ドラマで学ぶ醜形恐怖症(自分は醜いと思い込んでいる人の心理)
「心の散歩道」(心理学総合案内)/「心療内科医・涼子」から学ぶ心理学/ 5、美容整形・醜形恐怖(醜貌恐怖)

顔を変え続ける女
醜形恐怖症(美容整形をし続ける女性)

第5回 97.11.10

「私ね、あなたを信じているから逃げない。」

「病気に勝って本当の自分を取り戻せる人だと信じているから。」


ゲスト・クライエント:菊池麻衣子

心の問題:醜貌恐怖(醜形恐怖)

用語解説

神経症・恐怖症


あらすじ

 涼子(室井滋)の所属する心療内科で、英会話を勉強することになった。講師は、医局長(寺脇康文)の知り合い沢田美樹(菊地麻衣子)である。 若くて有能そうな美樹だが、自分の容姿をひどく気にしているようである。

 美樹は、希望する職業である、テレビリポーターの面接を受けたが、不合格だった。何度めかの不合格である。その夜、試験の不合格は自分が醜いからだと思い込んだ美樹は、取り乱し、当直の杉本医局長を訪ねる。

「私が醜くないのなら、私を抱いて!」と迫るが、杉本に拒否される。発作的に屋上から飛び降りようとした美樹を、涼子が止めた。

 美樹の治療が始まった。自分の醜さのために試験に落ち、恋人の悟(東根作寿英)にも嫌われた。美容整形の手術も失敗だと訴える。美樹は、整形外科医に無理な手術の要求をし続けている。

 涼子は、手術をしてくれるように頼み、そのかわり、包帯がとれるまで、涼子の病院に入院することになった。深夜、包帯をとって自分の顔を見た美樹は、悲鳴を上げた。実際には、手術はしていなかったのだが、幻覚を見たのだ。

 悟が美樹を嫌っているというのは、誤解だとわかった。悟は、涼子の依頼で美樹に会い、本当の気持ちを伝える。しかし、美樹はその言葉を喜びながらも、もう取り返しが着かないと自分の顔をガラスで傷つけた。

止めに入る涼子。だが、手術のウソに気づいた美樹は、涼子の顔にガラスの破片を突きつける。しかし、涼子は逃げない。

「私ね、あなたを信じているから逃げない。」「病気に勝って本当の自分を取り戻せる人だと信じているから。」

そして、美樹も病気と闘う決心をするのだった。悟からの温かなメッセージも届いた。美樹の回復は意外に早いかもしれない。


この場面・このセリフ

「写真うつりがいいね。」

 こう言われて、かえって、美樹は傷つきます。さて、ドラマの本筋から離れますが、女性をこういう風にほめるときには、たしかに、逆に気分を害してしまうことがあるようです。ただ、男性でも女性でも、相手が善意であなたをほめたときには、ほめ方が下手だとしても、あまり責めないでほしいとはおもいますが。

「おれ、整形するなんて聞いてないぞ」

 また、心理学の話からそれますが、彼女が黙って整形したら、不愉快だと思います。だって、私はその顔を彼女を愛したのですから(美容整形するときは、ちゃんとかれと相談しましょう)。恋愛心理学:男女関係、恋愛、結婚 の心理

美容整形

 一般の医師の考えでは、病気でもないのに、身体にメスを入れるなどとんでもないと言います。私もそう思います。ただ、一度の美容整形の手術で、悩みが解消され、元気になる人もいるようです。

美人

 心理学的な研究によると、外見がよい方が、内面も良いと思われやすいようです。また実験によると、美しい人が商品の横にたつと、その商品への評価も高まります。やはり美人は得でしょうか。
 ただし、美人の方が不安が高いという研究もあります。美男、美女のルックスを保ち続けるのも苦労が多いでしょうし、内面も良いとだろういう期待に応えるのも、大変です。

「だったら抱いて下さい」

 女性が寂しさをまぎらわせるために、身体を提供しよとする事はよくあることです。成功したとしても、その結果は、一時的な満足感しか得られません。本当の愛情は得られていないからです。

「死にたいならそれもいいわ。でも、その前に話を聞かせて。」

 若者の死は、大きな問題が解決できるかどうかの人生の賭だとも言えます。自殺しようとしている人に対して、「その前に話を聞かせて」と言うのは、自殺を止めるためにとても効果的です。自殺に関しては、ここ もご覧ください。(こころの散歩道/心のニュースセンター/自殺予防の心理

「まさか彼女があんなに思い込んでいるなんて」
「(患者として対応していたのではないのですから、わからなくても)無理ないですよ」

 美樹の行動を予測できなかった医局長の言葉とそれに対する涼子のなぐさめの言葉。普通なら、心療内科医ともあろう者がと、責めたくなるでしょう。でも、無理なのです。誰かが自殺したとき、犯罪を犯したとき、失敗したとき、後から考えれば、何とかなったような気がしますが、その時にはわからないのでです。

 社会心理学的な研究です。人々は、ある結果が分かったとたんに、その結果が、自分だったら予想可能だったと思い込んでしまいます。実は、冷静に考えれば、自分が当事者であったとしても
予測はできなかったのですが、上のような思いこみのために人を責めてしまうことが、よくあるのです。

美容整形外科医

 ドラマでは、醜貌(醜形)恐怖の知識が全くないように描かれていますが、実際はそのようなことはないと思います。

「美樹さんにとっての美しい顔は、誰にも拒否されない顔」

 ドラマの後半で、美樹の思いがわかってきます。拒否されたくない。人に拒否されることほど、辛いことはありません。でも、全ての人に拒否されない、嫌われないことは、ほとんど不可能です。

 みんなから愛されればうれしい、でも、私を嫌う人がいたとしても、私を愛してくれる人もいる。私は自分を愛し、元気に生きていこう。

悟と美樹のすれ違い
「あのときも、本当はきれいになったなったねって言いたかったんだ。」

 本当は愛し合っていたのに、お互いに相手に嫌われたと思っていました。そうならないためには、相手にとって良いことは、恥ずかしがらずに誠実に伝えること。それから、自分の気持ちは、当然わかっているはずだと決めつけないで、きちんと相手に伝えること。

 あなたのことが好きです。きれいだよ。すてきだね。私はとてもうれしい。あなたを愛しているから、そんなことをされたら私は悲しい。 などなど。

「本当の自分の姿を見失っているだけよ。」

 いろいろな問題で悩んだり、心の病のせいで、強い劣等感を満ち、積極的になれない人達がいます。でも、それは、あなたがダメな人間なのではなく、本当の自分の姿を見失っているだけなのです。

「何でもかんでも顔のせいにして、真実を見ようとしない。」

心の病気が心の逃げ場になっていることがあります。

「なぜ逃げないの」

 一度悪い思いこみを持ってしまうと、その思いこみを確かにするような行動をとり続けることがあります。私はみんなに拒否されると思いこみ、拒否されるような行動をとり、その結果として拒否されれば、ああやっぱり私はみんなに拒否される人間だと思うのです。

「私ね、あなたを信じているから逃げない。」
「病気に勝って本当の自分を取り戻せる人だと信じているから。」

 今週のキメのセリフ。上に書いた行為と思いこみの悪循環を涼子が断ち切りました。人は誰かに信じてもらえたとき、強くなることができます。

 あなたもきっとこころの病気に勝てます。苦しみを乗り越えることができます。あなたも、そんなに弱い人間ではないのだから。今は、本当の自分を見失っているだけなのです。

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ドラマにちょっと一言

・美樹が医局長に拒否されるシーン。もっときちんと、愕然とした表情を見せてほしかった。

・ピンぼけ写真のプレゼント。この場面は良かったね。


用語解説

心療内科医・涼子 NO.6  嫁 vs 姑 心理戦争 へ進む

BOOK:『心療内科医 涼子』(ドラマから生まれた小説)
DVD:『心療内科医・涼子』DVD 1〜4(全話収録)
MUSIC:『心療内科医・涼子』の曲 (主題歌など)

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