心理学総合案内「こころの散歩道」/マインドコントロール研究所/オウム99.7.7,8.2

オウムについて考える
予言が外れるとき

オウムへの厳しさと優しさ

8.2 (少しだけ補足)

 「オウム施設で信者死亡」(8.2報道)たしかにちょっと不気味ですね。オウムには、情報の公開を求めたいと思います。

 実は、オウムとトラブルになっている地域の一つに、家族が住んでいます。不安が全く無いというわけではありません。しかしそれでもやはり、下に書いたように、必要以上にオウムを追いつめてしまうのは、得策とは思えないのです。


99.7.7

 オウムへの風当たりがますます厳しくなっていくようです。どこに行っても、反対運動が起き、追い出され、子供の住民票も受け取ってもらえず、ビラ配りで逮捕されています。

 たぶん、もとオウム信者と言うだけでも、部屋を借りたり就職するのは大変なのではないでしょうか。

 オウムを恐れる地域住民の方の気持ちも、もっともです。オウムは、宗教団体ではなく、危険なテロ組織だというのならば、そのような厳しい対応も必要かもしれません。

 たしかに、松本の事件も、地下鉄の事件も、とんでもないテロ行為です。しかし、そのときですら、犯罪行為を知っていたのは、一部の幹部信者だけでした。末端信者は何も知らず、修行に励んでいたわけです。

 現在も、多くの信者は、信仰のために教団にいるのでしょう。それにしても、これだけ大騒ぎになり、裁判が行われているのに、脱会しない人や、脱会しても戻る人がいるのでしょう。さらに、新しくはいる人まで!?


「予言が外れるとき」

 アメリカの新興宗教に関する研究です。教祖様が、この世の終わりが来ると、信者を集めました。しかし、終わりは来ませんでした。入りたての信者は、がっかりして去っていきました。ところが、仕事も家族もお金も投げ出して教団にどっぷりとつかっていた人は、去るどころか、信仰を強めていきました。

 彼らには、帰る場所が無かったからです。何もかも投げ捨てて教祖にしたがってきた。その教祖がペテン師などと考えたら、心が壊れてしまいます。それに、教団を出ても行くところもありません。

 自分の心が壊れないために、自分の居場所を作るために、彼らは信仰を強め、ますます激しく活動したのです。

予言がはずれるとき―この世の破滅を予知した現代のある集団を解明する


オウムの場合は?

 オウムが危険な集団ではないのなら、締めつける必要はありません。オウムが今も危険な集団だとすると、末端信者まで含めて締めつけるのは、帰って危険ではないでしょうか。

 彼らに帰る場所を用意しましょう。世の中はすべて敵、頼れるのは教祖様だけ、名とと思わせないようにしましょう。

 また、激しい弾圧にも負けない宗教団体といったイメージを持つ人が出てしまうと、かえって教団の宣伝になってしまいます。危険な集団を潰したければ、弾圧して殉教者のような英雄を出さず、かれらの未熟さ、自己中心性、欺瞞やペテンを示すことが、効果的です。

 もちろん、犯罪防止のために断固とした態度は必要でしょう。うそ、ごまかしを認めず、情報公開も要求しましょう。でも、それと同時に、信者さんたちのマインドコントロールを解き、危険な犯罪行為に走らせないためにも、温かい優しさもまた必要だと思うのです。

(厳しさと優しさの両方が必要なことは、前のページでも書いたのですが、最近の報道を見て、さらにその思いを強くしました)


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