こころの散歩道/犯罪心理学/小学校乱入・大阪小学男児殺傷/刃物女


包丁男小学校乱入殺傷事件
(大阪小学児童殺傷事件)の犯罪心理

報道される<刃物女><刃物男>

模倣犯、愉快犯、それとも・・・

地域みんなの、優しく、強い力で、模倣犯罪を防ごう



<刃物女>杉並区の幼稚園に侵入 女性教諭にけが負わせ逃走」は、
この教諭の作り話と判明(6.22)

2001.6.19〜6.21

 大きな事件が報道されると、その直後から、似たような事件が発声する事があります。
○ 6.12 仙台市内の中学校に「大阪みたいなこと、まねしてやっからな」と不信な電話がかかってきました。悪質ないたずらのようです。
○ 6.15 天理市内の男が、大阪児童殺傷事件を例に出して脅し、金を奪い取ろうとして、恐喝未遂容疑で逮捕されました。この男は、市内の私立高校教諭(55)と判明しました。6.19
○ 6.16、熱海市内の中学校横の路上で、刃物を持った男が銃刀法違反の疑いで現行犯逮捕されました。近所の男性が、この不審な男性を発見し、110番通報。大阪の事件以来パトロールを強化していた警察署員が駆けつけ、逮捕しました。
○ 6.17 刃物を持った男が、青森市内の小学校付近に刃物を持った男が出現し、児童二人を追いかけましたが、児童は走って無事でした。この男は、以前からこの付近で酒を飲んで暴れるなどのトラブルを起こしていました。事件当日も酒に酔っていました。
 そして、

○ 6.19 刃物を持った女性が幼稚園に現れ、門から進入しようとしました。女は女性教諭にけがを負わせ、逃走しました。教諭は2週間のけが。
 園児たちはまだ登園前であったために、園児たちへの被害はありませんでした。同園ではこれまでも、午前9時半ごろの登園時間以外は門を閉じておくほか、登園時間も、正門に2人、西門に1人の職員が見張りに立っていました。このほか正門近くでは、24時間ガードマンが監視しています。
さらに、

○6.19 横須賀市で男が、下校中の児童に対して、「大阪から来たんだよ。宅間のお兄ちゃんだよ。ナイフ3本持っているよ。明日、学校へ行くよ」などといって脅かしました。この男性(40)は、21日になって脅迫の疑いで逮捕されました。

模倣犯の心理

 1998年に毒物事件が連続したときには、多くの模倣犯が出現しました。大きな報道が続いてことと、毒物犯罪は犯罪としては実行に移しやすい犯罪だったからでしょう。銀行強盗や、営利誘拐なども、犯人が逮捕されないと、しばしば模倣犯が登場します。

 今回の幼稚園の事件と、大阪の事件の関連は、不明です(まったく別の動機かもしれません)。一方、大阪児童殺傷事件に刺激されたと思われる犯罪も起きています。今回のような大量殺人事件で、簡単に模倣犯が出るとは考えにくいのですが、都合よく利用して自分の犯罪に使ったり、悪質ないたずらをする愉快犯もいるでしょう。
 犯罪報道は、場合によっては犯罪予備軍に犯罪方法を教えてしまいます。ある犯罪方法をとる、すると金が儲かったというような報道が連日繰り返されれば、模倣する人も現れるでしょう。自分が経済的に、心理的に追い詰められて、心に余裕が無いときには、報道されているような犯罪を自分も実行できる、成功すると、非現実的ではあっても思い込んでしまうのでしょう。
 今回の事件は、金が儲かったわけではありません。しかし、容疑者は、「有名」になり、また人々は大きな不安の渦に巻き込まれました。このように、自分が有名になり、人々を不安になせることに、歪んだ魅力を感じてしまう人はいるでしょう。それでも、簡単に大量殺人などできるわけがないので、せいぜい、刃物で脅すか、言葉で脅すだけか、あるいは愉快犯的な悪質ないたずらをすることになるでしょう。

模倣犯、愉快犯を防ぐために

 一番大切なのは、もちろん犯罪を未然に防ぐことです。熱海で男性が逮捕されたケースは、とてもうまくいったケースでしょう。似たような犯罪が次々と起こり、次々と成功していっては、さらなる模倣犯を生んでしまいますから。
 次に大切なのは、必要以上に怖がらないことでしょう。もちろん誰かが刃物を振り回していたりすれば、怖いに決まっています。防犯に努めることも、もちろん大切です。しかし、必要以上に、怖がり、不安に負けてしまい、びくびくしてしまえば、ますます模倣犯の思う壺です。愉快犯はますます愉快がってしまいます。結果的に、次の模倣犯、愉快犯を生む可能性すらあります。
 マスコミも、必要以上に恐怖心を高めるような番組作りは控えてほしいと思います。
 模倣犯、愉快犯を生まないためにも、子どもたちの心の安定のためにも、落ち着いた態度で、防犯に努めなければなりません。
 さて、防犯のためには、犯罪を許さない断固とした態度や、パトロールの強化といったことが必要ですが、もう一つ大切なことがあります。

 多くの犯罪者は、投げやりな自暴自棄の気持ちの中で犯罪に走ります。あなたの周りの弱っている人、やけになっている人、ストレスのためっている人、孤独に負けそうになっている人。こういう人たちが犯罪予備軍だとは言いませんけれども、もしかしたら、あなたの暖かな一言が、その人の人生を変え、被害の発生を防ぐことになるかもしれまん。

事件をまねして、「イタズラ」しようと思っているあなたへ。

 「悪質なイタズラ」なんて表現されますが、これは立派な犯罪です。捕まったら大変です。ごめんなさいではすみません。有名になんかなれません。ほんのいたずら心のために、あなたの一生を台無しにしないで下さい。

 もっと別な方法で、楽しくなったり、ストレスの発散疎したりしようよ。
 そして、もし困っていることがあるなら、誰かに助けを求めましょう。あなたを助けてくれる人も、きっといるはずです。

ところで、本当なのかな?

 学校、幼稚園の付近で刃物を持った人がいたと、何件かの報道がありました。これは、本当に今回の大阪児童殺傷事件の直後だからこそ発生していることなのでしょうか。それとも、けがをした幼稚園のケースは別としても、学校の周りでこの程度の不審者が見つかるのは、全国で見れば、珍しいことではないのでしょうか。大阪の事件以前の状況がわからないので、判断できません。
 本当は増えたわけではないのに、報道によって人々が注目するために、増えたように思ってしまうこともあります。今回はどうなのでしょうか。

当サイト内の関連ページ

毒物時間から考える 模倣犯の心理  模倣犯愉快犯を防ぐ マスコミと模倣犯

6.21補足

 さらに、関連の犯罪報道が続いています。マスコミの皆さんには、冷静な報道を望みたいところです。報道の重要性は、言うまでもありませんが、模倣犯罪を誘発する可能性も考えていただければと思います。
 
 また、町や学校で、防犯活動をする場合にも、子どもたちを必要以上に怖がらせないようにしましょうよ。たとえば、通学路にPTAの人がたっているにしても、優しい笑顔で、「おはよう」「さようなら」って声をかけたいですね。学校や、地域が、姑息な模倣犯によって振り回されてはいけません。地域みんなの優しく、強い力で、模倣犯罪を防ぎましょう。

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