こころの散歩道(心理学総合案内)/犯罪心理学/毒物事件/判決を受けて・激高と恨み(新潟青陵大学碓井真史
和歌山の毒物カレー事件・保険金詐欺事件で、殺人などの罪に問われた林真須美被告に対し、求刑通り死刑がでました。裁判長はカレー事件について、検察側の考えを全面的に認め、真須美被告が殺意を持ってカレー鍋に亜ヒ酸を混入したと断定しました。
・決定的な物証はなく状況証拠しかないこと。
・検察は、被告が「激高」してカレー鍋に毒を入れたとしていますが、激高した様子は確認されていないこと。
・犯罪心理学的には、保険金詐欺のような知能犯罪と無差別殺人を狙った毒カレー事件のような粗暴犯罪を、同一の犯人が起こすことは珍しいこと。
しかし、総合的に考えて、やはり犯人は真須美被告しかいないと判断されたのでしょう。
(再審請求中)
あの夏祭りの日、無視された真須美被告は激高したと、検察は言っていましたが、判決では否定されました。私は、「激高」よりむしろ「うらみ」の心理ではないかと感じます。
もちろん、決して地域の方々が悪いと言うわけではありません。彼女がそれだけの事をしてきたのだし、逆恨みとも言えるでしょう。
経済的にも、人間関係でも上手くいかなくなった真須美被告は、しだいに恨みの感情を高まらせ、そして無視されたことをきっかけとして、犯行に及んだのではないでしょうか。
ある人はこんなふうに言っています。
「殺意を持っている人に実際に殺人を犯させるにはどうしたらよいか。それは、だれもその人に話しかけないことだ。」
「少女はなぜ逃げなかったか」:続出する特異犯罪の心理学 小学館文庫
(和歌山カレー毒物事件も扱っています)
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