心理学総合案内・こころの散歩道/犯罪心理学/少年犯罪/バット
2000.11.14
2000.6.21.岡山。いじめを受けていた高校3年生の少年は、野球部の後輩4人をバットで殴り倒し、重軽傷を負わせた。殺人を犯したと思い込んだ少年は、「母親に迷惑をかけたくない」と感じ、今度は母親をバットで殴り、殺害した。彼は犯行後、自転車で逃亡。16日間、1000キロを走り抜き、7月6日秋田県で逮捕される。
8月30日、家庭裁判所決定は、「少年を特別少年院に送致する」と決定を下した。
少年は、真面目に野球部の練習に参加していました。両親の仕事も手伝っていました。後輩からからかわれても、じっと耐えていました。しかし、とうとうがまんができなくなり、バットを振り下ろします。
近ごろの子供はがまん強さがないと言われます。その通りかもしれません。がまんづよさは大切です。しかし、同じように大切なのは、がまんしすぎないことです。怒りや悔しさを小出しにすることは、大切なことなのです。
親に迷惑をかけたくなかったというのが、母親殺しの直接の動機です。このような殺人を「愛他的殺人」といいます。親子心中をはかって、子を殺す親の殺人と同様です。もちろん、どんなに愛していても、相手は別人格の人間ですから殺人が許されるはずはありません。
親や教師に迷惑をかけてはいけないと、思いすぎている子どもたちがいます。それは間違っています。子を心配するのが、親や先生の仕事です。どんなに悪いことをしてしまったときも、親や先生のところに来て下さい。苦しみ、悲しみをどうぞ話して下さい。子供の幸せが親や教師の幸せです。
少年が自転車での逃亡を続けている間、父親はずっと玄関を開けて待ち続けていました。もし、少年が後輩を殺してしまっていたとしても、両親は待ち続けていたことでしょう。
少年たちは、自分が見放されたと思い込んで、犯罪に走ります。どの少年も、待っていてくれる人がいると、信じることができればいいのですが。それは、強力な犯罪抑止力になるはずです。
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