心理学総合案内・こころの散歩道/犯罪心理学/神戸小学生殺害事件/「神戸小学生殺害事件:事件の背景とこれからの教育を考える」月刊「児童心理」(金子書房)1997年11月号別冊

心の中にある「悪」:どう表現し、発散させるか

臨床心理学者 山中康裕

要約

・現在筆者は海外にいて情報が来ない。そこで、あえて直感的に考えたい。

「死」の持つインパクトが現代においては格段に減少してしまった。

・彼にとって、心が動き、感動するような体験は、殺人でしか得られなかった。それほど心が冷えていた。

・普通の人は、「殺したい」と思っても殺さない。それは「超自我」が発達しているからである。そのためには、「父親的なもの」(実際の父、教師、社会規範)がしっかりしなくてはいけない。

・人間の「影」の部分を発散し、表現できることが大切だ。現代は、何事もきれい事で、表面的に進行してしまっている。

コメント

 あえて、情報を集めなかったということで、事件への論評と言うよりも、山中氏自身の思いをつづっているという感じです(上の要約では、上手く伝えられませんが)。氏は、以下の言葉で最後を結んでいます。

「人間なぜに「生きる」のかを考えていかなければならない秋(とき)でもあるのだ。今回はそうしたことを学んだような気がする。」

山中康裕氏の著書

→次のページへ進む「事件の背景分析は何のためにするのか」 文化精神医学者 野田正彰 
前のページへ戻る「注目すべきは中学生のストレス」 社会学者 宮台真司 

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