こころの散歩道(心理学総合案内)/犯罪心理学/安室奈美枝母親殺害事件/告別式
安室奈美恵さんのお母さんの告別式が20日、営まれました。親族、知人、芸能関係者ら約2000人が弔問に訪れました。
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スポーツ紙等の報道によると、「号泣する姉や兄嫁とは対照的に涙をこらえ、気丈にふるまった」、「落ち着いた表情」、「隣で泣き続ける姉への気づかうようなしぐさ」といった表現がされています。
立派な精神力です。芸能界でトップスターでいることは並大抵のことではないでしょうから、こんなときに冷静に振る舞うこともできるのかもしれません。
「(母親が)遺骨となったことで、気持ちの整理がついたよう」という記事もありました。それが本当なら良いのですが。
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安室奈美枝さんの本当の心の中はわかりません。けれども、一般的に言って、どんなに強い精神力の持ち主でも、母親が自分のおじに殺されるような体験をすれば、簡単に冷静になどなれません。
告別式の場でも、泣き崩れることができれば、むしろ楽かもしれません。しかし、「しっかりした人」や、立場上、取り乱すことなどできない人は、その時は、冷静にふるまってしまいます。
一般のお葬式でも、式が終わるまではてきぱきと動いていた家族が、式が終わり、親戚がみんな帰った後で、悲しみが押し寄せてくることはよくあるでしょう。今回のような犯罪被害であれば、心の傷は、なおさら深いものでしょう。
そのとき、しっかりしているように見えても、悲しみやショックがいやされたわけではありません。冷静に見えるからといって、その人への配慮を忘れてはいけません。告別式の後こそ、悲しみをいやす援助が必要なのです。
心理学的に考えると、悲しいときには、その悲しみをしっかりと受け止め、その感情を表現できたほうが、立ち直ることもスムーズに行くようです。
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告別式の時の安室さんの表情は、冷静というよりも、悲しみを表現できないほど傷ついているようにも見えました。
この日、自らも被害者であり、加害者の兄でもあるお父さんの記者会見がありました。話によると、狙われたのは自分だそうです。「どんなに詫びても、お母さんは帰ってこない」と言って号泣したと報じられています。
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安室奈美恵さんだけではなく、ご家族、関係者のみなさんの心がいやされることを祈っています。
99.3.21
*上記の引用は、「ZAKZAK」からのものです。
このページは、決してマスコミ批判ではなく、マスコミが報じているように一般的にはそう見られるだろうが、心理学的には少し違うことを示してみました。