心理学 総合案内 こころの散歩道/自殺と自殺予防の心理/子どもの自殺(碓井真史)
2005.9.15
報道によれば、14日、長崎県佐世保市内の畑の脇で、中学2年生の女性とが首をつって死んでいるのが発見されました。13日夕方から行方がわからなくなっていた生徒でした。
校長先生が記者会見を行い、「部活動でも活躍しており、活発な子だった。原因がどこにあるのか、思い当たるところがない」と語っています。
長崎県内ではここのところ中高生の自殺が相次いでいました。
一つの自殺は、次の自殺を引き起こす危険性があります。特に大きく報道される自殺は、このような自殺の連鎖を高めます。
特に、同じ地域、同じ年齢、同じ境遇の人たち。似たような環境で、似たように悩んでいる人たちは、危険です。さらに、中学生などは、大人以上に周囲からの影響を受けやすく、危険性が高くなります。
このようなときには、大きな体育館に全生徒を集め命の大切さについて話をするといった方法よりも、一人一人の顔が見えるクラス単位でフォローをする必要があります。クラス全体の様子を注意深くみること、さらに普段から不安定な生徒や、気にかかる生徒がいれば、この機会に声をかけましょう。
マスコミも、自分達の報道の危険性を知り、大きな自殺報道をするときには、必ず自殺予防に関する情報を伝えることの必要性を理解しましょう。
故人を責めるようなことはできませんが、必要以上にセンセーショナルな報道は控え、自殺は決して問題解決にはならないと伝えなくてはなりません。
BOOK 「群発自殺:流行を防ぎ、模倣を止める」
中公新書 著者: 高橋祥友*
さて、長崎県長崎市では、2003年に中学生による幼児殺害事件がありました( 長崎男児誘拐殺人事件 の犯罪心理)。2004年には同権佐世保市で小学6年生の女子児童が同級生を殺害する事件がありました(長崎小6女児殺害事件の犯罪心理)。
県としても手をこまねいていたわけではなく、最初の事件の後から、様々な良い取り組みをしていると聞いています。それでも、事件は起こり、また今回は「中高生の自殺が相次いでいる」と全国に報道されてしまいました。
もちろん、亡くなられた方々とご遺族のことを考えれば、周囲がもっと何かできたのではないかと、悔やまれれます。不十分な点があったのなら、猛省が必要でしょう。
ただ、残された生徒たち、子ども達のことを考えると、関係者を責め立て、憔悴させても、良いことはないように思えます。
こんなときこそ、互いの支えあいが必要なのだと思います。
子ども達に、「君も一人ではない」と伝えるように、大人たちも連携することが求められているのではないでしょうか。
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