過労自殺、過労死を防ぐための心理学
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過労自殺

命を大切にして働こう


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過労自殺の現状

 人事院は、自殺(過労自殺)や精神疾患の公務災害認定で指針を出し、遺族補償を迅速化しようとしています。99.7.15

 子供が遺書を残して自殺したりすると、大きく報道されますが、実は、中高年の自殺の方が、数はずっと多いのです。数が多すぎるし、中年サラリーマンの自殺(過労自殺)ではニュースとして面白みがないので、あまり報道されないのかもしれません。

 不況とリストラの嵐の中で、大きなストレスを受け、疲労がたまり、「自殺の準備状態」が高まります。ときには「うつ病」になり、自殺してしまいます。

当サイト内の関連ページ
うつ病の人との接し方 家族のために 症状、治療、自殺予防
自殺したいと言われたとき。自殺相談、自殺予防のために

 事例を見ると、人間関係が苦手で、就職前から自殺を口走っていたような人ではなく、むしろ頑張り屋で、活動的な人たちの中で、過労自殺が見られます。

 適当にさぼれればよいのですが、それが許されない環境であったり、その人の有能さや、責任感が、休息を許さなかったのかもしれません。

 過労自殺者の多くは、自殺前に体調を崩し、内科を受診しています。しかし、ゆっくりと休暇を取り、体調を戻すことはできません。精神的に弱っていても、なかなか気づかれないようです。

 はっきりと、うつの症状が出ている場合ならば、まだ発見しやすいのですが、心の中がぼろぼろになっても、それでも弱さを出さず、頑張っている人たちがいます。

でも、死んでしまっては仕方ありません。

「命を懸けて働く」のではなく、「命を大切にして働きましょう」(川人博 著 『過労自殺』岩波新書 1998)

 川人は、過労自殺を防ぐために、職場のゆとり、心のゆとり、適切な医学的援助などを勧めています。


どうして、日本だけ、過労死や過労自殺が話題になるか

 

私の研究テーマから考えると、「自己決定」が重要だと思います。

 過労死という言葉は、KAROSHIとして、欧米でも通用するそうです。では、欧米人は、あまり働かないのでしょうか。確かに、各国のお国柄はあるでしょうね。職場のルールも違うでしょう。

 5時になったらサッと帰れる国と、とてもとても帰れないし、帰るにしても「すいません、すいません。」と小さくなって帰る日本では、ずいぶん違うでしょう。

 しかし、どの国にも、猛烈に働いている人はいます。アメリカでも、エリート達は、ものすごく働くそうです。ただし、彼らは好きで働いています。やりがいをもって働き、働けば働いただけ、収入が上がり、ステップアップしていく。エリート達は、こうしてアメリカンドリームを実現していきます。

たくさん働くにしても、自分自身の自由な意志で、自己決定して働いているのです。

 同じだけ、頭や体を使っても、進んで働くのと、仕方なく働くのでは、ストレスが大きく違います。

 職場の事情で、いやおうなく長時間働いたり、必要以上の義務感や、過度の責任感や、リストラへの不安で働き続けるとき、ストレスがたまり、心は病み、過労死や、過労自殺がやって来るのです。

 仕事は、甘いものではないでしょう。しかし、労働環境の改善とともに、私たちの心が癒されて、自由な自己決定で働けるとき、やりがいが生まれ、過労死も過労自殺もなくなり、結局は仕事の能率も上がると思うのです。

 あなたの職場も、あなたの心も、そうなれるように、祈っています。

(ああ、それから、私たちみんなで協力して、必要なら一緒に戦っていかないとね。)


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