こころの散歩道:心理学総合案内/ 犯罪心理学 / 京都小学生殺害事件(てるくはのる)/模倣
今回の京都小学生殺害事件については、わからないことだらけですが......
子どもを殺害し、声明文のメモを残す。これは、1997年に起きた神戸小学生殺害事件の模倣犯だと言う専門家もいます。
もし、模倣犯だとするならば、(一番悪いのは、犯人に決まっていますが)マスコミの影響を考えずにはいられません。
神戸小学生殺害事件では、後に加害者本人も学校への恨みと言ったものは本心ではなかったと語っています。殺人の主な原因は、犯人の深い病理性にあったといえるでしょう。殺人に性的快感を覚えてしまう快楽殺人でした。
しかし、多くのマスコミは、彼が残した声明文から、現代教育の問題を語りました。確かに現代の教育にはいくつもの課題があるでしょうが、それと神戸の殺人事件が直接結びついたわけではありません。
マスコミに登場した人々の中には、被害者に深く同情しながらも、同時に自分を「透明な存在」とし、学校教育に鋭い目を向けたこの少年を祭り上げるかのように扱った人もいました。
派手な事件を起し、声明文を残す。特に学校を悪者にする声明文を残す。すると識者達が、テレビの画面で、大いに教育批判をしてくれる。見方によっては、犯行声明文を残したことが大成功だったようにもうけとれます。
今回の犯人がもしも模倣犯であるならば、少なくとも彼の目にはそう映ったかもしれません。
(もっとも、2年前というのは、大人にはつい昨日のようなものですが、子どもにとってはずいぶん昔のことです。はたして模倣犯なのかどうか。ただ、この事件はその後もずいぶん大きく報道され続けましたからね。)
声明文
逃げ去る犯人の目撃証言からも、若い男、中学生か高校生ぐらいの男性といわれていますが、声明文の文字や文章を見ると、たしかに子供っぽく見えます。
なぞめいた言葉を残すのも、神戸の事件の模倣でしょうか。
ところで、犯人が「私を識別する記号」として残した「てるくはのる」ですが、犯罪心理学者の小田晋に言わせると、大人たちが見当違いの解釈をするのを楽しむために記号を残したのではないかということです。
なるほど。もしそうだとするならば、なにも犯人を喜ばせる必要はありません。解釈など一切止めましょう。
警察としては、犯人逮捕につながる重要証拠として、いろいろ調べるでしょうが、インターネットやマスコミでみんながシャーロックホームズごっこをする必要はありません。
犯人は、テレビや新聞を楽しみに見ているでしょう。もしインターネットの利用者なら、このページも見ているかもしれません。
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