心理学総合案内「こころの散歩道」/ニュース/犯罪心理学:心の闇と光/異常は無罪?
質問に答えて
メールでいただいた質問の要旨
神戸の小学生殺人事件のような場合、犯人の精神の異常があるのは当然だろう。精神鑑定の結果、精神に異常があれば無罪だとしたら、残虐で異常な犯罪の犯人は、みんな無罪になってしまう。これはおかしいのではないか。
お答え
快楽殺人は、犯人の精神の異常性によるものです。他の多くの犯罪も、心理学的に言えば、犯人の異常性が関係しているものもたくさんあります。異常とはいえないまでも、広い意味での心の病と考えられるものは、さらに多くあるでしょう。
しかし、「異常」「心の病」というだけでは、無罪にはなりません。ポイントは、善悪の判断ができたか、それに基づいて自分の行動をコントロールできたかです。それができなかった場合には、責任能力がないとされ、罪には定められません。
日本をはじめ多くの国では、「いちじるしい精神障害のもとでなされた行為は罪としない」という規定があります。小田氏によれば、このような考えは古代からあるようです。
人の首を切り取ることに快感を感じるとします。それは、もう個性とか価値観の相違の範囲ではなく、異常だと言えます。しかし、人を殺すことが悪いこと(少なくとも逮捕されれば罰せられる)と分かっていて、しかも止めようと思えば止められたと裁判所が判断すれば、有罪です。異常だからといって無罪になるわけではありません。
快楽殺人も含めて、「性格異常」のケースでは、かなり重い性格異常でも、無罪にはならないようです。
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