こころの散歩道(心理学総合案内)/犯罪心理学/安室奈美枝母親殺害事件/報道のあり方
Yahoo! JAPANに今回の事件に関するトピックスと掲示板ができました。とくに、報道のあり方についての投稿がたくさん来ています。3.20. 20:00現在の内容を見ると、行き過ぎた報道への批判意見が多いようです。
しかし、マスコミを批判する人たちもそのマスコミ報道を見ているではないか、それがマスコミを支えているのだといった意見もあります。また、人間には誰にでもやじ馬根性があるのではないか。私はやはりワイドショーの芸能ネタが好き、という意見もあります。
掲示板でもまじめなディスカッションが行われていますが、このページでも考えてみることにしましょう。
少なくないの芸能人が、自分のプライバシーを売り物にしています。このような人たちは、普段マスコミを利用しているのですから、多少自分に都合の悪いときにマスコミが来たからといって、あまり文句は言えないでしょう。(もちろん、限度の問題もありますが)
自分の私的な生活を公表せず、自分のプライバシーを売り物にしていない芸能人ならば、個人的な生活をのぞかれたときには、プライバシーを侵害するなと、マスコミに向かって大きな声で文句が言えるでしょう。
多くの芸能人は、この中間でしょうか。良いことも悪いことも報道されてしまうのは、「有名税」かもしれません。芸能人の方々は、自分で選んで有名になったのですから。
この言葉は、政府とか、政治家とか、財界人とか、社会的強者に関して使う言葉のような気がします。社会的弱者である一個人を追いかけ回すときに使う言葉ではないでしょう。使うとすれば、国民(視聴者、読者)の知りたいという「ニーズに応えて」というところでしょうか。
芸能人の場合は、弱者である一個人とは言えない場合もあると思います。しかし、今回の場合は、犯罪被害者の立場ですから、私は今は弱者である一個人と考えても言いように思います。
私自身の含めて、人間には、やじ馬根性とか、のぞき見趣味的なものはあるでしょう。「人の不幸は蜜の味」なんて言葉もありますしね。こんなページを作っていること自体、事件を食い物にしているのではないかというご批判もあるかもしれません。
しかし、同じ関心をもつにしても、「暖かい関心」と「冷たい関心」があるのではないでしょうか。特にこんなときには、暖かい関心を持ちたいと願っています。
また、私たちにいくらのぞき見趣味ああるとしても、マスコミはそのニーズに応えればよいというものではないでしょう。個人メディアであれば、法に反しないかぎり良いかもしれません。
けれども、マスメディアであれば、ニーズに応えるだけではなく、公共の利益も考えなくてはならないでしょう。視聴率を取れるということだけでは、マスコミの行動を正当化することはできないと思います。
すこし、複雑な話ですが。
「暖かい関心」も「冷たい関心」も、心の奥底の闇の部分まで見ると、それは似たようなものなのかもしれません。決して、結局は同じだなとと言うつもりはないのですが、でもそれが私たちの心です。暖かい愛と同時に、冷たい残酷さも持っている。だから、自分の意識では「暖かい関心」のつもりでも心の底では「冷たい関心」になってしまっていることはあるでしょう。暖かい関心のつもりが、人を深く傷つけてしまうこともあるでしょう。
3.20