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学歴社会と挫折

池袋通り魔事件についての「投稿」

 池袋通り魔事件の容疑者は、地元では有名な進学高校に入学しましたが、退学しなければなりませんでした。大学進学の希望もあったようですが、断念せざるを得ませんでした。そこから、彼の人生の歯車は狂い始めます。

 これからご紹介するのは、この事件報道と、このホームページをお読みになった読者からの感想です。(ご本人の許可を得て、公開いたします)


Yahooの池袋通り魔殺人事件のリンクから辿ってきました。

私もHPに書かれてありましたように「容疑者だけが悪いのか・・・」と思っておりました。

容疑者の彼の生い立ちがマスコミで取り上げられていて
それを見て、彼の環境がこの事件を起こしてしまったのでは。。。と思いました。

同じ環境の人がみんなあのような事件を起こすわけではないし
環境ばかりのせいにするのはとても危険だと思っています。

私は彼の気持ちがとてもよくわかるんです。

私も大学に進学したかったのですが
家の経済状態がよくないために、大学に行ける学力がありながら進学することを断念しました。

今でも受験シーズンが来ると少しその時の無念さを思い出し辛くなります。

だけど私は幸いに高校を卒業して働き始めてその職場先で今の主人と知り合い
今はとても幸せな毎日を送っています。

それでも受験シーズンが来ると思い出すんです。。。。

私はいつも辛くなると

「夜間大学へ進学する道も残されていたけれど
その道を選ばなかったのも自分。
働きながら大学で勉強することをためらったのも自分。
貧乏な家に生まれたのは私の運命なのだから仕方がない」

と自分を落ち着かせています。

高学歴がさも良いように取り上げられたりすると本当に怒りがわきます。

殴ってやりたいぐらい怒鳴りたいぐらい腹が立ちます。

「なんでこんな世の中なんだ!」と世の中が憎くなります。

でも最終的に大学進学をあきらめたのは自分じゃないか。。。
と気持ちを押さえています。

今、周りの人に恵まれているから押さえられているのかもしれません。

女性だから押さえられているのかもしれません。

男性である容疑者の彼は尚更、
大学に進学出来なかったことを無念に思っているに違いありません。

もし、容疑者の彼のお話を聞いてあげることが出来たのなら

何かの縁でメールのやりとりや接することが出来たなら。。。
と残念に思えて仕方がありません。

あなたのような気持ちの人は日本はたくさんいるだよ。。。と伝えたかったです。

彼はメモにあのように書いていたけれど
本当は自分に自信がなかったのでしょう。

周りをバカ呼ばわりすることで自分を慰めていたのだと思います。

そして彼は世の中に認められたい気持ちが強い人だったのに

特別な才能もなく、人と交わることもうまく出来ず
ムシャクシャしていたのだろうと思います。

誰かひとりでも心の中のことを打ち明けられる友達や知り合いがいて
彼の気持ちを受け止めてあげることが出来たのなら
あの事件は起こらなかったと推測します。

アダルトチルドレンとかトラウマとか
環境のせいばかりにするのは私は好きではありません。

でも自助グループでしたっけ?

同じような環境の人達が話し合い、お互いに成長していくような組織、
そんな活動がもっとさかんだったらなぁと思います。

これからもっと増えてほしいです。

なんかだらだらとすみません(^^;;;

この事件がすごく残念に思えてしょうがなくて、
誰にもこの気持ちを打ち明けることが出来なかったので
思わずメールしてしまいました。

容疑者に手紙を書くことが出来たら今でも書いてみたい心境です。

そして人を殺すことは本当にいけないことだったけれど
容疑者の気持ちを受け止めてあげたいです。

最後にこれからもhpの運営頑張って下さい。
ブックマークに保存して、また遊びに来ます。


筆者からの返信

メールありがとうございました。

貴重なご意見をお送りいただけき、
本当に感謝しております。

 

進学率が上がったとはいえ、
大学へ行くのは半分の人ですし、

収入面で見ると、
日本は決して「学歴社会」ではありません。

けれども、
その人が何を学んできたか、何ができるかよりも、
成績や学歴、学校名だけを重視してしまう、
歪んだ心が日本には多いように思います。

日本は「教育熱心」なのではなく、
「学校熱心」なだけだと言った人がいました。

それがどれだけの人の心を傷つけ、
また、犯罪の遠因になっていることでしょう。

 

メールでいただいたxさんのお気持ち、
とてもすばらしいと思います。

(後略)


・人生にはいろいろなことがあって、挫折もあるけれど、本人の努力や、周囲の協力によって、「今」が幸せであれば、その困難もまた、人生の一部として受け入れられると思うのです。

・彼がもう少し辛抱して、希望を見つけることができたなら、こんな悲惨な事件は起きずにすんだのにと残念でなりません。

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