心理学総合案内「こころの散歩道」/災害心理学/新潟県中越地震被災者のために/今思うこと
2004.10.27
大きな災害は、私たちの町を破壊し、身体を傷つけ、そして心にも深刻なダメージを与える。
災害発生後の恐怖、不安、緊張や、不眠、悪夢。ぼんやりとしたり、物忘れをしやすくなったり、小さな物音に驚いたり、涙もろくなったかと思うと、イライラし、怒りっぽくなることもある。
このような心の状態は、異常な事態における正常な反応である。つまり、カゼをひけばセキがでるように、自然なことである。
だから、自分を責めてはいけない。人を責めてはいけない。むしろ互いに支えあい、相手の心に寄り添うようにしよう。誰かが受け止めてくれるなら、怒ってもいい、泣いてもいい。感情を出すことによって、心は癒されていく。
特に子ども達の中には、いわゆる「赤ちゃん返り」(退行現象)を起こす子どももいるだろう。甘えたり、わがままを言ったりすることもある。思春期の子ども達の中には、いつも以上に反抗的になる場合もある。
これらは、災害発生による一時的なものである。子ども達の心と行動を、やさしく受け止めよう。そのためには、大人たち自身が落ち着きを取り戻さなくてはいけない。親や先生は、子どものためにも、自分自身の心を守ろう。そのために、支えあおう。
また、今は自らの心を奮い立たせ、懸命に作業している被災者もいるだろう。しかし、無理はいけない。心も身体も、休息をとろう。時には、誰かに弱音を吐くことも必要なときがある。
大災害後に、小さな子どもの中には、「災害遊び」ともいえるような、地震ごっこや火事ごっこをする子どももいる。大人から見れば大変不謹慎な遊びに見える。しかしこれも、子どもにとっては自分の心を癒そうとする行動である。
大人なら言葉で感情を発散するが、子どもは遊びを通して心の平静を取り戻そうとしているのだ。
突然の大災害は、私たちから多くのものを奪い去る。命、健康、財産、そして様々な思い出の品々。町自体が消えてなくなることもある。被災者の受ける傷ははかりしれない。
避難所での惨めな生活、援助を受けるだけの哀れな自分、そんなふうに感じてしまうのも、被害者心理の一つである。
しかし、災害被災者をただ弱いだけの人々として扱ってはいけない。援助が必要なことは言うまでもないが、彼らは勇敢に災害と戦っている人々である。自分の家族を守り、町を守ろうと思うとき、人の心には力がわく。
行政、ボランティア、被災者らが、一つとなって協力し合いながら、避難所の運営を行い、町の復興を目指していこう。今は弱っている心もいつか元気を取り戻し、必ずもう一度立ち上がれるのだから。
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災害被害者の心のケア
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