2009.3.25
長女彩香ちゃん(当時9歳)を「橋の上で振り払った」と証言。米山豪憲君(当時7歳)については「彩香がいないのに、なぜ元気な豪憲君がいるのか」という切なさと憎しみから殺害したなどと述べた。
判決は無期懲役だった。
長女殺害に関しては、「1審の最中から記憶にかすみがかかってくる感じになった」。豪憲君についても「記憶がビデオテープのようにぶつぶつと切れたような感じ」と供述。
2009年3月25日控訴審判決 無期懲役
精神鑑定の結果は、分裂病質人格障害(統合失調症質人格障害)であり、回避性人格障害、依存性人格障害もあわせもっているといいいます。
一人の人が、いくつもの人格障害を持つことはよくあることです。
分裂病質人格障害とは、次のような特徴をもつ人々です。(以下の7つのうち4つを持っていれば分裂病質人格障害と診断されます。)
1. 家族を含めて人と親密な関係を持つことを楽しいと思わず、親しい関係を持ちたいとも思わない。
2. ほとんどいつも孤立した行動を取る。
3. 他人と性体験を持つことにほとんど興味がない。
4. 趣味のような喜びを感じる活動にあまり関心がない。
5. 親、兄弟姉妹以外に親しい人や信頼できる人がいない。
6. 他人の賞賛にも批判にも無関心に見える。
7. よそよそしく冷淡である、感情が平板化しており情緒性がない。
回避性人格障害とは、自分が好かれていると確信しないかぎり、人との交流をもとうとしないような人々です。人からの非難を恐れ、新しいことを始めることがなかなかできません。
依存性人格障害とは、甘えが強く、大切なことも自分では決められない人々のことです。
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実は、鑑定結果が出る前は、彼女は演技性人格障害や自己愛性人格障害ではないかという意見がよく聞かれました。私も、そのように感じていました。マスコミの前でのはでなパフォーマンスや、巧みに人をだます嘘、二転三転する供述などからそのように感じました。そのようなパーソナリティーのために、10代のころからトラブルを繰り返してきたのだろうと思っていました。
そのために、卒業文集の寄せ書きでもずいぶん悪口を書かれてしまったのだろうと想像していました(もちろん、どんな生徒だからと言ってみんなで悪口を言っていいはずはありませんが)。
言って見れば、派手な性格です。
しかし、マスコミの人から聞いたのですが、事件が報道された後での、テレビカメラや新聞記者の前での彼女の行動と、以前から彼女を知っている人が語る畠山鈴香像が、ずいぶん違うというのです。
畠山鈴香は、派手なトラブルメイカーなのではなく、むしろまったく目立たない人だったというのです。
高校の同級生たちも、すぐには思い出せない人多かったようです。
それが、彼女の本来の姿なのでしょう。精神鑑定の結果の、分裂病質人格障害といった診断は、目立たず、人間関係を避けるイメージです。
ではなぜ、今までの彼女の態度とは正反対ともいえる言動が見られたのか、それはわかりません。
精神鑑定人は、次のよう述べています。
「父親の暴力もあるが、強調したいのは あまりに緊密な母親との関係」と指摘。「母親が被告を独占、支配したい気持ちが強く、 被告が取り込まれていた。それぞれ子離れ、親離れができていない」
近くで取材を続けていたマスコミの方から来たのですが、彼女は父親を恐れ、そして母親に対してはとても気を使っていたということでした。
彼女の持って生まれた性質と、このような親子関係が、人格のゆがみを大きくしていったのでしょう。
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