霊感商法を使う悪徳占いやカルト宗教のワナにはまらない方法。
新潟青陵大学大学院(碓井真史) / 心理学 総合案内 こころの散歩道 /犯罪心理学/霊感商法
2009年6月11日、印鑑販売会社「新生」社長と幹部社員、販売員ら7人が、特定商取引法違反(威迫・困惑)容疑で逮捕されました。
いわゆる「霊感商法」が行われていたようです。
また、公安部は逮捕された7人が、いずれも統一教会(世界基督教統一神霊協会(統一協会))の会員であり、この事件には統一教会が関与しているとみて、家宅捜査を行っています。(統一協会側は関与を否定しています)
報道によると、彼らは次のような霊感商法の手口で高額な印鑑を売りさばいていました。
- 路上で、
「姓名判断をしませんか」
「いい手相だから詳しく見たい」
「あなたは今、転機です」
などと声をかける。
- 会社事務所に誘い込む
- 根拠のない姓名判断などで
「運勢が悪い」「先祖の影響だ」
「先祖が地獄で苦しんでいる」
「あの世でおばあさんが苦しんでいる」
「先祖の呪いが人生を悪くしている」
「このままでは命が危ない」
「因縁を断ち切るには印鑑が必要」
「印鑑を買わないと悪いことが起こる」
などと脅す。
- 100万円前後もする高額な印鑑を売りつける。
霊感があるようなふりをして、高額な商品を売りつける悪徳商法の一つです。
全国霊感商法対策弁護士連絡会によると、2008年1年間に弁護士または消費者センターに届けられた霊感商法の被害件数は1,510件、被害額は3,727,052,221円に上ります。
弁護士の紀藤正樹氏をはじめ、全国霊感商法対策弁護士連絡会の皆さんは、霊感商法の中でも特に統一教会の問題をとりあげ、それは「円天」よりも「豊田商事」よりも大きな、戦後最大の消費者被害であると述べてます。
さらに今回の場合、印鑑購入者を統一協会へ勧誘するマニュアルの存在が明らかになりました。
マニュアルには次のようにありました。(押収されたマニュアルの記述のまま)
「新生の印鑑販売から信者勧誘までの流れ(生産ライン)」
- 渋谷駅前
・「いい手相なので見たい」と勧誘
- 新生の事務所
・声明鑑定、運勢鑑定
・家族構成、資産を確認
・不安をあおり、印鑑を販売
- 渋谷フォーラム
・霊能師による鑑定
・先祖供養料として献金要求
- 都内の施設
・信者に勧誘
私たちには信教の自由があります。誰もが、どんな宗教でも信じる自由があります。
少数の人が熱烈な信仰を持っている宗教を、カルト宗教といいます。これは、法律上は問題ありません。伝統宗教から見れば、異端とされても、社会的にみて問題のないケースなら道義的にもOKです。
しかし、そのような宗教の中で、信者をだまし、マインドコントロールにかけ、他額の献金をさせ、時には犯罪的なことをさせたり、あるいは結果的に進学や就職、結婚の機会を失わせるような宗教を、破壊的カルト宗教といいます。
今カルト宗教と言うと、一般的にこのような危険な破壊的カルトを指します。こうなると、それは宗教の問題だけではなく、社会問題ということができるでしょう。
統一教会やエホバの証人などは、被害者団体が設立されています。また、霊感商法に関連しては、統一協会の責任を認める判決も出されています。
私たちは、自分ではいつも正しい判断をしていると思っていますが、心理学的には私たちの判断はいつも不正確であることが分かっています。
たとえば、夕日が大きく見えるような「錯視」現象もその一つですが、社会心理学の研究によると、私たちの「人を見る目」もかなりあやふやです。
どんなに内面を正確にみよと思っても、人は肩書や服装、言葉によって、人への評価が簡単に変わってしまいます。
まず、「良い手相」「今が転機」、そのような心地よい言葉をかけてくる人のことを、私たちは良い人だと感じて今ます。
また、それらしい服装をした「霊能師」と名乗る人にであったりすれば、最初は馬鹿にしていた人ですら、その言葉に影響を受けてしまいます。
詐欺師は、あなたが今までにあった中でもっとも好印象を与える人として、近づいてくることでしょう。
振り込め詐欺に関する被害防止で、「怪しいと思ったら送金しない」と考えてもあまり役に立ちません。上手な詐欺師は、怪しいとは感じさせないからです。「怪しくなくても、一人の判断ですぐに送金しない」と考えたほうがよいでしょう。
良いことを言って信用させた後、彼らは今度はショッキングなことを言います。
呪われている、ガンになる、息子がぐれる、死んだおばあちゃんが霊界で苦しんでいる、水子があの世で泣いている、などです。
「霊能師」や「占い師」にこんなことを言われたら、普段はそんなことを気にしない人ですら、不安になるでしょう。
心理学の研究によると、人は不安になると、説得されやすくなります。
大きな不安を与えておき、一つの単純な解決方法をしまします。
「印鑑を買いなさい」
「壺を買いなさい」
というわけです。
たしかに高額ですが、それを買いさえすれば、問題はすべて解決です。
高額とは言え、新車を買ったり、家族旅行に行けるような人であれば、買えない額ではありません。
ここまで来てしまえば、多くの人が騙されてしまうのです。
自分で不安を高め、そしてシンプルな解決策を示すという、マッチポンプの詐欺手法です。
→次のページへ進む
>>霊感商法の心理2:占いと心理学と宗教
新潟マインドコントロール研究所:破壊的カルト宗教、悪徳商法対策
ウェブマスターの本
テレビ朝日『大人のソナタ」で紹介されました。
毎日新聞2009.6.7朝刊1面コラム欄で紹介されました。
当サイト内の関連ページ
新潟マインドコントロール研究所:破壊的カルト宗教、悪徳商法対策
ウソの心理学
当サイト内の最近の更新ページ京都教育大生の集団女性暴行事件の犯罪心理学自白と冤罪の心理学:足利事件から考える秋葉原無差別殺傷事件の犯罪心理学2:事件から1年
全国霊感商法対策弁護士連絡会
紀藤正樹弁護士のブログ
戦後最大の消費者被害である統一教会・霊感商法へ、ついにメスが
山口貴士弁護士のブログ
【統一協会】不安あおり印鑑販売した容疑…統一教会信者を逮捕【霊感商法】
カルト被害を考える会
日本脱カルト研究会
カルトに傷ついたあなたへ
悪徳商法マニアックス
霊感商法(警視庁)
『まさか自分が…そんな人ほど騙される―詐欺、悪徳商法、マインド・コントロールの心理学 』
『カルト教団からわが子を守る法 』
『洗脳の世界―だまされないためにマインドコントロールを科学する』
『Q&A 宗教トラブル110番―しのびよるカルト (110番シリーズ) 』
『カルトで傷ついたあなたへ―カウンセリングとリハビリテーション』
★2008年9月20日緊急発行★
『誰でもいいから殺したかった! 追い詰められた青少年の心理』(アマゾン)
秋葉原通り魔事件、八王子通り魔事件などから、現代青少年の心理に迫る。本書の詳細(目次)
2008年9月緊急発行 『誰でもいいから殺したかった! 追い詰められた青少年の心理』 |
2008年8月発行 『人間関係が上手くいく嘘の正しい使い方:ホンネとタテマエを自在に操る心理法則』 |
2000年 『なぜ少年は犯罪に走ったのか』 |
2001年 『ふつうの家庭から生まれる犯罪者』 |
2000年 『なぜ少女は逃げなかったのか:続出する特異事件の心理学』 |
||
「誰でもいいから殺したかった青年は、誰でもいいから愛してほしかったのかもしれない。」 ☆愛される親になるための処方箋 本書について(目次等) |
・ 『ブクログ』書評「〜この逆説的かつ現実的な取り上げ方が非常に面白い。」 ・追い詰めない叱り方。上手な愛の伝え方 本書について(目次等) |
bk1書評「本書は,犯罪に走った子ども達の内面に迫り,心理学的観点で綴っていること,しかも冷静に分析している点で異色であり,注目に値する。」 本書について | 「あなたは、子どもを体当たりで愛していますか?力いっぱい、抱きしめていますか?」 本書について | 「少女は逃げなかったのではなく、逃げられなかった。それでも少女は勇気と希望を失わなかった。」 本書について |
「犯罪心理学:心の闇と光」へ戻る
一般的な犯罪の心理、殺人の心理などはこちら。
「心理学総合案内こころの散歩道」
トップページへ戻る
アクセス数3000万の心理学定番サイト