2006.7.19
2006.5.26 秋田小1男児殺害事件の犯罪心理 1 (逮捕前に作成したページ:地方、農村部の殺人、近隣殺人、女性犯罪)
06.6.22 秋田小1男児殺害事件の犯罪心理 3(卒業文集)
06.5.9、秋田県藤里町の町営団地で小学校1年生の男児が行方不明となる。翌日、6キロ離れた川沿いの草むらで遺体が発見され、遺体の状況から殺人事件とされる。今回の事件の前4月9日、男児の2軒となりの家の小学校4年生の女児が行方不明となり、翌日4キロ離れた川に浮かんでいるのが発見されている。警察は、事故死としていた。この女児の母親が犯人ではないかと、多くのマスコミが集まってくる。母親も積極的にマスコミに向かって発言してきた。(補足:男児殺害の容疑で逮捕された後、容疑者は両児殺害の容疑で再逮捕されている。)
容疑者が逮捕後も死体遺棄は認めても、殺害を認めず、またなかなか動機を語ろうとしなかったのは、反応をごまかすためではなく、おそらく自分でも動機が良くわからなかったためでしょう。
当初言われていたような、娘の死亡原因を警察にもっと調べてもらいたいから、ということが動機ではないと容疑者女性は語っています。
逮捕前から容疑者がマスコミに見せている言動から推測されるのは、彼女の人格障害的な部分です。
きちんとした診断などはもちろんできませんが、人格障害B群(反社会性人格障害・境界性人格障害・自己愛性人格障害・演技性人格障害)の傾向が感じられます。
本人としては、一生懸命なのですが、その場しのぎのウソを上手につき、何か言動が芝居じみており、衝動性があり、他人を傷つけるのですが、人間関係が不器用で、自分自身とても傷つきやすい人間です。
娘への虐待といったことも報道されていますが、一方娘を大事にしていたところもあると報道されています。
ここから先は現段階ではまだ空想ですが。
おそらく、容疑者は娘を愛していたでしょう。しかしその愛情表現が不器用でした。また、力が足りませんでした。精神的に不安定で、また料理もできません。でも、そんなふうに良い子育てができない自分を責めていた部分もあったことでしょう。
そして、娘が死亡します(詳細は不明ですが)。容疑者は激しく悲しみます。娘への愛、そして悲しみ。それなのに、周囲は自分が期待しているようには動いてくれない。焦り、怒り。容疑者は自分の気持ちをどう処理したらよいのかわからなくなっていたのかもしれません。
娘と今回の被害者男児が遊ぶときには、自分の娘に「お前は大きいんだから、待っていて上げるんだよ」と話していたそうです。
娘の49日法要においても、娘が亡くなり、となりの仲良しだった男の子が亡くなり、娘に「待っていてね」と語っています。
「彩香、豪憲ちゃんがくるまで待っていてね」 この思いが犯行の動機にあったような気がします。
娘が亡くなり、隣の仲良しだった子だけが元気でいる、それを強く感じてしまったときの何ともいえない悔しく切ない思い、豪憲君も娘と一緒に行ってくれればという思い。母親としての極めて歪んだ愛情表現が犯行動機だったのかもしれません。
この思いと、容疑者が持っていた衝動性、その二つが不幸に合わさってしまった結果なのでしょうか。
まだまだ、わからないことだらけの事件です。
容疑者の演技性人格障害的な傾向を考えられば、今回の供述にもウソが含まれている可能性があります。娘の死も不明な点があります。
こんごさらに捜査は続くのでしょうが、容疑者の「動機」「心理」は、警察の捜査ではわからないかもしれません。
今のところ精神鑑定を行う予定はないそうですが(責任能力の有無は問題とされていないため)、事件の真相解明と今後の犯罪防止のためには、精神科医、心理学者等が、容疑者の思いを引き出していくことが必要かと思います。(06.6.9)
*
補足:後日、両児童殺害の容疑で逮捕されました。06.8.5この逮捕起訴後の簡易精神鑑定において、被告は、強い欲求不満、反社会的で著しく偏った人格傾向などが見られるが、幻覚などはなく責任能力はあると結論付けられれています。
→2009.3.25 秋田連続児童殺害事件の犯罪心理学:精神鑑定結果と控訴審判決
06.6.22 秋田小1男児殺害事件の犯罪心理3・卒業文集 いじめ問題
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