やる気(達成動機)の心理
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達成動機

目標を目指して

 雨上がりの道。子供たちが跳びはねています。水たまりを見つけると、走っていって、「う〜ん。飛び越えられるかなあ。」「えーい!」

 水たまりを見ると、飛び越えたくなる。高いものがあると登りたくなる。人は、目の前に目標があると、やってみたくなります。

「どうして山に登るのですか。」
「そこに山があるからです」
名セリフですね。

目標に向かうやる気のことを「達成動機」といいます。


達成動機とは

どんな目標がいいの?

 子供は、どんな水たまりを飛び越えようとするでしょうか。小さすぎる水たまりではつまらない。大きすぎる水たまりでは、飛び越えられるわけがない。できるかな?できないかな?頑張ればできるかな? そう思える水たまりを選びます。

 その人にとって、ちょうど良い目標が、いちばんやる気が出ます。失敗するかもしれないけれど、成功したら、とてもうれしい目標です。そんなチャレンジ精神が湧いてくるような目標が大切です。そのよな目標に挑戦し続けるとき、達成の喜びが湧き、また力もついてくるでしょう。

 私たちは、いろいろな目標に挑戦して、成功したり、失敗したりします。その度に目標の困難度や自分の実力を考えて、ちょうど良い目標を選び取っていければ、成果も上がるし、能力も伸びます。

 親や先生や上司といった人たちは、どのくらい適切な目標を用意できるかが問われるでしょう。


失敗を恐れ避ける気持ち

 体育の跳び箱。子供たちが次々と飛んでいきます。でも、その子の番になったら、立ちすくんだまま、動こうとしません。

なんて、やる気のない子でしょう。

いえ、違います。

 やる気(達成動機)は、あるのです。でも、それ以上に、失敗したらどうしようという不安が高すぎて、走り出せないのです。

 目標に向かう行動を開始するためには、達成したいという気持ちが、失敗を怖がって避けようとする気持ちに勝たないとなりません。

 走り出せない子供に、やる気を出せと言っても無駄です。そうではなくて、失敗しても大丈夫、という環境作りが大切です。

失敗しても痛くない、ケガをしない。失敗しても笑われない、バカにされない。そういう環境なら、多少気の弱い子供にも、勇気が湧いてくるのです。

 テレビで、体操のコーチが言っていました。以前は、下に分厚いエバーマットを強いていただけだが、今では、ウレタンを切ったものをたくさん敷き詰めてある。このように、落下しても痛くない、ケガをしないようにしたところ、選手達は思い切った演技ができるようになり、上達が早くなりました。

失敗しても大丈夫


ゆがんだ目標

 健康的に達成動機が高く、失敗を恐れる気持ちが低ければ、人はちょうど良い目標を選べます。ところが、そうでないと、適切な目標を選ぶことができません。

 たとえば、実力はあるのに、いつも小さくなって遠慮して、低すぎる目標ばかり選ぶ人がいます。

 一方、ゆがんだ目標設定として、高すぎる目標を選んでしまうこともあります。

 私は、高校生の時、全く勉強しなくなり(生徒会とクラブ活動は毎日暗くなるまでやっていたんですけどね)、成績も悪くなりました。でも、プライドだけは高かったのです。

 成績は悪くても大学には行きたいと思っていました。そして、受験した大学は、絶対に合格できるわけのない偏差値の高い大学ばかりでした。

どうして、そんなことをしたのでしょう。

そういう大学なら、落ちても恥をかかないからです。プライドが傷つかないからです。

 心の中に、失敗への不安が大きくあり、その不安がそのまま外に現れると、低すぎる目標だけを選ぶようになります。不安があるからこそ、強がることがあります。そうすると、恥をかかないために、高すぎる目標だけを選びます。

 口では大きなことを言って、できもしない目標ばかり掲げて、結局失敗を繰り返す。そんな人間です。

 素直に自分の力を知る。必要な努力をする。多少失敗しても大丈夫。少しぐらい恥をかいても大丈夫。本当にプライドの高い人は、表面的に一時期だけプライドが傷ついても、そんなことには負けないのです。

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