心理学総合案内こころの散歩道/「心のニュースセンター」ダイアナ/1年
ダイアナ元妃が、フランスで悲劇の交通事故死をしてから、1年がたちました。イギリスでは、一年まえだいぶ違い、落ち着いた雰囲気があるようです。一年前には、「ダイアナの日」を制定しようといった声もあり、賛同者も多かったようですが、今ではあまり盛り上がらないようです。ダイアナを「人民のプリンセス」と言ったブレア首相も、今年は特に目立った発言はしていないようです。
そうは言っても、ダイアナ関連の多くの本が出版され、フランスでも、ダイアナを表紙に使うと、よく売れるとか。ダイアナ熱が冷めたというよりも、一年前が、あまりにも加熱して、感傷的になりすぎていたのかもしれません。
ただ、1年目のように、ダイアナをあまりにも美化しすぎるような態度は、収まっているようです。ある人は言っています。ダイアナは、イギリス王室を最も破壊した人であり、同時に、(結果的には)王室に最も貢献した人だ。
ダイアナが死亡した交通事故の直後は、ダイアナ達を追い回して、猛スピードのオートバイで追跡していたパパラッチが、事故の原因とされました。パパラッチは、世界中から、ずいぶん激しい非難を受けましたね。
ところが今では、運転手の飲酒とスピードが主な事故原因とされているようです。ダイアナがシートベルトをしていたり、激突したトンネル内の柱のところにガードレールがあれば、死亡は免れていただろうという人もいます。
まだ、捜査中で、今後新しい情報が入るかもしれませんし、世間では、いまだに謀殺説もあるようですが......。
私たちは、様々な出来事を体験したり、目撃したときに、その出来事の原因について、推測します。同じ出来事でも、原因をどう推測するかによって、私たちの感情や行動は大きく左右されます。
たとえば、テストで悪い点を取った。頭が悪いからだと考えれば、もう勉強する気にはなれません。でも、少し努力が足りなかったからだと考えられれば、次は藻っ土努力できるかもしれません。
この、原因を考えるときには、いくつかのパターンがありますが、最も単純なこととして、私たちは、「目立つもの」を原因として考えてしまうクセがあります。
あの事故の時、もっとも目立っていたのは、二人乗りをしてダイアナ達を追いかける、何台ものパパラッチのオートバイでした。こんな光景を見たり、情報を与えられれば、私たちは、「事故の原因はパパラッチのオートバイだ!」と感じてしまいます。
けれども、本当の原因は、飲酒運転、スピード違反、というありふれたことでした。あるいは、もっと別の事故の要因もからんでいるかもしれませんが、謀殺されたのではないかぎり、パパラッチの存在ほど、はでな事故原因ではないでしょう。
ダイアナ自身については、まだまだ多くのダイアナ論が語られていくでしょう。でも、この交通事故から私たちが学ばなければならなかったことは、何だったのでしょうか。
(補足:このような人間の原因の推論を、心理学では「原因帰属」と呼んでいます。これについては、こころの散歩道の別のページで、また改めて詳しくご説明したいと思います。)