心理学総合案内・こころの散歩道/犯罪心理学/神戸小学生殺害事件/「神戸小学生殺害事件:事件の背景とこれからの教育を考える」月刊「児童心理」(金子書房)1997年11月号別冊
・同世代の少年達が、逮捕された少年の「犯行声明」などに共感できるとする点が、事件の深刻さを示している。
・安易な少年法改正の考えでは、少年の「不幸な訴え」に対応できない。
・少年の鬱屈した心理、孤独感を理解することは大切だ。
・少年の心情を考えようとすると、「被害者の人権はどうするのだ」という偏狭な意見が出てくるような世の中は、子供が生きにくい世の中だ。
・現代の殺伐とした管理教育の問題は大きい。
・批判のやり合いではなく、互いに自己反省の機会とするべきだ。
さすがに、トップを飾るだけあって、読みごたえのある内容だと感じました。
さて、このページ神戸小学生殺害事件(酒鬼薔薇事件)の犯罪心理学では、事件の第一の原因は、少年の深い病理性であり、単純に教育や社会の問題にしてはいけないと述べてきました。鎌田氏は、そのようなことを十分ご理解なさっていらっしゃるように推察いたしましたが、それと同時に、「少年の異常性を強調するだけで、この問題を解釈するわけにはいかない」と述べています。そして、それが直接の犯行動機ではないにしても、少年達が共感した学校への批判や、彼を「透明な存在」にしてしまった教育や社会の問題を、自分たち自身の問題として、真剣に考えなくてはならないと主張しています。
私は、犯行の原因として、直接的に学校や社会システムを取り上げることには反対ですが、上記の主張には賛同できます。そのような諸問題は、この犯罪心理のページでは扱ってきませんでしたが、「心理学総合案内こころの散歩道」全体を通し、私たち自身の問題として考え続けていきたいと思っています。
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犯罪心理学:心の闇と光
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