心理学総合案内・こころの散歩道/犯罪心理「心の闇と光」/神戸小学生殺害事件/甘えさせるけど甘やかさない
以下の文章は、島根県警察の「異界に住む子供達」の「掲示板」に投稿したものです。
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子供を甘やかしてはいけません。
すれ違いざまに顔を背けたのは人権侵害だから殴ってやるとか、
答案にバツをつけるのは人権侵害だとか、
自分の子供が万引きしたのに、
母親が店の防犯体制の不備を責めるなんて、とんでもない。
それでは社会の秩序が保たれないし、子供自身のためにもなりません。
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常識的に考えても、甘やかしてばかりいたらよい人間にはならないでしょう。
心理学的にも、いくつかのことが考えられます。
・その1:悪い行動が増えてしまう。
・その2:人は、時には誰かから叱られることを求めます。
その気持ちがかなえられないと、
叱られることを求めてますます悪いことをしてしまうことがあります。
・その3:がまん強さが育ちません。わがままな子になることもあります。
「良い子」として育っても、思春期になり、
子供時代のように自分の思いのままにならなくなったとき、
自分を抑えることができず、苦しみます。
家庭内暴力を起こすこともあります。
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一部の「進歩的な文化人」や「人権主義者」や「物わかりのよい教師」は、
悪い子供達を増長させてしまったり、
へらへら笑って「君の気持ちはよくわかるよ」なんて言って、
かえってムカついてしまった少年に嫌われたりします。
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(戦後の人権教育が悪いわけではありません。
むしろ、不十分にしか行われなかったので、
誤ったゆがんだ「人権」を振り回す少年達が出てしまったのでしょう。
もっと人権意識を高め、もっと正しい人権教育が必要だと思います。)
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しかし、ただ厳しくすればよいのではありません。
「貧乏サイクル(投稿272)」みたいなことにもなるかもしれません。
刑罰を厳しくすれば犯罪が減るといった、単純なものではないでしょう。
子育ても、教育も、私たちの社会全体も同じです。
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子供に関して言えば、「甘えさせる」ことは、とても大切です。
非行少年達は、愛されたい、甘えたいという思いが人一倍強いのに、
甘えるのがとても下手な少年達だと考えられています。
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私たちの社会の中で、甘やかされてはいるが、
安心して甘えることのできない子供達が増えているような気がします。
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自分がしっかり愛されていると実感できれば、
自分を愛し、人を愛することができます。
殺人は悪いことかといった論議は、興味深いものですけれども、
少年の心や行動には、あまり影響を与えることができないでしょう。
倫理学の勉強ではなく、人とのふれあいの中で、愛を感じることができたとき、
簡単に人を傷つけたり、自分を傷つけたりすることは、とても難しくなるのです。
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これは、根拠のないきれい事ではありません。
この松江警察署ホームページの中の「少年非行Q&A」や
「犯罪心理学:心の闇と光」
をご覧下さい。
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少年の犯罪が次々と報道される中、
子供には厳しさが必要だとおっしゃる先生と、
子供の人権を守って愛を与えようとおっしゃる先生がいらっしゃいます。
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もし、どちらも本当に良い先生ならば、
実はその両面を持っているのだと思います。
でも、教師(大人)自身が自分と人を愛することができなかったり、
生徒と正面から向かい合う自信がないまま、厳しさや人権や愛を強調してしまうと、
ただの恐い乱暴な教師や、へらへらしたお調子者の教師になってしまう
危険性があるのだと思います。
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理屈はともかく、現場の先生方は、ご苦労されているのでしょうね。
学校を批判するだけではなく、
私たちみんなで、学校を支えていきたいと思っています。
そして、私も一人の親として、子供と接するときは、
自分自身のあり方が問われているのだと感じます。
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しっかりと甘えさせる。でも甘やかさない。
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(*「甘やかさないが、甘えさせる」というのは、金子書房の月刊「児童心理」で紹介されていた、生徒に好かれる先生に関する論文から引用した言葉です。
*神戸の少年の場合は、病理的な問題が大きいので、上記の話とは別の論議も必要だと思います。)
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