炭疽菌(炭そ菌)と対米同時多発テロについての犯罪心理学的考察。

新潟青陵大(碓井真史) / こころの散歩道 /犯罪心理学/対米同時多発テロ/3.炭疽菌(炭そ菌)10.15


犯罪心理学:心の闇と光

対米同時多発テロ

アメリカ炭疽菌問題の犯罪心理

その3
〜 生物兵器テロ:二重の意味で「弱者の犯罪」、大きな不安を呼ぶ犯罪〜


このページがYahooのニューストピックスで紹介されました。

01.10.15

ちょっと補足11.26

 日本でもときおり「白い粉」騒ぎがあります。まず、大切なことは被害を防ぐこと、十分な備えをしておくこと、その上に立って、恐怖と不安に打ち勝ち、過剰反応を控えることが、「心の戦い」であるテロに勝つことになると思います。

 アメリカ各地で、炭疽菌が発見されています。ビンラディンとの関連は不明ですが、犯罪行為であることは確かなようです。今日のニュースによれば、生物兵器テロであることはまちがいないという意見もアメリカから出ています。10.15
当サイト内の関連ページ:アメリカ同時多発テロ1・「心の戦い」に負けないために ; 毒物事件の犯罪心理


弱者の犯罪としての生物兵器

 テロリズムは、正面からの戦争などができない「弱者」が、それでも自分の要求を通すために行う方法であると述べてきました。

 炭疽菌のような生物兵器は、核兵器などを持つことができない国や組織でも容易に持つことができ、そして使い方によっては核兵器に匹敵する威力を持つことから、「貧者の核兵器」と呼ばれることもあります。

 今回のアメリカ炭疽菌事件を毒物事件と見るならば、毒物事件は「弱者の犯罪」と呼ばれています。銃を買う金や力もなく、相手を腕力でねじ伏せるほどの体力もない「弱者」が、それでも相手に恨みを晴らそうと思って使う手段が、毒物です。

 一般的な個人的犯罪の場合、たいていの殺人事件は、刺殺、銃殺、絞殺、撲殺、いずれも圧倒的に男性犯人が多いのですが、毒殺は女性犯人が目立ちます。

 力の弱い女性が、追い詰められた末、薬物事件を起こしたりします。

 このように考えていくと、炭疽菌のような毒物を使ったテロ事件は、二重の意味で「弱者の犯罪」と言うことができるでしょう。

 大型旅客機を乗っ取って、操縦し、自爆テロといった方法は、それなりの力がなくてはできませんが、何らかの毒物を郵便で送りつけるという方法ならば、ずっと簡単にできるでしょう。

テロによる大きな不安

 前にも書いたように、テロは、場合によっては戦争よりも大きな不安を人々に与えます。戦争ならば、制服を着た軍隊がやってきますが、テロはいつ来るかわからないからです。

 炭疽菌事件のような毒物事件もまた、いつ自分が巻き込まれるかわからない不安があります。飛行機が突っ込んでくるよりも厄介な面すらあります。すでに被害を受けていても、自覚症状がなければ気が付かないこともあるでしょう。万が一、飛行機からの散布や、水道水に混入されたりすれば、地域住民全員が被害を受けます。

 毒物によるテロは、二重の意味で、人々に大きな不安を与えるものでしょう。

 (ただし、実際には毒物を理想的にばら撒くことは大変困難です。よく、何千人分の致死量にあたる毒物といった表現がなされますが、実際にはそんなにたくさんの人々にちょうど致死量分だけばらまくことなど簡単にはできません)


毒物事件の模倣犯

 今回の炭疽菌事件自体が、模倣犯かもしれません。毒物事件は、「弱者の犯罪」であると同時に、「敷居の低い犯罪」ということもできます。特殊な毒物でなければ、大金も特別な技術がなくてもできますし、返り血を浴びることもありませんから、気が弱くてもできるかもしれません。

 飛行機による自爆テロをそのまま模倣することはできませんが、手軽な方法で、テロ行為を行ったのかもしれません。

 さて、気をつけないと、毒物事件は模倣反を生みやすい犯罪でもあります。日本でも、毒物事件が連鎖的に起こったことが何度かあります。

 犯人の逮捕と、そして、私たちの毅然とした態度が、模倣犯を防ぐ方法になります。


毒物犯、模倣犯との戦い方、市民の戦い

 テロは、私たちに不安と恐怖と過剰な攻撃心を駆り立てようとする、心の戦争です。負けてはいけません。炭疽菌などの毒物犯罪、生物兵器テロは、その性格をいっそう強めます。負けてはいけません。

 相手が政治的なテロリストであれ、模倣犯であれ、私たちが恐怖し、慌てふためく姿などを見せたら、喜ぶばかりです。そして、その不安と混乱は、次のテロ、次の模倣犯を生むことになるでしょう。

 もちろん、新たな犠牲が出ないように、十分に気をつけなくてはなりません。しかし、用心するのは、恐怖に震えながらではなく、犯人と戦う姿勢としての用心です。

 私たちには、私たちの戦い方があるのです。



*何か悪いことをしでかしてやろうと思っているあなたへ。*

 イタズラのつもりの脅迫電話も、りっぱな犯罪です。毒物事件も、あなたは簡単だと思っているかもしれませんが、そんなことをしたら、大きな犯罪です。判例を見ると、普通の傷害事件以上に重い罰を受けています。あなたの人生も、家族の生活も、台無しにします。

 大きく報道されるでしょう。「有名」になるかもしれませんが、名前があがるのではなく、みじめになるでけです。

 そんな卑劣な、弱者の方法ではなく、もっと違う方法で、あなたの人生をすばらしいものにしてください。
当サイト内の関連ページ: 毒物事件の犯罪心理

悲しみに泣いているすべての人々のために祈ります。

ゴッド ブレス アメリカ
そして
ゴッド ブレス ヒューマンピープル


HPから本ができました。
『ふつうの家庭から生まれる犯罪者


『なぜ、少年は犯罪に走ったのか』
(KKベストセラーズ)書評
『少女はなぜ逃げなかったか:続出する特異犯罪の心理学
(小学館文庫)


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