心理学総合案内・こころの散歩道/犯罪心理学/神戸小学生殺害事件/「神戸小学生殺害事件:事件の背景とこれからの教育を考える」月刊「児童心理」(金子書房)1997年11月号別冊
要約
・事件の無意味な背景説明も、事件を病理性に関することだけに限定してしまうのも、問題だ。背景分析の目的について考えたい。
・ホラービデオやマンガの内容分析には、あまり意味はない。
・安易な都市環境批判は、現実的ではない。だが、都市計画の方向性を変えなくてはならない。
・家庭環境に国家が関与すれば済むというものではない。必要なのは、家庭を援助できる社会環境である。
・事件と学校教育の問題は、きわめて矮小なレベルで問われた。教育風土、教育システムそのものを問題にすべきである。
コメント
野田氏のご意見に、おおむね賛成です。その通りだと思います。ただし、
野田氏は、執筆時点(98.9)において、病理性を確定できないと述べています。現在ならば、また違ったご意見かもしれません。
私は、彼にはたしかに深い病理性があり、そして同時に、私たちの社会も病んでいると思います。
ただし、神戸の事件から直接、社会や教育の問題を語ってしまうのは問題です。また、ここで野田氏が述べているように、日頃の論評を単にあの小学校の正門前で行うような報道には、意味がないと述べています。同感です。
事件の背景について語るならば、何を語るべきなのか、どんな意義があるのかをじっくり考えることが、今回の事件を無駄にしないために大切だと思います。
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