酒鬼薔薇聖斗の「聖なる実験」/犯罪心理学/神戸小学生殺害事件/「神戸小学生殺害事件:事件の背景とこれからの教育を考える」月刊「児童心理」(金子書房)1997年11月号別冊
要約
・今回の事件は、非常に倒錯的だった。人々は不安になり、また覗き見的になった。人々は早く決着をつけたがり、「教育のせい」「親のせい」と、結論を求めた。しかし、そのような犯人探しは、変化をもたらさず、あまり意味が無い。
・今回の事件も、女子高生コンクリート詰め殺人事件も、親が子どものことを知らなかったことに、世間は驚いた。かつての親子は物理的には遠くても、心理的には近かった。現代の親子は、物理的には近くても、心理的には遠くなってしまっている。
・メディアの発達により、私たちは実際の身の回りのことでもメディアからの情報を通して解釈してしまっている。
・メディア・コミュニケーションがもたらす心理的特徴:1)普通であることに敏感になる。2)結果を重視する 3)一般的なものが自分のもののように感じられる。
・パーソナル・コミュニケーションの欠落:メディアからの情報を信頼し、人と人とのコミュニケーションを軽視することで、子供たちには、次のような傾向が表れる。1)無為的、受動的になる。2)衝動的、快楽的になる。3)控訴的、他罰的な話をする。相手の気持ちが分かりにくい。
・日本の家族も崩壊しつつある。
コメント
事件を契機としたメディア論として、大変興味深く読みました。
マスメディアからの情報によって、分かったような気になってしまうのは、かえって個人的なコミュニケーションをとる時の妨げになるかもしれません。
私の研究テーマである動機づけ(やる気)について考えても、マスメディアからの膨大な情報は、場合によっては、わかった気、やったつもり、になってしまって、知的好奇心や挑戦心、内発的動機づけを失わせてしまう危険性があるでしょう。
ただし、単純にメディア悪玉論を主張しようというわけではありません。
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