こころの散歩道(心理学総合案内)/ 犯罪心理学 / 9年ぶりに保護/概要
新潟女性監禁事件のあらまし
(続報2.24)
1990年11月、当時小学校4年、9歳の少女A子ちゃんが新潟県内で行方不明になる。当初は営利誘拐かとも思われたが、犯人からの連絡はなく、警察は公開捜査に踏み切る。
しかし、その後手がかりはなく、10年近い歳月が流れる。関係者は希望を捨てず、毎年11月にはチラシを配り、情報を求めていた。
2000年1月28日、19歳になっていたA子さんが保護される。彼女の話では、「男性に無理やり連れ去られ、怖くて逃げられなかった。家の外に出たのは今日が初めて」だという。
少女は男性の車のトランクに入れられて連れ去られた。当初は、殴られたり、ナイフで脅されたりしていたようだ。
監禁されていた家は、住宅街の中にあり、警察署からも500メートルほどの距離。男性と少女は2階、男性の母親も1階に同居していたが、この10年近くの間、だれも気がつかなかったという。
食事は与えられ、髪も男性が切っていたという。最近は、拘束も緩くなり、1年前からテレビなども見ることができたらしい。ただし、2階には、トイレも風呂もなかった。
これほど長期にわたる監禁事件は、前例がなく、警察も「きわめて特異」「前代未聞」と話している。
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ともかく生きて発見されたことは何よりだと思います。しかし、子供時代から思春期、青年期の10年近くを、監禁され異常な環境ですごさなければならなかったとは、なんてむごい事件なのでしょう。この空白を埋めることができ、彼女が社会復帰できるように、祈るばかりです。
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続報
・2.10の新潟日報朝刊に過剰取材に対する被害者の父親の言葉が載っていました。
「そっとしておいてほしい。マスコミが騒いだからといって、娘の九年二カ月が戻ってくるのですか」「家の玄関を無断で開け、中をのぞき見る報道 関係者もいた」・2.11 入院中だった容疑者の男性(37)が退院したところで、逮捕!
警察は、責任能力ありと判断。・逮捕された男性は、未成年者略取と逮捕監禁致傷の容疑がかけられています。新潟県警は、長期間の治療が必要な「心的外傷後ストレス障害(PTSD)」や両足の筋力低下などを女性に与えた点を「傷害」に当たると認定し、「逮捕監禁」に「致傷」を加えました。
・2月19日の報道によると、救出時の事実経過に関して新潟県警が虚偽の発表を行ったとして、国家公安委員会と警察庁は、新潟県警本部長ら幹部の責任を問い、処分する方針を固めました。
地元紙新潟日報は、県警が「重大な失態を重ねる」として、次のようにまとめています。
・容疑者の男性が、入力ミスにより、犯罪者リストから漏れていた。
・捜査範囲を狭めすぎた、現職警官への極秘の聴取など、初動捜査ミスの疑い。
・4年前に息子の暴力に悩んで警察に相談に来た母親のSOSを適切に受け取らなかった。
・1月28日の女性発見時、保健所からの出動要請を断わり、行方不明者と判明してから出動した。
・女性を保護したときの記者会見いおいて、事実と異なる発表を行った。
・2月18日の新潟日報は、新潟県による女性の心身のケア・サポート体制がスタートしたと伝えています。
県の福祉保健部では、医療チーム設置を決め、現在人選を進めています。精神科医、内科医、臨床審理士などにより、本人と家族を支える体制を整えようとしています。
女性は今のところ退院の見通しはたっていませんが、少しずつ食欲も出始め、手すりにつかまって歩く練習を初めています。
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