心理学 総合案内 こころの散歩道 (心理学講座)/心理学入門/人助け援助行動・伊達直人の送り物の心理と現代社会(新潟青陵大学碓井真史)
「伊達直人の贈り物」:人助けの社会心理学2
|
「タイガーマスク」をアマゾンで購入 |
広がり続ける「タイガーマスク運動」。 前のページ「伊達直人の贈り物」の心理1では、社会心理学的の援助行動(人助け行動)からに考えましたが、ここでは現代社会の課題と、そしてタイガーマスク運動を続けていくための工夫について考えて行きましょう。
アニメ「タイガーマスク」のエンディングに流れる歌です。主人公伊達直人は、恵まれない環境で育つ中、「あたたかな人の情けも」「胸を打つ熱い涙も」知らずに、「強ければそれでいいんだ」とひねくれて育ちます。
アニメ「タイガーマスク」の時代は、今から比べればまだ貧しい時代でした。同時代に放送されていた初代のアニメ「魔法使いサリー」やアニメ「秘密のアッコちゃん」にも、貧しい家庭の子どもたちが登場します。今から思えば、ずいぶん人情味あふれるストーリーもたくさんありました。
どの後、日本は豊かになっていきます。物とお金は手に入れます。しかし、同時に様々な豊かさの副作用が生まれました。
そして、豊かさが頂点に達したとき、バブルははじけ、失われた10年、15年、20年が始まりす。相変わらずの、物があふれる経済大国とは言っても、上手くいかない人たちも大勢でてきます。
愛を実感できず、自信が持てず、他人を責めてばかりいるような人も増えてしまったかもしれません。
アニメ「タイガーマスク」を見て育った世代は、やさしくて強いタイガーマスクにあこがれていました。プロレスラータイガーマスクの真似をしました。
そして、今おとなになったタイガーマスク世代は、筋肉隆々の強いタイガーマスクにはなれなくても、やさしい伊達直人にはなれると、知りました。
前のページ「伊達直人の贈り物」の心理1で述べたように、今回の出来事は絶妙でした。報道を見た時、私自身も、強烈に私の地元で私も伊達直人になりたいと感じました。
多くの日本人が心ゆすぶられたでしょう。
無気力になったり、乱暴になったりする原因は、私たちが愛を実感できないからです。
現代日本人は、どんどん人間関係能力が落ちています。「公園デビュー」を怖がり、八百屋や魚屋よりも、無言で買い物ができるスーパーやコンビニを好みます。直接会うよりも、電話、さらにインターネットが良いと感じてしまいます。
数年前の公共広告機構のコマーシャルに「子どもを抱きしめてあげてください」というものがありました。そのとおり、子どもを抱きしめることができない親が増えています。知識も物もいっぱい持っているのに、素朴に子どもを愛することができません。愛情表現が、不器用なのです。
タイガーマスクのエンディングテーマにあるように、「あたたかな人の情けも」「胸を打つ熱い涙も」体験していない現代人が増えています。
だからこそ、その反動として、タイガーマスク運動が熱い思いで広がっていったのでしょう。
歌の続きでは、(養護施設の)子どもたちはそんな僕のことを慕ってくれているから、だからがんばると、続きます。
タイガーマスク(伊達直人)は、子どもたちを助けましたが、実は、プレゼントを受け取ってもらえたことで、タイガー自身が子どもに助けられていたのです。
「情けは人のためならず」(巡り巡って自分に良いことが起きるから人助けしましょう)は、本当なのです。
あなたが幸せなら私も嬉しい、あなたが死んだり不幸になったら私は悲しいと言ってくれる人が、私たちには必要なのです。
気軽に寄付ができるとか、良い意味での遊び心があるとか、良いことをした実感が持てるといったことがあります。
このタイガーマスク活動を、一時のブームに終わらさず、ぜひムーブメントにまでできればと願っています。
全国児童養護施設協議会 では、今回の伊達直人らによる寄付に関して、「養護施設へのご厚意に関わるお礼とお願い」を出しています(20100113)。ここでは、感謝の気温血を述べるとともに、「何が必要か事前にお問い合わせを」といったお願いも載っています。
このタイミングでのお礼とお願いは適切でしょう。活動が広がると、様々な誤解による行動も出てしまうからです。
しかし、この活動を持続するううためには、「気楽さ」や、良い意味の「遊び心」、喜んでもらっている「実感」などがなくならないようにしなくてはなりません。
活動を自足するためには、組織的働きやルールが必要です。でも、当初の良さが失われてはいけません。
そのための工夫、仕掛けは、簡単ではないでしょう。
でも、たとえば、「赤い羽根j共同募金」もあしながおじさんの「あしなが育英会」も、キリスト教の救世軍による「社会鍋」も、そして日本テレビの「24時間テレビ」も、様々な工夫とアイデアから生まれ、続いているムーブメントです。
今回の伊達直人活動も、本当のタイガーマスク運動として定着していくかどうか、今がポイントなのかもしれません。(タイガーマスクがイメージキャラクターになると良いと思うんですよね)
養護施設の子どもたちは、ちゃんとご飯を食べています。きれいな服や文房具を使っています。もちろん、子育てにはお金がかかりますから、さらなる金銭的サポートは必要です。
ただ、極貧生活の中で経済的、物質的にみじめな生活をしているわけではありません。
小学校の新入生には、予算の中から必要なものが買い与えられるでしょう。
でも、たとえば「ランドセル」って、ただあればよいのではありません。両親や、祖父母が、愛をこめて送るのが「ランドセルです。
今回、伊達直人となのる誰かが、君のことを愛しているよというメッセージとともに届けたからこそ、その「ランドセル」は、すばらしいプレゼントとなり、日本中を動かす結果になったのでしょう。
現代社会の中で、物はあふれているのに、愛に飢えている人がいます。
マザーテレサは、語ります。
「本当の飢えは、アフリカやインドの様な第三世界にはありません。本当の飢えは、東京やニューヨークにあります。それは、誰にも愛されないという恐ろしい飢えです。」
私も、あなたも、本当の伊達直人になれればと、思います。
当サイト内の関連ページ
マザーテレサの心と愛の心理学(こころの散歩道))
子どもがサンタクロースを大好きな理由:あなたも誰かのサンタクロースに(こころの散歩道)
心理学 総合案内 こころの散歩道 (心理学講座)
アクセス数3千万の心理学定番サイト
占い、今日の運勢が悪い時の対処法・裁判員制度と心理学:私たちは人を正しく裁けるのか・受験心理学:緊張と不安に負けない方法などなど
ウェブマスターによる新刊(2010年5月27日発行)
『あなたが死んだら私は悲しい:心理学者からのいのちのメッセージ』
人生と命について考える全てのひとのために
***
ウェブマスターの本
こころの散歩道(心理学総合案内)
アクセス数3000万の心理学定番サイト
心理学入門| 社会心理学(対人心理学)| 心の癒し(いやし)・臨床心理学| やる気の心理学| マインドコントロール| ニュースの心理学的解説| 自殺と自殺予防の心理学| 犯罪心理学・ 少年犯罪の心理学(非行の心理)| 宗教と科学(心理学)| プロフィール・ 講演| 心療内科| 心理学リンク| 今日の心理学(エッセイ) | 心理学掲示板|ホーム・心理学|