体罰とは(体罰の定義)。
心理学 総合案内 こころの散歩道 (心理学講座)(碓井真史)/体罰
体罰とは
文部科学省による体罰の定義
2013.2.1
「こころの散歩道」全体の「what's
new」
体罰とは、「肉体的苦痛を与えるような懲戒」です。
懲戒とは、「特別の監督関係ないし身分関係にある者に対し一定の義務違反を理由として科する制裁」です。
つまり体罰とは、親、教師、監督などが、悪いことをした子を叩いたり、長時間立たせるなどして、こらしめ、指導することです。
体罰だと非難された人が、体罰ではなく指導だなどと反論することがありますが、指導目的であるのは当然です。そうでなければ、ただの暴力、傷害です。
11条「校長及び教員は、教育上必要があると認めるときは、文部科学大臣の定めるところにより、学生、生徒及び児童に懲戒を加えることができる。ただし、体罰を加えることはできない。」
撲る蹴るは、もちろん体罰ですが、体罰の機械的定義はできないと文科省は考えています。
文科省によれば平成19年度文部科学省通知「問題行動を起こす児童生徒に対する指導について:別紙」、
「教員等が児童生徒に対して行った懲戒の行為が体罰に当たるかどうかは、当該児童生徒の年齢、健康、心身の発達状況、当該行為が行われた場所的及び時間的環境、懲戒の態様等の諸条件を総合的に考え、個々の事案ごとに判断する必要がある。」
ただし、次のようなものは、当然体罰です。
「その懲戒の内容が身体的性質のもの、すなわち、身体に対する侵害を内容とする懲戒(殴る、蹴る等)、被罰者に肉体的苦痛を与えるような懲戒(正座・直立等特定の姿勢を長時間にわたって保持させる等)に当たると判断された場合は、体罰」
子どもや親が体罰だと騒げば体罰というわけではありません。
「 個々の懲戒が体罰に当たるか否かは、単に、懲戒を受けた児童生徒や保護者の主観的な言動により判断されるのではなく、〜諸条件を客観的に考慮して判断されるべきであり、特に児童生徒一人一人の状況に配慮を尽くした行為であったかどうか等の観点が重要」
口で叱る方法以外の指導をしてはいけないわけではありません。次のようなものは、体罰ではありません。
○放課後等に教室に残留させる。(ただし、用便のためにも室外に出ることを許さない、又は食事時間を過ぎても長く留め置く等肉体的苦痛を与えるものは体罰に当たる)。
○授業中、教室内に起立させる。
○学習課題や清掃活動を課す。
○学校当番を多く割り当てる。
○立ち歩きの多い児童生徒を叱って席につかせる。
また、生徒からの暴力や、生徒間の暴力行為を止めるために、やむなく体を押さえつけたりすることも、体罰ではありません。
さらに、激しい授業妨害をする子どもを、やむなく、必要な期間だけ、教室外に出すことは、体罰でも懲戒でもありません。
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→体罰の心理学:限界と副作用(危険性)
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新潟青陵大学大学院・臨床心理学研究科・碓井真史
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