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もっと悪い子だったら
:良い子の犯罪、悪い子の犯罪



 少年犯罪の世界で、補導歴のない「いきなり型」の犯罪が増えています。むしろ「まじめで良い子」と思われていたような少年が、突然凶悪犯罪を犯すこともあります。

 「あんなまじめな子がどうして?」と、世間の人は言います。でも、時にはまじめだからこそ、一気に凶悪犯罪まで走ってしまうことがあるのです。

 私がふだんから犯罪に慣れていて、ケンカも上手だったとしましょう。目障りな相手をやっつけてやると思ったとき、下手に凶器など使いません。捕まったときに刑罰が重くなるからです。まして殺したりしません。自分の身がかわいいですから、計算の上で、相手を痛い目に合わせてやるのです。

 これが、ケンカなどしたこともない人ならどうでしょう。このままでは自分がやられると思い込み、素手で相手に勝つ自信もなく、包丁を握っているかもしれません。凶器で相手を脅したり、痛めつけて言うことを聞かせるような余裕もなく、包丁を握り締め、目をつぶって、相手に突進していくでしょう。

 血を流している相手を見て、反撃される恐怖にかられ、ますます無我夢中で包丁を振り回すかもしれません。すでに、事切れている死体に向かって、さらに何度も包丁を突き刺すかもしれません。

 もちろん、ほとんどのまじめな人は、そんなことを想像しても、怖くて実行には移せないのですが、何かの拍子に実行に向かってしまった人は、まじめだからこそ、限度を超えた攻撃をしてしまうこともあるのです。弱いイジメられっ子が、いじめっ子を殺そうとしたり、家に火を付けようとするようなものです。

 小さな犯罪を隠すために大きな犯罪を犯してしまうのも、まじめな人の犯罪に良くあるパターンです。

 泥棒して、警察に捕まっても、「ふん!なんてことねぇや! オレは少年法で守られてるんだ!」などと言うようなワルであれば、今回の殺人事件は起こしていなかったでしょう。

 少年は15才なので、刑事処分を受けることはありませんが、「(少年法上、自分がどういう罰を受けるかについては)まったく考えていなかった」と供述しています。

 彼の心にある怒り、うらみ、そして思春期の健康な性欲。それをもっと「小出し」にできていれば。

 社会に認められるような形で、自分の思いを小出しにできることが、大切です。まじめな優等生などと言われなくても。

(「いきなり型」といっても、補導歴がないだけで、本人の変化や犯罪の兆候に周りの大人が気づかないケースも多いようです)


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