2005.6.13(6.14補足)
理想の家族ともてはやされた二子山ファミリー、花田家。日本一と言われた二人の若き兄弟横綱。相撲界のプリンス。
相撲界では弟の方がいつも一歩先を行きます。相撲の力は上、ルックスも良い。しかし、愛想はあまりない。ちょっとやんちゃなきかん坊と見られていた面もあったでしょうか。
謎の整体師によるマインドコントロール騒動。宮沢理恵との婚約破棄騒動。こんなマスコミの騒がせ方もしてきました。
実力は弟の方が上でも、世間からかわいがられてきたのは、むしろ「お兄ちゃん」の方だったでしょうか。まじめで、人が良く、がんばっているイメージです。
そんな二人が、いま修復不可能かと思えるほどの激しい争いを演じています。弟の貴乃花親方、兄の花田勝氏。弟は兄と母がグルだとも言っています。兄弟はなぜ争うのでしょうか。
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カインとアベル。人類最初の夫婦アダムとエバ(イブ)から生まれた、人類最初の兄弟。兄のカイン。弟のアベル。兄は、弟の神へのささげ物の方が神に喜ばれたことで、激しく怒り、弟を殺害します。これがもし他人同士だったなら、殺人までにはなっていなかったでしょう。兄弟は、争うようにできているのでしょうか。
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今回の問題。もし兄と弟が逆だったらこんなにこじれなかっただろうと言う人もいます。兄の方が現役時代も先に出世し、兄が部屋も継いでいたら、兄が父二子山親方の葬儀で喪主をつとめて、何の問題もなかったでしょう。
兄弟は日常生活でもライバルです。まして同じ仕事をしていて、弟の方が優れていれば、兄は内心穏やかではないでしょう。弟の方も、自分の方が力が上なのに、なお兄を立てねばならず、兄の方が周囲から評価され、兄の方が親から愛されていると感じてしまうなら、それを受け入れるのはとても難しいでしょう。
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もう一つ、聖書に登場する有名な兄弟争いのお話。アブラハムの孫、兄エソウと弟ヤコブ。これも弟の方が優秀。しかも、父は兄を愛し、母は弟を偏愛。弟は兄と父をだまし、長男の権利を奪い取ります。しかし、弟は兄の復讐を恐れ、長い逃亡の旅へ出ます。
そういえば、西部グループの堤兄弟も、ライバルとして戦い続けてきました。ライバル心が、事業発展のエネルギーになったかもしれませんが、それでももし兄弟間の確執がなければ、もっと幸せになれたかもしれないのに。
兄ちゃんの方がキャンディーが一個多い、お姉ちゃんのハンバーグの方が5ミリ大きい。兄弟は、そんな些細なことで、大げんかをします。親から見れば、アメなんか後で買ってあげる。ハンバーグもまたいくらでも作ってあげると言うのですが、子どもは納得しません。実はこれは、アメ一個、ハンバーグ10グラムの争いではなく、親の愛の奪い合いなのです。
お菓子の数が少ない、おかずの量が少ないということは、「僕よりも兄ちゃんの方が好きってことなんだな!」と子どもは感じてしまいます。だから、あんなに激しく争うのです
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一番上の子にとっては、今まで親の愛情も、おもちゃもお菓子も全部独り占めだったのに、ある日突然あらわれた弟とか妹という名の「よそ者に」に、すべてが奪われてしまいそうになります。
子どもは苦しみ、愛を切望し、退行現象(赤ちゃんが返り)を起こすこともあります。今までできていたことができなくなり、親に甘えます。
そんな時、「お兄さんなんだから、お姉さんなんだから、しっかりしなさい!」とやってしまうと、問題がこじれます。
そうではなくて、たっぷりと愛を注ぎ、甘えさせてあげれば、上の子も落ち着き、弟や妹のこともかわいがって上げられるでしょう。
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一番上の子が、少なくとも最初は王子様、お姫様のように育ったのに比べて、下の子は、物心ついたときにはすでに自分より大きなライバルがいるわけです。
最初は、力でも言葉でも勝てません。必死になって、自分の分のお菓子を確保したり、一生懸命自己主張しなければなりません。
その中で、強さを身につける人もいますし、要領のよさを身につける人もいます。(たいていの兄弟は、上のほうがのんびりしていますね)
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長子は、最初は親の愛を独り占めにします。跡取として大事にされることもあるでしょう。辛い思いをする弟、妹もいます。
一方、長子は親が抱えている心理的問題を直接浴びることになります。長子としての責任、重圧を感じ、自由に行動している下の兄弟を実はうらやましく思っていることもあるでしょう。
親として、兄弟えこひいきをしないことはもちろん大切です。その意味では、平等にすることはとても大事です。
しかし、子どもは平等に愛されることを望んでいません。自分を一番愛して欲しいと願っているのです。
同じ親から生まれた兄弟といっても、性格も能力もいろいろです。得意不得意も違います。本好きの長男、スポーツが得意な次男。勉強ができる長女。かわいらしい次女。いろいろです。
そのいろいろな理由で、自分は他の兄弟よりも愛されていないのではないかと悩んでいる子ども達、いえ、悩みつづけてきた大人たちもたくさんいます。
心が歪んでいない親ならば、どの特徴をもった子も、その一人一人のことが、世界で一番大好きです。100パーセントの愛を注ぎます。
兄弟全員が、自分こそ親から特別に愛されていると感じることで、人の心は健康に育ちます。
☆親は、子ども一人ひとりに、「あなたのことが一番好き」と伝えましょう。そんな矛盾したこと、嘘はつけないとお思いのあなたは、ウェブマスターが書いたこの本をお読みください。
『人間関係がうまくいく図解嘘の正しい使い方:ホンネとタテマエを自在にあやつる!心理法則 』
様々な葛藤を経験しつつ、多くの兄弟はそれでもすこしづつバランスを作り始めます。子どものころあんなに大ゲンカした兄弟もおとなになれば、落ち着きます。
(大人になってまったく交流がなくなる兄弟もたくさんいますが、そのような形での「安定」をつくりだすのでしょう。)
その家族、その兄弟なりのバランスができた後で、何かの理由でバランスが崩れることがあります。
兄は兄らしく振舞い、弟は弟らしく振舞っていた。二人は一緒に相撲界に入った。ところが、弟の方が、いつも先に昇進していく。大関も横綱も弟の方が先。
世間は、それにも関わらず、理想的な兄弟関係なのだと思ってきましたが、やはりそう単純ではなかったようです。兄弟の双方が、我慢していた点、不満に感じていた点が、たくさんあったようです。二人とも苦しんでいたのでしょうか。
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さらに、夫婦関係の崩壊。兄の相撲界引退。親との争い。そして、兄弟間の争い。次々と変わっていく人間関係、変化するバランスの中で、そんなことがなければ表面化しないで済んだ兄弟の問題が、一気に噴出してきたのかもしれません。
二子山ファミリー、花田家は、理想の家族と言われてきました。日本一の孝行息子達。すばらしい兄弟。しかし、どんな家族にも問題がないわけがありません。今になって、二人もそうではなかったと語り始めています。
当然のことなのですが、理想的家族関係を演じつづけなければならないとしたら、それ自体が大きなストレスになります。問題を小さなうちに表に出して、解決することが難しくなります。
どの家族も、みんな問題を持って、どたばたしながら、ぶつかりながら、生きていければよいのだと思います。けんかしても、もとにもどれるのが、家族なのですから。
良い家庭を演じることで、問題を隠してはいけません。
どんな家庭にも問題はあります。りっぱな光り輝く家庭でも、同じです。もしかしたら、光がまぶしい分、闇の部分も大きいことがあるかもしれません。
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問題がこじれそうになったときに大切なのは、コミュニケーションをとることです。心を割って、話し合うことです。でも、今回のような超有名人家族の場合には、取り巻きたちがいます。
自分だけの利益で動いている人、あるいは善意で良かれと思って動いている人ですら、結果的にはさらに兄弟関係を悪化させることをしているかもしれません。
一言一言が、マスコミで報道されてしまうことも、問題を大きくしているでしょう。また、元家政婦さんもいろいろなことを話してしまっていますね(職業倫理上の問題はないのでしょうか)。
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今日、05年6月13日、協会葬が行われました。弟貴乃花親方は、喪主としての大役を見事に果たしました。そんな今日、兄花田勝氏が謝罪のコメントをファクシミリで出しています。
以前はは、兄の方が発言をし、弟の方が黙っているというパターンでしたが、ここのところは、逆に兄は黙り続け、弟の方がマスコミに向かって発言をはじめていました。これまで口数が少なかった弟ですが、冷静すぎるほどの態度で、きつい言葉、攻撃的な言葉も出ています。批判もあります。
そして今日の兄の言葉(ファクシミリによる文書)。自分は花田家を守らなければならない立場であり、兄弟の確執はプライベートな問題で、記者会見などを行う気持ちはないと言います。そして、今回の騒動は自分の不徳の致すところ、それは父も望んでいないことだとして、「一連の報道に心を痛めている方々に対して、この場をお借りし、深くお詫び申し上げます」と語っています。
なんて立派なコメントなのでしょう。マスコミの中には、兄の言動を「大人の態度」と評価するところもあります。
でも弟は、この言葉を素直に聞けるのでしょうか。本来なら、大役を務めた自分だけが賞賛されるべき今日6.13のタイミングで、こんな「立派な」言葉を兄が言う。弟は、どう感じるのでしょうか。
兄は、本当にただ素直に謝っているのでしょうか。二人の間の真実は何のか。私にはわかりません。
(6.14補足:弟は兄の言葉に対して、「真実は一つ。ファクスではなく、テレビで出て自分の言葉で反論してほしい」と語っています。)
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二人のことは、これからも報道されつづけていくでしょう。問題がない理想の家族ではなく、苦しかったけれども問題を乗りこえた家族の姿を、私達に見せてくれることを、願っています。それこそが、本当の家族なのですから。
(6.14補足:相撲協会の協会葬のために父親である故二子山親方の遺骨を受け取った弟貴乃花親方は、当初兄花田勝氏に返すと言っていた遺骨と位牌を、納骨まで自分が管理すると表明しています。)
ところで、日本のロイヤルファミリーも、いろいろありました。
兄はまじめです。ルックスも趣味も、どちらかといえば地味。良い子でした。問題のない子でした。
日本のロイヤルファミリーは、英国王室などとは違って、それこそ完璧な理想の家族でなければならないことになっています。日本人が目指すべき理想の家族像です。
その中にあって、弟はちょっとやんちゃなイメージ。真実は何もわかりませんが、伝わってくる雰囲気としては、クラシックよりはロックが好き、登山よりはドライブが好き、そんな感じです。
ということで、それなりにバランスは取れていたと思います。
そして、二人は結婚。ところが……。
兄のお嫁さんの調子が思わしくありません。兄は、まじめですし、夫として一生懸命妻を守ろうとしたのでしょう。あの「人格否定発言」。
インパクトがありました。世間も味方になりました。しかし同時に、あんなことを立場上言ってもいいのかという声もあったことでしょう。
辛い立場に立たされます。
そのあとで、弟の方が、まじめで正しい優等生的発言をします。
これまでの兄弟の立場の逆転です。
兄は何を感じたのだろうかと、考えてしまいます。
ロイヤルファミリーですから、マスコミも事を荒げることはなく、一応は落ち着いているようです。本当に、仲の良い、豊かなコミュニケーションがとれている家族に戻れていることを、願っています。
どんな家族にも、どんなすばらしい兄弟にも、問題が起こることはある。それでいいんですけどね。
そこで、家族がばらばらになるか。そこで、家族が一つになれるか。
問題を抱えている家族に解決が与えられることを願っています。
特に、立派な家庭内の、まじめで善良だからこそ苦しんでいる人々に幸せがきますように。
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