心理学総合案内「こころの散歩道」/ 犯罪心理学 /少年犯罪の心理 /長崎誘拐殺人事件 (HPから本ができました。『ふつうの家庭から生まれる犯罪者』)新潟青陵大碓井真史

少年犯罪の心理
長崎男児誘拐殺人事件

の犯罪心理

犯人は12歳、中学1年生!?


2003.7.9

少年犯罪の心理 長崎男児誘拐殺人事件 の犯罪心理 2 03.7.12


 長崎市内で4歳の男の子が裸にされ、立体駐車場のビルから落とされ殺される事件が発生しました。事件ら一週間後、判明した犯人は、中学1年生、12歳の少年でした。9日補導された少年は、第一報によると、「子どもを突き落とした」と犯行を認め、「後悔しています。(被害者の)お父さん、お母さん、ごめんなさい」と語っています。
 少年法では、14歳未満の少年については刑事責任を問えないため、この後は児童相談所、課程裁判所が扱うことになります。(少年法改正以前は、16歳未満の刑事責任が問えなかった)
 被害者の両親は、「心が煮えくり返り、中学生といえども極刑に処してもらいたい心境です」とコメントしています。(小さな子どもを殺された親の思いは、どれほど辛いことでしょう。)

***

子どもが子どもを殺すとき

 治安の良い日本でも、それでも殺人事件はたくさん起きています。しかし、子どもが殺される事件は、悲しみと怒りがいっそう大きくなります。そして、どんな凶悪事事件でも、犯人が子どもだったと知ったとき、私達は大きな衝撃を受けます。
 子どもが子どもを殺す。これは、二重の意味で、最悪の事件といえるでしょう。

少年の心理(犯行動機)

今日03.7.9の段階では、まだ犯行動機が何もわかりませんので、ただ想像するだけですが。
○可能性として
・ただかわいいので連れ歩いているうちに、トラブルが起こり、結果的に子どもを殺してしまった。
・小さな男の子に対して性的関心をもってしまう異常性愛の持ち主だった。殺す気はなかったが、騒がれたなどのために、結果的に殺してしまった。

(近隣で他の幼児も裸にされるという事件が発生しています。今回の事件との関連はまだ不明です。)
・異常な性的関心を持っていると同時に、人を傷つけたり殺したりすること自体に快感を感じる病的な部分があった(快楽殺人)。

(近隣で動物が虐待されています。今回の事件との関連は不明です。快楽殺人者は、ほとんど中流以上の白人の成人男性ですが、逮捕後に調べてみると、子どものころに動物を虐待していた例がたくさん見られます。
○どうして連れまわしたか
 少年は、被害者の少年をつれて歩いています。なぜ、このようなことをしたのでしょうか。これも、調べてみないことにはわかりません。現段階では、ただいくつかの可能性を想像するだけです。
・犯罪を犯している意識がなく、犯行発覚を防ぐ意識も乏しく、不用意に連れて歩いただけ。
・連れて歩くことを楽しんでいた。「楽しむ」がどういう内容かはともかく、彼はこの子どもと歩くことを楽しんでいた。

少年について

 現段階での想像ですが、やはり少年の心の病の部分を感じます。心の病といっても、精神病のようなものではありませんが、性的関心や、人を傷つけることなどについて、何か病的に歪んだ部分が合ったのではないでしょう。ただし、この点については、まだ何もわかりません。
 少年の普段の人柄や生活ぶりに関しては、マスコミ報道を通して、いくつかの情報が入ってきています。

「おとなしい感じ」 「成績優秀」 「頭が良かった」 「普通の子」 「いい子」
まだ良くわかりませんが、不良少年、問題児などと言われる少年ではなかったようです。

少年法

 14歳の少年が犯人だった神戸小学生殺害事件の後、少年法改正の声が高まり、厳罰化の方向で少年法は改正されました。その結果、義務教育終了後の16歳出なければ刑事罰を与えられなかったものを、14歳から刑事責任が問えるようになりました。
 しかし、
 私はこのとき思いました。

14歳が犯人だったから14歳に年齢を引き下げるのか。それでは13歳が犯行を犯したら、13歳にするのか。世の中には、幼稚園児で家に火をつけてしまう子だっている。そうしたら、5歳児でも牢屋に入れたり、死刑にしたりするのか。
 もちろん、子どもだって悪いことをすれば罰は必要です。少年法も、決して少年を甘やかしてなどいません。
 でも、厳罰に処するだけでは、少年の事件は解決しません。厳罰化をしても、少年凶悪事件の防止にはつながりません。
 なぜなら、凶悪事件を起こす人たち、特に少年達は、自分がどんな罰を受けるかといった冷静な計算ができない人たちだからです。

犯罪予防

 大人の駐車違反のような冷静な違法行為なら、厳罰化によって減少するでしょう。でも、少年凶悪事件は違います。
 神戸の事件の少年も、自分はつかまれば死刑だと思っていました。実際は14歳が死刑になることなどないのに、少年の知識はこの程度です。
 今回、もしも12歳以上の少年犯罪者には刑事罰を加えるという法律が合ったとしても、少年の犯行を止めることはできなかったでしょう。
 少年凶悪犯罪の予防のために必要なことは、厳罰によって脅すことではなく、むしろ「援助」だと思うのです。
 今回の少年のことはまだわかっていることは少ないのですが、小さな子を裸にしたりする自分のことを、喜んではいなかったと思うのです。
 彼が悩み苦しんでいるときに、誰かがどこかで援助できていれば、今回の事件は起きていなかったでしょう。
 犯人を甘やかせといっているのではありません。ただ、もしこうなっていたら、被害者は出なかっただろうということです。
 今後の類似事件の発生予防のためにも、罰という側面だけではなく、援助の側面が必要だと思うのです。

子どもと町を守ろう。

 一般論ではなく、そして警察や児童相談所ではなく、今私たちがするべきことは何でしょうか。それは、犯人の心理の解明などではないと思うのです。
 まず、ご遺族の癒しのためにできることを考えましょう。
そして、今ショックを受け深く傷ついている、全国の子ども達、長崎の子ども達、犯人と同じ中学校の子どもたちを守ることです。
 犯人への怒りは、私だって感じます。しかし、大人たちが集団ヒステリーのように犯人への怒りをぶつけるだけでは、事態は改善されません。こんなときこそ、大人が冷静になりましょう。
 そして、家庭で、学校で、地域で、傷ついている子ども、さらに、親、先生を支えていきましょう。
 より良い社会を作っていくために。
 すべての子ども達の未来のために。
→次にページ:少年犯罪の心理 長崎男児誘拐殺人事件 の犯罪心理 2 03.7.12
フジテレビ03.7.10『とくダネ!』に出演。この事件に関してコメントしました。
NHKテレビ『視点論点』ウェブマスター出演 「犯罪心理学・心の闇」

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