容疑者の少年が通り魔犯行での殺人と殺人未遂の容疑で再逮捕されました。これで、連続快楽殺人の容疑者となってしまったわけです。少年犯罪では、このような再逮捕による拘留期限の延長は、異例のことのようです。少年の人権問題がまた論議されています。
法律問題はさておき、心の問題を考えてみましょう。一般に、殺人犯が逮捕された後で、食事も普通に食べ、よく寝ている、ふてぶてしい犯人である、などど報道されることがあります。しかし、たいていの場合これは違います。
普通の殺人犯は、激しい良心の呵責を感じています。そうでなくても、被害者を包丁で刺したときの感覚とか、苦痛に満ちた顔や、死体の感触などが頭から離れません。そして、いつ警察に捕まるかと、びくびくと暮らしているのです。犯行後は、表面的には平静を装いながら、夜も眠れず、食事も満足にできない日々が続くのです。
そのような生活の中で、やっと逮捕されたのです。今後の自分のことへの不安はあるものの、ある意味ではほっとします。そこで、何日ぶりかで、ぐっすりと眠り、食事も喉を通るのです。
しかし、快楽殺人の場合は違います。ある快楽殺人犯は、刑務所の中から、被害者の死体の写真を求めました。いろいろ考えたいからという理由でしたが、おそらく写真を使って楽しみたかったのでしょう。
今回の少年の場合も、反省や悔恨の言葉は聞かれません。成人の快楽殺人犯と同じとも思えませんが、一般の殺人事件の容疑者のような心理的不安定さはなさそうです。閉じこめられていることによる「拘禁反応」も出ていないようです。
(拘禁反応とは、絶望感、不眠、幻覚、的外れな応答、無言、無動などの状態です。)
小田晋先生は、一般のケースとは違い、少年の病理性が深いケースであるため、拘留期間が長くなっても、精神的な問題は少ないだろうと、新聞紙上で述べています(私は新潟日報7.16で読みました)。
警察は、鑑別所ではきちんとした捜査ができないので、拘留期間の延長をしようとしているようです。一方、少年の弁護団は、少年の心の問題、犯行の動機などは、警察ではなく、むしろ鑑別所の専門家に委ねるべきだと主張しています。どの意見も間違っていないと思います。いずれにせよ、単に憎むべき凶悪犯罪だから人権問題など二の次だなどという考えは論外として、また単に今回は特別だからといって、様々な問題があるにも関わらず前例を破るのでもなく、私としては、彼の心の状態をきちんと考慮した上での対応を望んでいます。
(どうも、法的な問題や手続きのことになると、トーンダウンしてしまいますね。少し勉強しなくては行けません。反省。)
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