心理学 総合案内 こころの散歩道 (心理学講座)/心理学トピックス/カンニングの心理学・少年犯罪の心理/捕まってしまった君へ
カンニングで捕まってしまった君へ
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カンニングの心理学:なぜするのか、どう防止するか(こころの散歩道)
君は悪いことをしてしまいました。でも、君のことを愛し、守ってくれる人は、きっといるはずです。
今回のことは、君の予想をはるかに超えて大ごとになってしまったことでしょう。カンニングが警察沙汰になるとは、多くの人も思っていなかったかもしれません。
しかし、君が入試でのカンニングという重大な不正を働いたのは事実です。
大人たちから見れば、ずいぶん手の込んだカンニングをしてしまいました。
君は、「完全犯罪」をもくろんだのかもしれませんが、大人たちから見れば、手の込んだ不正行為ほど、悪質とみなします。
本気で怒り、本気で追求したのが、今回の結果です。
猛烈に反省してください。君は19歳なりに、自分の行為の責任を取らなければなりません。
でも、
君の人生が終わったわけではありません。
今回、一時「行方不明」と聞いて、大勢の人が心配しましたよ。
本当にしっかり反省する人は、「修復」ができる人です。
勉強も、人間関係も、人生も、もう一度やり直してください。
君は悪いことはしたけれども、君は愛されるべき子どものはずなのですから。
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京都大など4大学の入試問題が試験時間中にインターネットの質問掲示板「ヤフー知恵袋」に投稿された事件。「容疑者」の19歳の少年が、2011.3.3.京大の入試業務に対する偽計業務妨害容疑で逮捕されました。
彼は、京大、同志社大、立教大、早稲田大の入試で、いずれも「aicezuki」を名乗って入試問題をネット上に投稿していたとされています。
事件が発覚後、多くのニュース番組、ワイドショーが、この連日取り上げ続けました。容疑者が確定され、身柄が確保され、事情聴取が始まったときには、テレビの画面に「事情聴取開始」と臨時ニュースのテロップが流れました。 3.3
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その後の報道によると、少年は、「どうしても京大に合格したかった」「とても反省していると供述しています。
少年は単独犯だといいます。試験中に携帯電話をまたに挟み、問題を入力したとも供述しています。
また、関係者らによると、少年は成績優秀で、まじめ、文武両道だということです。現在は、母子家庭であり、母親の経済的負担を気にしていたのではないかと語る人もいます。一方、少年は外見は「金髪」だそうです。(この目立つ外見は、カンニングには本来不向きかと思います。) 3.4
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今回の事件や、非常に大きく報道され続けています。世間の反応は、カンニングは許せないというものと、カンニングで警察によって逮捕はいきすぎだろうという意見とがあるようです。
彼は「カンニング」をしました。同時に、彼はカンニングのために、入試開始直後、まだ入試問題を会場外に出してはいけない時に、入試問題をネットで公開してしまいました。これはカンニングとはまた別の大きな問題、ルール違反です。
たとえば、可能性としてですが。一般に入試では数十分の遅刻入室は許可されています。もしも、問題がネット公開されていることに大学関係者が気付いた後、本来受験が許可されるべき遅刻者がやってきていたら、いったいどうしていたでしょう。
遅刻者は入室して試験を受ける権利が本来あります。しかし、流出した問題を見ていないという確信はもてません。
こう考えると、今回もしも彼が解答を得られずカンニングに失敗していたとしても、この入試問題ネット投稿問題は、入試業務を妨害する行為だったと言えるでしょう。 2011.3.4
「aicezuki」は、今回のカンニング投稿の前に、自殺に関連した投稿や、精神的な不安定さを思わせるような投稿もしていました。容疑者が特定された後、彼は一時「行方不明」状態でした。
そこで、最悪のケースも考えられたため、自殺予防観点からこんなツイートをしました。
usuimafumi 碓井真史 @ 心理学「こころの散歩道」その後、仙台駅前にいた少年は身柄を確保されています。
*逮捕は、自殺の危険性があったためとの報道もされています。
*人とのつながりが、自殺を予防し、犯罪を抑止します。『あなたが死んだら私は悲しい:心理学者からのいのちのメッセージ』
悪いことをした人は、その責任に応じて何らかの制裁を受けるのは、当然です。責任をとってももらわなければナません。
しかし、「おまえはこんな悪いことをした、世間を騒がせた、恥ずかしいことだ、おまえは最低最悪だ」と、こんなふうに言ってしまうと、青少年の更生は難しくなってしまいます。
「君は悪いことをした」ということは自覚させることが必要でしょう。しかし、必要以上の人格否定、存在そのものの否定は、更生を考えればむしろ逆効果でしょう。
そして、「君を愛し守ろうとしている人がいる」というのは、おそらく事実なのでしょう。・・・罪を憎んで人を憎まず
自分は最低の人間だといった「恥意識」は、状況から逃げだし、行き過ぎれば破壊行動が生まれます。一方、健全な「罪意識」は、罪を自覚したうえで、修復を試みようとします。逃げ出さず、破壊的行動も生まれません。その方が、彼のためであり、社会のためではないでしょうか。
本当の意味で、反省してもらいたいと思います。
彼は彼自身の行為を反省すべきです。
そして、大人社会も、今回の事件から学ぶべきこともあるのではないでしょうか。
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