こころの散歩道(心理学総合案内)/ 犯罪心理学 / 通り魔 / 下関
容疑者の35歳の男性について、マスコミは、次ぎのように伝えています。
容疑者の男性は、進学校である地元の高校に入学。成績は、学年トップクラス。自宅を出て、国立大学工学部建築学科に進学。その後、設計事務所に勤めるたが、3年前に実家に戻り、現在は運送業をしている。元教師の両親や祖母と四人暮らし。妻とは別居中。ときおり両親の農作業を手伝っていた。祭りや自治会には参加せず、地域とのつきあいは薄かったようだ。
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中学高校の友人
「もの静かで優秀な男だった。こんな凶悪な事件を起こすなんて考えられない」
「まじめでおとなしいタイプ」
「(バスケットボール部の)控え選手だったが、練習熱心で勉強ができた。」
大学の友人
「ごく普通の学生だった。三、四年前に会った時は、変わりはなかったが、少し、うつ状態に見えた。今年も年賀状が来たのに、あんなことをするとは」
勤務した事務所所長
「夜中に突然、電話してきて『体が落ち着かない。じっとしていられない』などと意味不明のことを言って辞めた」
事務所勤務のころの隣人
「仕事がうまくいかず、マンションのローンも払えず引っ越した、と聞いた。妻はよく見かけたが、本人はいつも自宅におり、会ったことがない」
現在の隣人、関係者ら
「おとなしい感じで、仕事もまじめにしていた」
「(3年前に)すっかり人が変わって帰ってきた」
「高校時代はあいさつを交わしたが、自宅に戻ってからは、ものを言わなくなってしまった」
近所の人の話によると、自宅の窓ガラスが割れる音などがして、両親が片づけをしている姿が見られたそうである。
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昨年3月から精神科に通院、犯行前日も診察を受け、クスリを処方されていた。
犯行前日、市内のスーパーで凶器の文化包丁を購入した。事件当日、父親の自動車で自宅を出発。駅近くのレンタカー会社で事件に使ったレンタカーを借りた。事件は、その約3時間後に発生した。
通行人をはねながら笑っているのが見えたという目撃証言もある。
「何をやってもうまくいかない。社会に不満があった。(人が)死んで
もいいと思って刺した」
「死傷者には悪いことをした。かわいそうだと思う」
あるマスコミは、親に置き去りにされた池袋の容疑者と比較して、今回のケースは、現在までのところ同情できる点は全くないと語っていました。
きちんとした家庭に生まれ育ち、国立大学を卒業し、専門を生かした職につき、結婚もしました。
それなのに、訳のわからない理由で、無差別に人を殺しました。
この犯罪に対しては、もちろん私も、激しい怒りや悲しみを感じます。被害者のことを思えば、犯人への憎しみも感じます。
でも、わずかな証言によってですが、彼の半生を追ってみると、優秀だった彼の人生が少しずつ狂い始めたのがわかります。
それが、単なる優等生の挫折だったのか、深い心の病が原因だったのかはわかりません。
報道によると、今後彼の精神鑑定を行う方針で、刑事責任能力を問えるかどうかを慎重に調べるそうです。99.10.1.17:00
2008年9月緊急発行
『誰でもいいから殺したかった! 追い詰められた青少年の心理』
池袋・下関通り魔殺人事件の犯罪心理学
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