ですが、誰もその人が書いたものを勝手に使って、「引用」とは言えない形で無断で掲載してはいけません。
2009年5月27日には、インターネット上で他人が書いたものを勝手に掲載し続けていた人が、逮捕される事件が発生しています。
参考:::::弁護士 川村哲二::::〈覚え書き〉:::: 「ご注意!!健康記事の無断転載で逮捕(著作権法)」
著作権法の第119条から122条には、出所明示の義務違反など様々な著作権法違反に関する罰則規定が載っています。一番重いものは、「十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」とあります。
財団法人著作権情報センターのホームページの「著作物を無断で使うと?」のページには、民事上の請求や罰則の可能性が説明されています。
(もちろん、他の法律も同じですが、著作権法に違反する行為をした人がみんなすぐに逮捕されたり訴えられたりするわけではありません。逮捕されたこの人の場合は、かなり悪質でした。ただ、逮捕されるほどでないなら良い、というわけではないでしょう。)
***
インターネット上には著作権なんかない、自由にコピペ(コピー・アンド・ペースト)してもよいのだという人さえいます。
たしかに、インターネット上では本や新聞の世界とは違って、匿名の世界の中で著作権を無視する(あるいは誤解する)ことがたくさん起きています。
そして、インターネット上では他人が書いた大量の文章でも、簡単にコピー・アンド・ペーストして、自分のページに載せたり、自分自身の発言だと人に思わせたりすることができてしまいます。
しかし、だからこそ、インターネットの時代には、著作権のことをみんなで知る必要があると思うのです。
社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)は、デジタルな著作物の権利保護や、デジタル、インターネット上の著作権に関する啓発、普及活を行っています。
朝日新聞のホームページでは、インターネットの著作権と引用の問題についてわかりやすく書かれています。
asahi.com (朝日新聞社):著作権について
印刷物でも、インターネット上でも、「引用」は認めれまれていますが、「引用」と認められるためには、いくつかの引用の基準をクリアしないといけません。
著作権法の32条、48条、また文化庁(2008)の「著作権テキスト〜初めて学ぶ人のために〜」などを参考にすると、
大きくは次の5つです。
- 引用される著作物が公表されていること)
- 引用部分と自分の著作物とが明瞭に区別されていること
- 自分の文章と引用文との間に主従関係があること
- 報道、批評、研究など正当な目的があること
- 出所の明示
これらの基準を満たしていなければ、いくら本人が「これは引用だから良いのだ」と主張しても、認められません。
以下、これらの「引用」の基準についてもう少し見ていきましょう。
これらの条件のどれかがクリアできていればよいのではなく、全てをクリアしていなくてはなりません。
財団法人インターネット協会の「インターネットを利用する方のためのルール&マナー集」には、次のようにあります。
「引用はあくまでもその目的および分量において正当と認められる範囲内に限られ、さらに引用したのがどの部分かはっきりと分かるようにカギカッコで括るなどの区別をしたうえで、出典、タイトル、著作権の所在などを明示しなくてはなりません。」
また、著作権法では私的使用は認めらられているのわけですが、インターネットのホームページや電子掲示板での記載は、私的使用にはならないとも、このインターネットのルールとマナー集には書かれています。
書いたもの、作ったものなどが、まだ公に発表されていないものを、勝手に引用することはできません。
インターネット上のものは、「公表されたもの」ですから、他の基準を満たせば「引用」できます。
自分が書いたことと、他人がかいたことが、誰が見てもはっきりと区別されていなくてはなりません。
他人が書いたものなのに、自分が書いたように見えてしまうような記載の仕方は、他の基準を満たしていても、合法的な「引用」ではありません。
卒業論文を書く学生さんなどは、自分の意見と他人の意見をはっきり分かるように、区別して書けと、たぶん厳しく指導されているでしょう。
インターネットでも、著作権を意識しなくてはなりません。引用するときには、自分の文章なのか、他人の文章なのか、はっきり区別して書きましょう。
分量的にも内容的にも、自分の文章が「主」である、引用する文章が「従」であることが必要です。
例) ○○について、私は**だと思う。たとえば〜というおとがあるだろう。または〜ということも考えられる。(などと何行かあり、そして) 新潟青陵大学の碓井真史氏は、インターネットのホームページ「こころの散歩道」の○○のページにおいて「***********」と述べているが、〜 (といったものです。)
(卒業論文の引用の仕方などは、そのれぞの分野の慣例があるので、それを学んでください)
上の様な「引用」に対して、たとえば、こんなものは主従関係が正しくないので、「引用」とは言えません。
例) 心理学総合案内こころの散歩道に次のように書いてあった。(と、自分の文章は1行しかなくて)
「********〜」(と他人が書いた文章が何行も続くような場合)。
(自分が書いた文章が全くなくい場合は、もちろんだめです。)
このように、分量的にも内容的にも、「引用」とは言えないほど、他人が書いたものの方が多く、大きくなってしまえば、それは「転載」ということになるでしょう。いくら本人が「これは引用なのだ」と言い張ってもだめです。それは、著作権法に違反する、違法な「無断転載」と言えるでしょう。
「引用」には当てはまらないほど多く掲載したいときには、著者の許可を得なくてはなりません。
「引用」は、誰でも自由に行っていよいと法的に保証されているからこそ、きちんとルールが定まっています。そのルールの一つが、「正当な引用目的」です。
たとえば、「総理がインターネットのブログの中で『○○』と発言していると報道目的で引用するのは合法的引用です。
「新潟青陵大学の碓井真史氏は、その著書『誰でもいいから殺したかった』の中で、「********」と述べているが、この意見に対して、私は***だと思う。」といった記述は、批評目的ですから、合法的な引用です。
あなたが、卒業論文などで引用するのは、研究目的ですから、もちろん正当な目的の合法的引用です。
これに対して、
だれかの著作物(他人がその人のホームページ上で書いたものなど)を、自分のサイトのトップページに乗せて、注目を集め、アクセスを稼ごうなどとするのは、正当な目的から外れる可能性があります。
「引用」する場合には、どこの誰がどこ(何)に書いたものか、はっきりと誰が見てもわかるように示さなければなりません(出所の明示)。これはとても大事です。
「明示」ですから、はっきりと書かないとだめです。小さすぎたり、ずっと後のわかりにくいページや、何日もたってから示すのではだめです。
他人がほかのページで書いたものを、気楽にコピーして、出所の明示をしないで、インターネットのサイトやブログや掲示板にペースト(貼り付け)などしてはいけないのです。それは、著作権法違反です。
「引用」にしても、著者の許可を得て「転載」するにしても、いずれにしても「出所の明示」は、必要です。(法律的には、出所を明示していないだけでも罰金です。:著作権法第122条「第四十八条(出所の明示)又は第百二条第二項の規定に違反した者は、五十万円以下の罰金に処する。」
(出所を示さないまま、他人の文章を無断で掲載し、問題を指摘されたところで、「あとから出所を書こうとしていたのだ」などと言い訳をしている人もいましたが、もちろん明示していなかったわけですから、だめです。)
インターネットでも印刷物でも、引用の法的基準を満たしていれば、自由に引用できます。
しかし、
引用の枠を超えると、「転載」になり、著作権者(その文章を描いた人)の許可を得ることが必要になります。許可を得ないまま転載すると、出所が明示され、自分の文章と他人の文章がはっきり区別されていても、それでも違法な無断転載になってしまいます。
(「無断引用」という言葉を悪い意味で使う人もいますが、少なくとも法的には正確ではないでしょう。引用は無断でしてもよいのです。他人の著作物を掲載するときに、無断でもしてもよいのが「引用」です。)
「引用」に当てはまらない形なのに無断で掲載してしまう(無断転載)は、いけません。
さらに、
誰が書いたかを明らかにしないまま(出所が明示されず)、自分の文章か他人の文章かの区別もせず、あたかも自分自身が書いたように見せかけてしまうのは、「引用」でないのはもちろん、単なる「無断転載」ですらなく、違法な「盗作」「剽窃(ひょうせつ)」と言われても仕方のないものになってしまいます。
剽窃とは、他人の作品・学説などを自分のものとして発表することです。これまでの個人のブログに自分で来たように見せかけて、当サイトの文章をほとんどそのまま掲載しているケースがありました。
あるいは、ある掲示板上の発言(投稿)で、まるごと当サイトの文章の一部を張り付けている人もいました。それは、転載だとも断ってありませんでしたし、出所も書いておらず、他の読者から見れば、その投稿者が書いたものに見えたでしょう。
小説家や研究者なら、剽窃、盗作問題は大問題です。そうではない個人の場合は、他人の文章を黙って借りてきて、自分が書いたようなふりをしてネット上に公開しても、ふつうはマスコミが追いかけたり、警察が来りはしないでしょう。でも、やっぱり道義的に許されないと思います。インターネット上でも同様です。
あなただって、自分が一生懸命書いた文章が、そのまま他人に借用されて、その人が書いたかのようなふりをして、サイト、ブログや、掲示板の投稿の中にあるのを見つけたら、きっと悲しくなったり、腹が立ったりすることでしょう。
(当サイト「心理学総合案内こころの散歩道」は、今までもサイトのコンテンツの一部が出版社との契約のもとで本として出版されたり、メディアで紹介されたりしていますし、今後もその予定がありますから、なおさら無断転載や、ましてや盗作は、とても気になるところです。)
みなさん、違法なことはしないように、気をつけましょう。インターネットにも著作権はあるのですから。
インターネット著作権に関する本
そのブログ!「法律違反」です : 知らなかったではすまない知的財産権のルール (ソフトバンク新書)
インターネット時代の著作権―実例がわかるQ&A付 (丸善ライブラリー)
よくわかるインターネットのおとし穴 : 転ばぬ先の著作権 (よくわかるトレーニングテキスト)
リンクフリー
もちろん「引用」もフリー
ただし、言うまでもなく、
*当サイト「心理学総合案内こころの散歩道」 に掲載されている記事・コラム・エッセー・写真・その他すべての無許可転載を禁止します。あらゆる内容は日本の著作権法及び国際条約によって保護を受けています。
Kokoro no Sanpomichi / 1997-2009 Copyright USUI Mafumi
All rights reserved. Never reproduce or republicate without written permission(このようなことを書いても書かなくても、すべての著作物(誰かが書いた文章や、誰かが描いた絵や、誰かが撮った写真など)は、著作権法によってまもらています。法的な基準を満たした「引用」はOKですが、それ以外にほかの人が勝手に利用することはできません。違法な行為になります。)
心理学入門| 社会心理学(対人心理学)| 心の癒し(いやし)・臨床心理学| やる気の心理学| マインドコントロール| ニュースの心理学的解説| 自殺と自殺予防の心理学| 犯罪心理学・ 少年犯罪の心理学(非行の心理)| 宗教と科学(心理学)| プロフィール・ 講演| 心療内科| リンク| 今日の心理学(エッセイ) |掲示板|