こころの散歩道(心理学総合案内)/ 犯罪心理学 / 新潟女性監禁事件/第2回公判1


新潟女性監禁事件 第2回公判を傍聴して 1

弁護人側質問と被告の心の病

犯行動機は「さびしかったから」



2000.6.27

 本日(6.27)行われた第2回公判を傍聴しました。今回は開始の1:15から終了5:00の最後まで傍聴できました。(NT21さん、傍聴券ありがとうございました)

 今日も900人ほどの傍聴希望者が並んだそうです。今回は、弁護人側質問、検事側質問に被告が答える形で、被告人の話をたくさん聞けました。

 休憩までの前半は、特別傍聴席にお座りになった被害者のお父さんの隣の席に座りました。


被告人の印象

 前回の初公判ではまるで「修行僧」のような雰囲気だと感じましたが、今回はもっと「普通の人」に感じました。とても冷静でした。


両親

 父親と遊んだ記憶はない。溺愛されていると報道されているが、物を買ってもらったことはあっても楽しく遊んだ記憶はない。

 しだいに父親を嫌うようになった。母親のことは大切に思っている。


家の増築

 増築を母に頼んだ。母親を頼らず、「自立して働こうと思った」

しかし、自分の部屋に他人が入り、部屋が汚されることに我慢ができなかったために、工事は中止。


誘拐監禁の犯行動機

 「犯行動機はさびしさです」

事件前10年ほど友達もいなかった。話し相手が欲しかった。


ナイフ
(これで被害者女性を脅して誘拐した。大きな登山ナイフです)

 以前、ドライブ中に他のドライバーとトラブルになり怖かった。その時から護身用にナイフを買い、ずっと車に乗せていた。


布テープ
(これで被害者をしばった)

 服の袖などから糸が出ているととても気になる。それを取るために、事件のずっと以前から車に乗せていた。


監禁の様子

 「被害者には気を使っていた」

 ラジオは最初から、エアコンは2年目から入れた。昨年から29型フラット画面のテレビを入れた。スカイパーフェクトTVも見ることができた。

 彼女の考えが子どものままでは困るので、社会的事件についてディスカッションしたり、新聞を与えたりした。


被害者とは友達

 「被害者は友達」「話が合う」「嫌われてはいない」(と監禁している間は思っていた) 「明るくはなしていた」「被害者はかけがいのない存在」 暗い雰囲気にならないように気を使っていた。


おじさん

 おじさんと呼ばれた時が一番腹が立って、被害者の顔を何十回も殴った。彼女とは、同年代の友人として付き合いたかった。


被害者調書

 被害者調書を聞かされて、彼女がいやがっていたことを初めて知った。当時は、彼女の気持ちがわからなかった。

(ストーカーの人なども、自分が一方的に好きになっただけなのに、相手が自分を愛していると思い込んでしまいますね。)


食事

 当初は母親に食事を作ってもらっていたが、母親も高齢になり、負担を減らすためにコンビニ弁当に変えた。栄養状態が悪くなっても良いと思っていたわけではない。

 食事回数を2回から1回に減らしたが、それは被害者女性が糖尿病になるのを防ぐため。運動量に比べて食事量が多すぎ、糖尿病の兆候が出てしまった(と自分も糖尿病を患っている被告は思い込んでしまった)

 足を弱らせる意図はなかった。


潔癖性

 虫が嫌いで我慢できない。虫がとまったと思うところ、人が触ったところは、汚くて触れることができない。

 雨のしぶきがかかることも我慢できない。地面は汚染されているから。室内の床も照明も汚いと感じる。トイレも汚いと感じて使えない。

(不潔恐怖症という神経症(ノイローゼ)だと思います)


ベッドから下ろさない 

 彼女が「汚染」されるのを防ぐため。ベッドの上で屈伸運動をさせた。後に、ベッドの下に降りることも許し、足踏み運動をさせた。

室内を自由に歩かせない

  彼女が「汚染」されるのを防ぐため。監禁発覚を防ぐためではない。


潔癖性の奇妙な矛盾

 掃除はしない。食べかすもそのまま。気にならない。

 風呂は嫌い。風呂も虫のために汚染されているから。身体の汚れや臭いは気にならない。下着や服も洗濯しない、1〜2年着て、捨てる。

 この矛盾も、自分の中では問題ないと思っていた。普通とは違うとは思っていたが、病気とは思っていなかった。

(弁護側はこのような矛盾からことさら彼の異常性を強調しようとしているように感じましたが、不潔恐怖症の人がこのようなことをするのは珍しいことではありません。そして、不潔恐怖症の人たちはもちろん善悪の区別はついて責任能力はありますし、凶悪犯罪を犯すようなこともありません。)


排泄(トイレ)

 トイレは水洗でも汚いと感じるので使えない。中1のころから、ビニール袋を使ってきた。自分は自室や茶の間でした。被害者女性にも同様にビニール袋を使用させた。


人嫌い

 小学校高学年のころから人嫌い。店員と話すのも苦痛なので、買い物は全て母に頼んでいた。


母親

 母はかけがいのない存在。憎んでいたから暴力を振るったわけではない。矛盾しているが、自分でも説明できない。


現在の気持ち

 人間嫌いや潔癖性は「我慢していかなければならないと思っている」「人嫌いも克服したいと考えている」

被害者に対して

 被害者への詫び状を書いた。「罪を償うために自分には何にもできないが、せめて彼女のこれからの人生をじゃましたくない」


感想

・被告の矛盾した考えや行動は、でも、彼の中では真実だったのでしょう。彼の中では、被害者女性を大切にしていたのでしょう。

・今回の話を聞くかぎりでは責任能力がないとは思えません。ただし、責任能力の有無がすぐにわかるようであれば、正式な精神鑑定などいりません。微妙な問題でしょう。


この後、15分の休憩後、検事側質問
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