心理学総合案内「こころの散歩道」/臨床心理学入門・いやしの道/ 人間関係に勝つ
もうだめだ!
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20世紀最後の年、2000年に大きく報道された少年犯罪。
バスジャックの17歳の少年は、高校を中退し、自宅に引きこもります。彼は思いました。「もうだめだ!」 自分は、もうホームレスになるしかないと思ったそうです。
そんなこと、ないですよねえ。高校を卒業しなくても、立派に生きている人なんか、いくらでもいるじゃないですか。高校を中退した後で、通信制の高校に入ったり、大検を受けて、大学進学をする人もいます。
だいたい、今の日本では、仕事がないにしたってホームレスになることはありませんし、どう考えても、17歳で人生に見切りを付けるなんて!
でも、彼は「もうだめだ」思い込み、皆殺しにしたうえで自分も死のうと思っていました。
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彼は、後輩からいじめられていました。「もうだめだ」と思い、後輩をバットで殴り倒します。こんなことをしてしまって「もうだめだ」と思い、今度は母親を殴り殺します。いよいよ「もうだめだ」と思った少年は、北の果てを目指し自転車での17日間の逃亡劇を始めます。
少年が逃げいている間中、父親は玄関を開けて、彼の帰りを待ち続けていました。逮捕後、被害者の後輩からも、近所の人からも、減刑の嘆願書が提出されました。
いじめを受けていたときも、後輩を殴ったときも、母親を殺してしまったときも、「もうだめ」なんてことはありませんでした。もちろん今だって、「もうだめだ」なんてことはありません。
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下着泥棒が見つかりそうになり、彼も「もうだめだ」と思い込みました。だれだけ父親に叱られるか、そしてもうこの村には住めないと考えると、「もうだめだ」と思い込んだのです。
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毎年3万人の人が自殺します。多くの人は、「もうだめだ」と思うのでしょう。
経済的理由で自殺する人もいます。「もうだめだ」と思って。しかし、この人たちの多くは、自己破産の手続きも、生活保護の申請もしていません。ただ、「もうだめだ」と思い込んだのです。
ねえ、みんな。もっと最期の最期までジタバタしようよ。潔く死んだりしちゃ、だめだよ。
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誰の人生でも「もうだめだ」と思うときはあるでしょう。そのときは、本当にそう思うでしょう。他人から何か言われたってわかりません。本当にそう思うのです。けれども、本人が「もうだめだ」と確信しているときですら、きっと「もうだめだ」なんてことはないにちがいありません。
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心理学の実験では、「もうだめだ」と思った瞬間に、その人の問題解決能力が激減することがわかっています。
アメリカの研究によると、アメリカ大統領選挙の前は、死亡率が下がるそうです。大統領選は、アメリカ上げてのお祭り騒ぎですから、みんなが結果を知りたがるのです。0・ヘンリーの「最後の一葉 」の話は、小説の中だけではありません。
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知り合いに、重い病気と闘っている人がいます。これといった有効な治療法はありません。もう、声でコミュニケーションすることもできません。私はただ、治るようにと祈るばかりです。
でも、その人は生きています。確かに生きています。ストレッチャーに乗って外出もします。
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辛いことがあっても頑張って生きようなんて、今ここでは言う気はありません。私なんかには理解できないほどの苦しみを、あなたが持っているかもしれないからです。
でも、「もうだめだ」なんてことはないと、私は信じます。きっとまだどこかに、かすかな希望があるはずです。「もうだめだ」と思わないことが、何かを生み出すはずです。
わたしは信じ、そしてあなたのために祈るだけですが。
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BOOK
『なぜ少年は犯罪に走ったのか』(ウェブマスターによる上記少年犯罪者たちの心理)
『誰でもいいから殺したかった! 追い詰められた青少年の心理』 本当は誰でもいいから愛してほしかった
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