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親はサタン?



「親はサタン」米人夫婦 現金で共同生活誘う

 アメリカ人空手講師の男性と妻が、「親はサタンだ」という教えを説き、次男を死亡させ、若い女性ら十数人と共同生活をしていました。女性らに「40万円あげる」などと言って勧誘していたようです。(2000.6.16現在詳細は不明)。

 たぶんそれほど大きなニュースにはなっていかないでしょうが、「親はサタン」といった考えは、マインドコントロールを使用する破壊的カルト集団が良く使う手ですね。

 思春期、青年期の人たちと話していると、親と上手くいっていない人がたくさんいます。そんなところを狙っているとも言えます。

 また、普通の親ならば子どもが怪しげな組織に入ることに、当然反対するでしょう。これを見越して、「親はサタン」と教えておけば、親が反対したときも抵抗できます。

 それどことか、親が反対すればするほど、なるほど組織の教えの通りだと信念を堅くするでしょう。

 自立しつつあるとはいえ、まだ大人になりきれない世代の人にとって、親を信頼できなくなるのは大きな不安です。不安だからこそ、唯一信頼できる組織にますます依存していきます。

 人間の心の成長にとって、親に愛されていると実感することはとても大切です。それを逆手にとったやり方は卑怯ですね。

 たしかに伝統的な宗教でも、親や家族を離れ、宗教の道に入ることはあります。仏教の出家もそうですし、マザーテレサだってそうですよね。

 でも、親から離れる宗教者たちは、決して親を憎んでいるわけではないと思います。親を愛し、尊敬し、別れを嘆き悲しみながらも、宗教を選ぶのだと思います。

 親としては確かに淋しいことで。しかし子どもがとてもまじめな気持ちで、仏門に下るとか、修道院に入るとすれば、時間はかかるかもしれませんが、親もきっとわかってくれるはずです。

 親はこの幸福を願っています。その道が子の幸福だとするならば、苦しいけれども認めてくれるでしょう。

 子も、親からの愛を痛いほどに感じ、心の痛みを感じながら、宗教の世界に入る。だからこそ、親も子の行動を認めることができるのだと思います。

 オウム真理教のカルト性がまだはっきりせず、テレビの討論番組などに出ていたころです。たしか、大島渚監督だったと思いますが、こんなことをいっていました。

 「宗教的理由で親から離れることはたしかに他の宗教でも見られるが、その時には家族への愛や優しさを感じる。オウムにはそれを感じない」

 今から思えば、この段階でオウムの危険なカルト性にもっと多くの人が気づいていれば、その後の悲劇は防げていたかもしれません。

 聖書の中には、確かに父母と離れてキリストに従うといった表現が出てきますが、同時に、聖書の基本的な教えは、「あなたの父と母を敬いなさい」です。

 あなたの関っている宗教はどうですか。親をサタン扱いしていませんか。

 あるカルト集団では、娘夫婦の母親が信仰に反対したために、サタンだとされてしまいました。そして、この夫婦の子どもが重い病気になります。しかし、サタンであるおばあさんは、見舞いに行くことも許されず、ほとんど孫に会うこともできずに死に別れてしまいました。

 あなたの親は、やっぱりあなたのことを愛していますよ。頑固なところや、世間体を気にしすぎるところもあるかもしれないけれど、それでもやっぱり、あなたの幸福を願っているはずです。

 私は、親をサタン呼ばわりし、子どもを不安にさせるような宗教が、人々の幸福に貢献する正しい宗教だとは思えません。

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